『BLT』#93

ベーコン・レタス・トマト。
Bacon,Lettuce and Tomato.
サンドイッチ、バーガーに合わせる三揃い。ベーコンの脂と塩気、トマトの酸味と甘み、レタスのシャキシャキ歯ごたえ、見事な組み合わせだと思う。色合いにしてもそう。
どんなバーガー屋さんやサンドイッチ屋さんでも、コンビニで買うにしてもいい感じのが食べられて、自分で作るにしてもとても楽に作れて美味しい。そう、自分で作るにしたら美味しくできて、とても、作るのが楽。昔、思ったことがあってそれは、サンドイッチやハンバーガーを買う値段においてこのメニューは簡単すぎるのにちょっと高いんじゃないか、と。自己弁護のようになるけど、わたし普段は原価に対して売値が云々、同じ材料なのに値段の違いが云々、というような恥知らずクレームを考えることはしない(というか、「熟練の技術にはそれ相応の対価と尊敬が払われるべきもの」と「ただ環境要因や地理条件やブランド付加価値だったり、物性以外のコストがあるもの」と、値段には色々と理由があるものだと納得している)のだけれど、なぜかBLTサンドにだけそう思ってしまった。人件費とか、製造工程に関してはたぶんベーコン製造と加工までが一番コストかかるのだろうけれど売値に関して、特に「材料が揃った状態でサンドイッチを作る」段階においては最も手数が少ないよなぁと思った。ベーコンもレタスもトマトも、そのまま挟める状態で手に入る(ベーコンを焼く場合は手がかかるが)。それを言ったらレタスサンドは本当に手がかからないのだけれど、値段にはその差が現れているように思った。ポテトサラダだったりコロッケだったり、加工工程が多いものは、お店が創意を出さない場合は出来合いを入手すればよいけれどおそらく手をこませる具材だ。
サンドイッチやハンバーガー店を非難したいのか、何を言いたいのか、ってこのnoteに思うところはある。私も、このまで書いた文にはそう思う。何を言ってやがるんだと。
結論というか主題としては、「ベーコン・レタス・トマト」を「サンドイッチあるいはハンバーガーにする」ときの、パンに具材挟む人に委ねられる裁量、最終品の味の伸びしろがなかなか小さい料理なのか、と思ったのだ、ということ。なんていうか、調理手の熟練のテクニックとか技術を発揮できるポイント(点の量と高低どちらも)がポテトサラダサンドとかコロッケサンドよりも限定されるぞ、ということ。それは、特に、都市型の家庭で作るときのこと。ベーコンにもレタスにもトマトにも、材料が揃うまでの過程に関与することが考えられない。自家栽培をするとか、燻製を自家製でやるとか、手のかけられるところは考えられなくはない。考えられなくはないけど、考えづらい。やりこみが難しいんだ。そう。
そう、考えたのに私は、かつてペペロンチーノを作るテクニックを磨くのにものすごくハマった時期があった。ジャーマンポテトと、リゾットも(リゾットに至っては味噌だけとか白だしだけとかやってた)。それでもそこにはテクニックを宿す余地があって、ニンニクへの火の通し方や油の乳化とソース化、ベーコンの脂とアスパラガスと玉ねぎの火の入れ方、とか。
じゃあBLTにはその余地がないかといえば、なくはないだろう。ベーコンの厚みや焼き方、マヨネーズソースの作り方、パンや野菜選びへのこだわり方とか、考えれば浮かぶ。
そんなふうなことを、過去の不躾な想像から、こないだサンドイッチを作ったときのことに紐付いて考え事が始まって収められないまま、ここにごたまぜに据え置かせてもらった。

#BLT #180321

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