『左足』#203
何について書こうか考えているうち、どっかり座った椅子から投げ出して本棚につかえさせている右脚をみて、「片足について書くことってものすごく難しいのでは?」と思って、やってみようかと思った。いかに、もう片足を補助として、片足で立つか。立たせるか。
利き足は、右足。たぶん。少なくとも腕と手は右で、右を使い続けて発達してきた。ハンド部でボールのハンドリング良くできればいいなと左手で日常動作をできるように練習して大概のことが左手でもできるようになったけど器用にやろうと思えば右手。ふつうに。そうしてふつうに、右足を利き足と仮定してボールを蹴ったり、トラック競技のスターティングブロックを組んだりしていた。それから利き足ってなんだろう?と、軸足ってじゃあその逆の足なのかな、と思って軸足は右だと思ってた。でも、ハンドボールで顕著だったのだけど、私は右足で飛ぶのが楽だし器用にできて、ついこのあいだ読んだランニングの本では、蹴り足がどっちに依っているのか確認する方法を試してみて、どうやら右足を軸にして左足で蹴る偏りがあるのだとわかった。パッと楽に立ったときにサッと前に足を蹴る動作をしたときに、どっちが出やすいかの動作確認だった。それで左足。驚くことはなくって、ふだんのランニングの脚の動きを思い出してみれば合点がいった。左足を前に蹴りだす時は足裏から連動して膝が出て足を前に伸ばす。右足はというと母指球と親指に強く力がかかって、前へ蹴り出してかかとをつくまで脚は膝を軽く曲げた状態で固まった感じ。軸にした右足から左足をやわらかく前に出して走るような。おそらくストライドやピッチは均等なのだ。設置時間は体感では変わらない。でも、不均一で、そして内腿を使ってなくて1本線上をなぞって走っているようなバランスだった。それからは、歩く時から意識している。基本的に足が身体より後ろ側にある時間が長かったのを、両足ともまっすぐ内腿を意識して蹴り出すようにして、横から見た(店舗のショウウインドウのガラスの反射とかの)姿は幾分か、前方に足を出して歩けている。その後のランニングではペースも楽に上がって走れて、でも左の内腿がビキビキに疲労したのはきっと蹴り足と軸足バランスを左に負ったところがあったのだろうと思う。こうしてバランスよく足を鍛えようと思った。このノートの発端を、補強するのがこの話。あれ。いや左右のバランスがむしろ取れた。
バランスが悪くなって身体のセンターで足を下ろす癖は走りとか歩きにあったんじゃない、ってのは心当たりがある。昔、いや今も、鉄棒とか石の上とか、バランスの悪いところに一本足で立つのが得意なのだ、うまいことバランスをとって立ち続けること、小学生の頃とかよくやった記憶がある。そして負けなしだった記憶もある。そのとき必ず私は、左足だった。左足の足裏はすごく器用だった。右足はやじろべえのようによい重しになった。いまはスクワットもできる。バランスよく。
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