『デカビタ』#137

世代か地域かコミュニティによって変わってくる「○○系飲料」の一つなんじゃないかな、「ローヤルゼリー飲料」あるいは「黄色いエナジー系炭酸飲料」。わたしはデカビタ、茶色で太身でラベルに変なナースキャップみたいな帽子をかぶって三角のサングラスをかけたような顔のイラストが入っている、デカビタC。いまはペットボトルもあるけど、当時はその瓶でしかなかった。当時とはわたしが小学生くらいのころなので2000年前後。もうすこし前かな、祖母とかおじのお見舞いに病院にいって買ってもらっていた記憶もあるから、90年代後半、というころか。
炭酸が強くて、瓶が冷たくずっしりとしてギザギザで、なんともいえないパワー溢れる味の黄色いジュース。その味って、特に由来というか記憶を辿れる初源もなく、あのデカビタの味、が原体験になる。「ローヤルゼリー飲料」の原体験はなんだったか、で共通項ができるのか。
それ以降、リアルゴールドや、オロナミンC、エナジージム、後発で言えばドデカミン、亜種でライフガード、などのエナジー飲料(「ローヤルゼリー飲料」あらため、エナジー飲料にした。こっちの方がわかりやすい)を経験していくなかでも原体験にあるデカビタが基準になって、味を把握していく。食育という言葉があるが、自分が大人になってみて少し怖いものだなと思うところだ、エナジー飲料は別によいだろうが他の食品における原体験はバカにできないな(家系ラーメンと牛丼しか思い浮かばない貧相な脳だ)。
実はデカビタがメジャー・王道ではなく、エナジードリンク界ではもっと強力な有名どころがいると知ったのは中学時代のこと。話がそれるが、わたしの文章にやたらと中学時代が出てくるが、自発的に思い出せる記憶の量は多くないのに、紐付いて出てくる記憶は驚くほど多いことにいま、気づいた。以前の記事『休む』にしてもそうだし『筆』や『多摩川』にしても掘りかえす記憶が中学であることが多い。それで話を戻すとエナジードリンク界には強力な有名どころがいるという話、夏の暑い日のプール帰りのこと。どこのプールに行ったとしても確実に、帰る前にのんびりするときに自動販売機で飲み物を買った。持って行ったお茶はすぐに飲み終わってしまうし、キンと冷えている飲み物が欲しくて、買っちゃう。そのときに炭酸飲料が外せないわけだが、そのときにまず、デカビタがない。あるのはリアルゴールドとオロナミンC。たまにライフガード。あとあとに知ったことは、自動販売機とそこで扱われる中身は飲料メーカーによるものなのだということ、飲料メーカーと自動販売機に勢力傾向があるということ、プールの近くにあったのは強力なコカコーラ社とスポーツ系飲料の強い大塚製薬だったのだということ(ライフガードのチェリオは、近くの公園だったから、よくわからない)。それでデカビタを求める体にリアルゴールドやオロナミンCで代替して充足させられるかというとノーだったらしく、コーラかライフガード、あとはさらっとしぼったオレンジとかミスティオ (だっけ、グレープフルーツとかレモンの、ダイドードリンコの炭酸飲料)を買っていて、炭酸でがぶ飲みするために500mlで、缶だからペットボトルの150円じゃなく120円くらいで買えたジュース。そして勢力に風穴をあけたのはドデカミンだった。500mlのペットボトルで発売されてたちまちエナジードリンクの選択肢で筆頭に上がる。また、大学時代には四国のお遍路でまわるうち、四国で強大な勢力の大塚製薬はあちこちにオロナミンCとポカリスエットの自動販売機を設置していて、信心もなくなったわたしはあっさりオロナミンCを1日に数回キメるようになる。そして舶来、レッドブルの台頭。デカビタは次第に後塵を拝する。
それでいま、どうしてデカビタを思い起こしたかというと、先月から祖母の月一回の定期検診で付き添いに行っていて昔の記憶と病院の面影でもって郷愁と口寂しさが蘇ってしまったため。いま、祖母からの「買っておいで」はない。わたしも売店に足を運ぶこともなく家から持参した緑茶をすすって待合椅子に祖母と並んで座っている。なんの話やねんて感じですよね。

#デカビタ #180504

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