『リュックサック』#199
持ち運びに使う所謂カバンの中でもっとも安定して安心して使えるのがリュックサック。これは他の追随を許さない。
幼稚園の遠足も、小学校の自然教室も、中高の修学旅行も、成長期の体格の変化に応じて使い分けてはきたけれどどれにしてもリュックサックだ。だった。多めの荷物を入れても、両肩で受けて身体の中心線で支える。腹筋と背骨!って具合。とにかく身体にとってバランスよく効率よく、強い部位を利用できるのがいい。重いものを持てば当然疲れる。身体の左右片側に負担をかけるショルダーバッグやトートバッグは、持ち替えたら負担をやりくりできるけれど重い荷物を入れれば特に辛いし、荷物がかさばる時が大変で、身体をうんと傾けないとバランスがとれず歩きづらい。歩いての持ち運びにもっとも適しているのがリュックサックだろう。スーツケースは身体に荷重をかけないので歩きへの適性はかなり高いが路面を選ぶし、荷を入れ過ぎれば段差がつらい。とにかく楽に持ち歩くことを考えるとリュックサックだ。
私の移動は歩き偏重なので、路面や環境の変化に左右されるのは面倒。基本的には、持って歩く。それなのに、自分、荷物が多い。「財布さえ持っていれば」とか「ペン一本とケータイさえ持っていれば」とか、男性は特に荷物を軽くして、偏見を言うと「荷物が多いのはダサい」という価値観がある、ように思ってる。私がそう思う。そう思うのだけれど、手帳を持ち歩きそれとは別でノートも持ち、筆箱にはマーカーにシャーペン二本消しゴムはさみカッター金尺マスキングテープ爪切りそれにフリクションの替え芯3色セットが入り、電子機器まわりでケータイのモバイルバッテリーと2AプラグにライトニングとUSB-Cでケーブル二本それと三穴コンセントタップまで普段持ちしている。だから、筆箱と電子機器ポーチとメガネとをバッグインバッグでまとめている。それとノートポーチと財布と文庫本等が入るので、それなりの体積があって、それなりの容積を要する。最近は夏場で、化粧品ポーチ的にウエットティッシュと制汗スプレーを持ち歩くためにさらにかさばる。
リュックサックで20Lより小さいものは持ってない。ぶらぶら出かけるのが好きで、小旅行となると下着類2枚ずつと化粧品を少し足して、用心のためトートバッグをひとつ忍ばせる。遠方に行くためだけに乗り物を使って現地ではとにかく歩く。その街を歩くためだけに旅行してる、というのも間違ってはいなくて、観察であるとか勉強であるとか言いようはあるけれど、見て食べて歩いて回る。その供にリュックサック。リュックサックを使っているとどことなく、よそ者感が出る。「来ました」と言わずとも気配が出ていて(傍目に見てそう思うところで、自分もそうかな、という主観である)、気配が出ていればなお「来ました」と言うことも差し支えなく会話に結ぶことができる。
歩く人であれるのがよくて、名前のせいかおかげか、とてもしっくりくる。ランドセルまで遡ったらさらに動く。荷を気にせず安心して走れて、登れて、歩き回れる。持ち物を運ぶ持ち物として、身体性が高い。いま、また新しいのが欲しくてたまらないのだ。
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