『回る』#335

人間は、左回りにぐるぐると回ることのほうがよく、右回りに回ることはストレスを感じる、らしい。そのことを知ったのは、漫画「エリアの騎士」から。漫画のほうではサッカーの話、ポジションを流動的に、左回りに変動させることで全員攻撃全員守備で次々と選手が局面参加できる作戦をネオトータルフットボールと銘打ったチームがあった、その内容は置いておいて、「人間は左回りに動くほうが気持ち良いのか」と知ったことから。そのことを知ると、いくつかのことに合点が行く。
ひとつは陸上競技のトラック、左回りで走る。200メートル走でだって、3000メートル障害でだって、全て例外なく左回りで走る。おお、と思った。陸上競技を中学の部活でやってたこともあって感激した。とはいえ、人間は心理的に、左回りで回るほうがよい、よい記録が出る、というのが先に立ったのかはわからない。人間の利き足として左脚は軸足で、その軸足を起点に蹴り脚である右脚でトラックを蹴る、そのメカニズムにトラックを合致するように作ったのかもしれないし、脚のメカニズムが先か心象体験が先か、トラック作りに何が作用したのか定かではないのだけれど、とにかくトラックは左回りで、人体に合う仕様なのだ。
もうひとつ、あっと思った左回りプレイスがスーパーとかコンビニとかの小売店舗。馴染みのあるスーパーはだいたい、エリアの右から入って外周を野菜、加工惣菜や練り物など、生鮮の魚や肉、それからパンや揚げ物惣菜、それと甘味・飲料がある。中央に整列する棚には食卓を取り仕切る際にオマケとなる家事物品、洗濯や掃除の衛生関係、菓子、それと少量の衣類や文具。先の外周部の流れって、日本でそもそも馴染みなのかはわからないけれど、海外のコース料理における前菜(野菜)、魚、肉、デザート、みたいな運びで、一応は購入の順番として適当なのだろう、うまく機能してる。コンビニも、目的が決まっていれば商品棚に直行して即購入に流れるけれど一応、新築店舗の場合は向かって左側に入口があって、入ると右へ折れるような動線になっている。心理的には、入店直後にレジ前を横断したくはないから、右へ折れるのだけれど、それも織り込み済みなのだろう、うまく左回りに設計されている。
そうしてみて、身体の運動としては左回りがハマるんだろうとわかった。それなのに、時計が右回りに回るもんで、左回りのことを反時計回り、というのだからどうも、正回転と逆回転というのは一概にはないのだなということもわかる。こうしてフリック入力をしている親指で、丸いドアノブはどっちに回すかな、なんて考えてみたけれど、手首を外に返すほう、右回転がしっくりくる。それは右手ならば。左手ならば左。さて、ドアノブはどちらへ回る。

#回る #181118

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