『盛る』#330

最近はラーメン屋で迷うことが多くなった。つけ麺を注文しようとするときに張り紙などで多く見られる「中盛り無料」の文字。食べきれるか食べきれないかで悩むのではなく、完食した後の身体の変化を考えて、幸せな満腹感を得られるかどうか、それに尽きるわけだが、ここのところ盛ってもらって食べきったあとのお腹の重たさにどんよりすることがままある。でも、せっかくたくさん食べられるのだし、食べちゃうぞ、と結論付くことが多数。それに少し似たことは家で朝ごはんを食べるときにしばしば発生している。朝が一番、空腹感が強いんじゃないかと思う私、ごはんを茶碗いっぱい(よくある飯茶碗の2倍は入る器)に盛り付けて食べるうちふと思う、「あ、時間やばい」と、30分近く朝ごはんを食べ続けている場合もあって、盛りすぎ注意だなと毎度思う。
盛れるもんは盛る。アニメの日本昔ばなしででてくるあの、高く盛られた山盛りの、というか高すぎて塔のようになっているごはん、あれは日本人の「幸福なごはん」像に結びついているんじゃないかな、そう思う。
盛れるもんは盛る。小学生や中学生のうち、何かにつけて自慢をしたい年頃、なにか自分のできる範疇を超えたことを「できる」と言ってしまったり、持っていない人気グッズを「持っている」と言ってしまったり、何かと“盛って”しまう年頃、そんな態度を示して「あいつ盛りグセあるよな」と揶揄することもあった、ある、あるな。
盛れるもんは盛る。容姿を化粧や写真映り(加工)で、鏡などで現に見える以上に良く見せることを盛るという。盛ってるのは女性に多いようにも思えるけど、男性でも写真で盛ろうとする人は決して少なくない。ひとの第一印象はいま一層大事なことで、直接対面するまでにSNSやインターネットを使って何かしらの情報交換がなされるいま、会うより以前の相手に好印象を持ってもらうため、盛っていなかったとしても「いい感じの写真」を用意する。それはいまの話として書いてもいるけど、かつて婚活の主流のひとつであったお見合いにも、先に用意しておくお見合い写真はいくらか盛った姿にしていたのではなかろうか、友人と家でお泊まりしたときのスウェットすっぴんで自撮りした写真なんかじゃなかろう、正装でしゃんとした写真を用意するだろう、美しく盛るのだ。
盛れるもんは盛る。それは度を超えない、美しさを認められる範疇で、満足感を得られる盛り方ができればよいだろう。ただし、簡単じゃない。日本昔ばなしのあれは、あれで、美しい。

#盛る #181113

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?