『お冷』#224

頼んだら負けと思っていた年代と、とりあえず人数分と頼むことを偉いと思っていた年代と、やばくなる前に早々に頼んでおくぞと心得た年代と、とんとんとんと変遷してきた。
今後も変わっていくのだろうか。お冷観は。「お冷なんて無粋だよ、ノンアルコールなら、ちゃんとウーロン茶とかオレンジジュースとかソフトドリンクを選んで頼むもんだよ」とか。「お冷って久しく自分から頼んでないなぁ、いい頃合いでいつも出してもらえるんだよね」とか。生活する界隈次第でまた大いに変わってきそうだ。少なくとも、いま挙げたような界隈には入りたくない、皮肉を込めた例示。
まずはビール、から始まってどんどんとお酒が進む。夏場は喉が乾くのも相まって、飲むことに対する渇望が強い。ワインや日本酒を嗜むようにちびちびと飲むよりも、ビールやレモンサワーなどジョッキでガブガブ飲めるものに心は引かれる。それでも進むにつれて、ちょいと趣向を変えてみようかと日本酒を挟んでみたり強めのカクテルでカッと酔いを深めてみたり、目先を変える。変えた目先のまま見据えられたらそれもよし、また元の道に戻るもよし。旅人のようにあてどなくふらふらと様々な味を移ろっていくもよし。そうこうするうちに腹のなかではちゃんぽんちゃんぽん、目のぎょろぎょろと動きは鈍くなり頭はふわふわ口角だらだら、すっかり酩酊という言葉がぴったり当てはまる。そうなってからではなかなか「お冷を」と注文する気になれない。次は何を飲もうかとすっかり酔っ払い。
はじめの頃は、お冷に対するイメージは栄養ドリンクとかあの翼を授かるやつとかあとロキソニンみたいな、飲んだらすぐにグングン効き始めるものだった。全くそんなことないのに、お冷飲んじゃったらすぐにスッと酔いが覚めると思ってた。それはなぜか、そうでないとわかってからでもずっと続く。いまでも周囲で聞く。酔いが覚めると。そうではないはずなんだよな、アセトアルデヒド分解だかなんだかで身体が水を、H2Oを失っていくから補給するべきっていう割と前向きかつ必要性の高い行動なのだわな、お冷って。そうしないと度を過ぎれば頭がガンガンと二日酔いで痛むし失神するかもしれないし道端で眠たくなって眠ってしまうことにも、繋がる。
そうして人はカバンを無くしたりケータイを落としたりと、身体の不調に加えて身の回りまで悪影響が及ぶ。人間関係にまで、及ぶ。
厳しい夏の暑さで脱水症状に気づかずなっているなか、ガブガブとお酒を飲んで酒ばかり飲んでいてはいけないよと私の手荷物が告げたものと思う。

#お冷 #180730

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