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ジーナ式の新生児期の授乳について、助産師目線で考えてみる(その2)

二児の子育てをしている、病棟勤務助産師のいーです。

前回に引き続き、ジーナ式における母乳育児への考え方について私なりに解釈してみようと思います。
前回の記事を読んでいない方は、先に読まれることをおすすめします。

この記事では、あくまで新生児期、母乳育児が確立するまでの時期について考察しています。
今回は、
④児に合わせて授乳すると自然と昼夜逆転が起こる
⑤成長期は頻回授乳で分泌増やす(一般的にはこれが正しいと指導する)のではなくて搾乳で増やす!
について考えていきます。



④児に合わせて授乳すると自然と昼夜逆転が起こる

3時間おき(以内)で授乳すれば、昼夜逆転が起きにくい

3時間おきに授乳していれば、「徹夜で授乳」という状況には決してなりません。

カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版 p.116

これは、ジーナ式で大事にされている「7-19時の起床時間にとにかく必要な授乳を出来るだけする」の考え方がベースになってると思われます。

基本的に赤ちゃんは昼夜逆転のリズムで生まれてくることが多いのではと思っています。
お母さんのお腹の中では、
・日中は胎動を少なめにして、酸素の消費を抑えて母親の活動の邪魔をできるだけしない
・夜、母親の酸素消費が少ない時間帯に活動して身体を動かす練習をする
という習性のためです。 夜に胎動が激しかったというママも多いと思うので、納得しやすいのでは?と思います。

そして、そのリズムのままで生きている赤ちゃんに合わせると、
・日中よく寝てるから授乳間隔が開く(授乳回数が減る)
・夜よく起きてるから授乳間隔が狭い(頻回授乳)
になって、昼夜逆転が起こります。

これを懸念して、ディマンドフィード(寝てたら寝るだけ寝かせて、起きてから飲ませる)のではなく、最長でも3時間で起こして飲ませましょう、と言っていると思われます。
そしてこれは日本での一般的な指導と同じです!
ジーナさんは母乳制限しようとかそういうのじゃないよ!(急な主張)


ディマンドフィードで昼夜逆転

残念ながら、赤ちゃんとママが病院を出る頃には、夜中に眠らなくなるようなリズムができあがっていることが多いようです。授乳と授乳の間に何時間もお昼寝をしているせいで、夜は一晩中お腹をすかせて2時間おきに授乳する必要が出てきます。夜中にほとんど目を覚ましているせいで、代わりに日中は長時間お昼寝をしている、という悪循環が始まります。

カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版 p.116

この部分は、赤ちゃんが欲しがる時にあげるディマンドフィード(日本では自律授乳と呼ばれる)だと、昼夜逆転になるの当然ですよと言ってるところです。
昼間も最長3時間(月齢が上がればそれに合わせて時間を調整)では、起こして飲ませましょうという、ジーナ式の授乳で1番大切なところに繋がると思われます。

ジーナ式で本当に大事なのは、 「〇時までは飲ませない」ではなくて「〇時までには飲ませましょう」とか「〇時まで持つくらい飲ませましょう」だと私は思います。
これは特に低月齢(0-1、2ヶ月ごろ)、つまり母乳育児が軌道に乗るまでは重要だと考えられます。

そこがすごーく読み取りにくいので、「ジーナ式は授乳を制限する悪い方法だ!」みたいなことになるんではないだろうかと推察します。

そしてそして! 必要量飲めないときは、回数増やして必要な授乳量確保する!これが大事です。
分割授乳はこれが目的なのではないかと思います。

ジーナ式に限らずですが、授乳量が足りてるかどうかの判断は、ざっくりの体重増加でみるのが良いと思います。 1日おきではなく1週間おきなどの体重増加量で考えてみるのがおすすめです。

ここに関しては個別性が高すぎるので医療機関で問題だと言われなければ良いのではと思います。 母乳育児支援的には、3ヶ月頃までは1日あたり(平均して)20-30gくらい増加してれば問題ないと判断することが多いかなと思います。


⑤急成長期と搾乳について

ここでは、急成長期における乳汁分泌の増加方法について考えてみます。

急成長期(急に飲む量が増える時期)に関しては、ジーナさんだけが言っているのではなく、母乳育児支援の立場でもいわれているものです。 突然授乳回数が増えますが、頻回授乳で母乳分泌量が増える→数日で回数は落ち着く、とされています。

ここの時期の対応方法として、一般的には一時的に授乳回数を増やす(というより増えるけど問題ないよ〜と伝える)のですが、ジーナさんは前もって搾乳する習慣つけといてそれで補うぜっていう姿勢です。多分。
理論的には母乳量が増えるならどっちでも問題ないかなと思います。

ただ、搾乳よりも直接授乳の方が分泌される量は多いと言われているのも事実です。 ジーナ式の方法で母乳量が増えない場合は、直母の回数を増やす対応をしてもいいのかもしれません(完全に個人的意見ですが)。 そして増えた回数は数日で落ち着くことが多いので、安心して頻回授乳に戻してもいいのかなと思います。

ただ、「頻回に欲しがる時期に頻回に授乳して母乳分泌を増やす」のはあくまで低月齢さんの話で、5ヶ月以降などの場合は授乳と睡眠が癖づいて授乳回数が増えてる事もあるのでそれは注意が必要です。


今回もジーナさんの母乳育児への考え方について、私なりに考えてみました(その3に続きます)。
母乳育児を頑張っている、頑張りたいジーナママたちの助けになれば幸いです。



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