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銚子川が調子いい理由

自然環境リテラシー学 川Y1 11/20・21

はじめに

今回のリテラシーは川を感じて勉強するというテーマでした.その中で,紀北町の銚子川にあるキャンプ場「キャンプinn海山」の支配人の田上さんに銚子川についてお話を聞く機会がありました.三重の素晴らしい自然の一つである銚子川について知ってもらいたいと考えたので,そのお話を紹介します.

銚子川とは

 銚子川とは三重の南部にある紀北町を流れる川です.上流部分と下流部分の透明度がほぼ同じであることから,奇跡の川と呼ばれています.河口部では,淡水と海水が混ざる汽水域があり,塩分濃度の違いからできる「ゆらゆら帯」を見ることができます.ゆらゆら帯自体はどの川にもありますが,目視ではっきり見えるのは透明度が高い川だけであることから,銚子川では珍しい光景を見ることができます.

⇩紀北町の位置関係 (青に塗られているところが紀北町です.)

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 また,銚子川にはそのきれいさゆえに様々な生き物が暮らしています.アユやアマゴなどに加え,三重県で絶滅危惧種に指定されているアユカケもたくさん暮らしています.これらの生物は,川をのぞいてみたらすぐに見つけることができます.ほかにも,日本で二番目に発見されたミミズハゼや銚子川で初めて発見された,「チョウシガワメリタヨコエビ」も見つかりました.

銚子川の水が透明な理由

銚子川の川底は花崗岩の一枚岩で出来た千畳敷になっています.分かりにくいですが,下の写真のような大きな岩でできています.

川の岩2

一つの岩でできているため,滝つぼは水によって丸く削られ,上流から流れてくる岩や石はどんどん丸く削られていきます.花崗岩は非常に硬いので,花崗岩の壁にぶつかって岩や石の角は削られていきます.(下図)

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そして,そのようにしてできた丸い石が上流から下流にかけて幾重にも堆積していて,丸い石の間の隙間を河川水が流れることで,ろ過装置のような働きをして,不純物が取り除かれていくので下流でも上流と同じような透明度を保つことができています.さらに,地中の伏流水も砂利や丸い石にろ過されていくので,きれいな水を保つことができています.

丸い石

 数年前,東京などの都市からの建設土砂が紀北町に運び込まれ,銚子川の自然が失われかけました.土砂が川に流れ込むと自然に作られたろ過装置に砂がつまり機能しなくなってしまう恐れがあります.この問題が発覚したとき,キャンプinn海山の田上さんが尽力し,建設残土の搬入を制限する条例ができ,その問題は解決に近づきました.(参考記事:伊勢新聞 『<1年を振り返って>尾鷲・紀北町の建設残土 条例で搬入規制、県外分は禁止されず』)
 その時のように,地元の人が力を尽くすことで,三重の美しい自然が守られていることが分かりました.

終わりに

 私は三重出身ということもあり,紀北町にも銚子川にも何回も訪れたことがありましたが,なぜきれいな自然があるのかや,どうやって守っているのかなど知らないことだらけでした.今回のリテラシー実習を通じて,銚子川の現状を知ることができたので,それをもっと知ってもらうために友達や家族に広めていこうと思いました.それが,紀北町の自然を守るためにわたしにできる第一歩だと考えました.

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