『バナナ』#32
美しい三日月を眺められた今日、空気はまだ前日までの暖かさを残していた。明日が大寒だってことが信じられない。襟巻きも要らない。
ちなみにわたしは今夜、友人との飲み会を新宿で終えて終電、品川での乗り換えで残念ながら最寄駅への電車が満杯だったため乗るのを諦めた。次の電車が最寄駅の一つ手前を終電としている。蒲田行き。これまでも何回か、いや、十何回かは蒲田から夜中に歩いている。お気付きの方もいるかと思うが、すでに日付は回って、電車は予定時刻より20分ほど遅れて蒲田についた。気まぐれで帰り道を、ランニングアプリ立ち上げて走って帰った。歩いて一時間ちょい、4.5キロの道のり、約22分で走って汗だくの帰宅を果たしたところ。多摩川大橋からの月の綺麗さはとびきりいいものだった。
『一ヶ月』でも書いたように、雑誌YUCARIの「月」の号を読んでいる(背当てのない2wayリュックを使っていて背中に当たる部分を平たくするためでもある)。そこで三日月について少しだけ詳しくなった。三日月というのは、新月を一日目と数えて三日目の月を指し、そのため語源からみて厳密には、右側が光っていて左側のほとんどが暗い月の様子を三日月と言う。反対の、左側(満月から新月へ向かうタイミング、二十六夜あたり)が光っている月は三日月ではないそう。ただ、広義には、半月より細身の月を、満ち欠けで痩せていくにも太っていくにもどちらの様子でもそう呼び慣わされている。
その姿にしばしばバナナを想起する。美しい弧を描く、やわらかな黄色。
健康診断の問診票に生活習慣アンケートが付いている。「ふだん果物を食べますか」「はい」「頻度はどのくらいですか」「週5回以上」食べます。というか、ほぼ毎朝食前にバナナを食べるし、夜のランニングをするときはバナナ一本食べて15分おいて走る。血糖値対策と栄養補給。最近では、持参するお昼のおにぎりと一緒にバナナを持っていっている。
手軽に食べられて、栄養価も高く、食後に皮を処分する必要があるが持ち運びには重宝する外殻をもつ。何よりおいしい。
うちでは、母がしばしば作るデザートでバナナが入る。切ったバナナとりんごに、みかん桃パインの缶詰を汁をきってあけて、固茹でしたマカロニを同量、ヨーグルトとマヨネーズを加えて和える。これがわたし結構好きで、茶碗一杯分くらいは食べる。おふくろの味のひとつだ。これに欠かせないのが実はバナナ。りんごや缶詰はなくてもまぁ構わないけれど、食感なのか甘味なのか、バナナがないと味気ない。欠かせぬバナナ。
食生活のリズムと栄養と、それに加えてなのだが、特にバナナを食べているときってシャワー浴びている時間に似ているなといま書きながら思う。それは何かメインな時間ではないけれど、なにかの繋ぎの時間、補給・調整の時間、「次は・今日は、何をどんな順番でやろうか」とアタマを整理する時間。
台所でもぎ、シンクを見るともなく眺めながら立って食べるこの時間、急ぐともないけど淡々と、身体にバナナを行き渡らせる。いまは朝(走った後は眠すぎて書けませんでした)。
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