君にもう会えないなら、死んでしまってもいいと思う。夕暮れ。

君に殺されてしまいたかった。君の、太陽みたいな君の、時折見せる影のような、月夜のような、曇天のような、暗い瞳が好きだった。
煙草も酒も、君から教わった。痛みも苦しみも、愛情表現だと、君から教わった。私を痛め付ける時の君は、いつも不穏な表情をしていた。快楽を味わうような、独りで泣いているような、そんな表情。君がいないと生きていけないんだと、君は笑いながら言う。私は、調弄すように笑って見せた。
あれから5年以上。君を忘れた日なんて無かった。君は私の代わり、みたいな人間を隣に置いて、あの太陽みたいな顔で笑っていた。私なんてもう必要ないみたいな顔で、ゴミでも見るような目で、見つめてくる。絶望した。君の全てになった気でいた。君の捌け口になれているつもりだった。あの時は気が可笑しかったんだよ、とか言って、ケロッとしていた。君が君を否定したら、君を愛した私まで否定されてしまう。恐い。
君に教えられた寂しさの埋め方を、忘れられずにいます。生まれた時からそうだったように、私の心に澄みついて、離れない。君が私の代わり、のような人間と笑うように、否、そんなのは自意識過剰だな。私の代わりなんてもの君はきっと求めてすらいない。でも私は、君の代わりみたいな人間に、君にされていたようなことをされていないと、どうにも生きた心地がしなくなってしまう。
自分の手で、他者の手で、自分を壊して、乱して、どうにか生き伸ばす。生きている、という実感を、無理矢理得る。そう、これで大丈夫。これで、きっと大丈夫になれる。って、君が教えてくれたから。


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