『体積』#241

ある立体が、あるいはある気体・液体・固体、といったほうが適当か、が空間に占める量のこと。ボリューム。こうして、なんとなくわかっている概念を言葉にしてみると楽しい。子どもにそれをどう説明するか、具体的な事例はいくつか提示すれば体積概念はなんとなしに理解できるけれど、それでも、具体だけを提示して「つまりこういうこと」と言い切ってサヨナラするのは絶対にいけないな、と思うから改めて言葉にしてみる。なぜ、いけないか、って言われるとこれまたうまく言葉にしづらいのだけれど、記号以外の概念はあくまで抽象であるから、か。イデアの話になりうる。体積の話に、日本ではメートル法が使われているからといって「体積とは、横×縦×高さ、で表される数値で、単位は立方メートルや立方センチメートルなど、長さの単位のはじめに“立法”をつけます。」とこれだけ教えた結果を、教わった結果を、いま塾講師として子供の体積概念の理解に頭を悩ませている。それはむしろ、具体でなく抽象の行き過ぎにも思えるけれど、いややっぱり具体なんだと思う。体積概念のなかに含まれるうちの、ほんの一部だけをわかった気になって「空気には体積がない」と言えてしまったり、「底面積は下側じゃないとおかしいじゃないですか、高さが横向きになったら高さじゃないから式が書けないです」とかって言葉が出てきたりする妙な認識が、体積の初学を残念な形で受けた結果が出てくる。
それで、じゃあ自分なら間違いなく体積の核心を相手に伝えられるかといったら、こうして自問しなくてはわからないし、何より、自分が得ている体積の概念理解、それ自体が核心を捉えているものかどうか、はたして自信を持ってイエスと言えるか、うーん胸がざわっとする。
夏、教室の冷房からゴウゴウと出てくる冷たい空気にも体積はある。エアコンの送風口から出る体積と、吸気口から入る空気の体積が同じだから、部屋のドアが開いたり私たちが息苦しくなったりせずにいつもどおりにしていられるのだ、とか。気圧の話なのか、もしかしてこれは、気圧の話でもあるけど体積の話でもあるよな。まぁ、これも、具体なのだけど。
そういや、量、の概念も難しいな、場面ごとに体積でもあったり質量であったり数であったり、言葉の相互補完性は統合も生むし、円環をも生む。発散も。子どもになにか問われ続けたとき、わたしの頭の容積で、捻出しきれるだろうかはたして。人間の蓄える知識には、体積がないんだよなぁ、書籍やコンピュータから、はたまた人から、伝えられる情報はこんな、サッカーボールほどあるかないかって頭の中に辞典何冊分だかわからない量の知識が蓄えられるわけで、体積どこいった、という、エネルギー保存則へ困惑、情報はエネルギーではないとは言え。

#体積 #180816

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