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10/14

いつも土曜日はフルで働いているから朝それなりに早起きだけれど、
この日だけは仕事も大学も稽古も何も入れなかった。
いつの間にか真っ黒になってしまったスケジュールに
たった1つ、たっぷりの余白に赤字で大きく書かれた
「ポイモロ3!!」の日。
10/14をたった一つのための「の日」にしたかったから、これでいい。

お昼に起きる土曜日は何年ぶりだったかな。
ポイモロの夢を見た。
席が角度の浅いリクライニングチェアで2人が見えにくくて、OPも幕間Vも凝っていて、
1本目がコントで、たくさんのゲストを呼んでいた。
あまりにショックだったのかガバッ、とダメな起き方をした。
あの望まぬライブが夢だとわかってかなり安心したし、
そうか、夢でみてしまうほど楽しみにしてたのか、と
改めて思い知ったりもした。
 
今季初めて着る洋服に袖を通した。
睫毛の角度もいつもより気持ち上がった気がした。
日常のこんなに細やかな部分まで変化するから、楽しみが与える影響の大きさって計り知れない。
友達や恋人、家族では賄いきれない独り占めしたいワクワクが10/14までの私には確実にあった。

ソワソワして早めに会場についたけれどもう既にお客様が沢山いた。みんなソワソワしてるのかな、と思って
わかるなあ、と勝手に強引に共感した。
普通に通行する近隣の方が
「なんかあんのかな」と思いながら、ライブを待つ私らを見渡す姿がなんか嬉しかった。
なんかあるよ、大きめのね。と思いながら見返した。

これは本当に余談だけれど、私の前に並んでいた2人の男性が恐らくご友人(?)らしき方々だった。
芸人としてのお2人を待つたくさんの人が並んでいる中で、自分たちにしか分からないお2人とのエピソードを次々としているのがすごく素敵だった。
私ごときですらこんなにウキウキしているのだから、
思い入れのある人が芸人としてこんなにも多くの人を動かしているなんて、相当嬉しいだろうな、と思った。
ちゃんとは聞いていないけれど、とにかく足が大きいらしい。
 
朝夢で見たライブとはまるでちがう
私が心から見たかった、熱のあるお2人の姿があった。

面白さの中にどこか美しさのようなものを感じるとても貴重なライブ。
お洒落なのに気取ったヤな感じが全くなくて、純粋な遊び心や企みたっぷりで、素人目からでも分かる計算高さ。
ライブとしてのクオリティ故の
みた、という感覚の重量。
お笑いだけじゃなくていろいろな芸術にご縁があったお2人なんだな、と思った。
そんなお2人のことが好きなお客様もまた素敵な方がたくさんで、あたたかな方ばかりだなと思った。
客は演者の鏡、という教訓じみた古臭い言葉を少し信じてしまう。

ポイモロ、というこの世に存在しなかった言葉に
ワクワクだったり、ソワソワだったり、特別感だったり
いつの間にか感覚的意味(私の言葉なので私が分かればいいや)が存在していると思った。
言葉によって定義できるようなものでは決してなくて、
ライブによって曖昧で膨大な感覚としてぽわわ、と意味づけされる感覚。
うーん、上手く言葉にできてないからここは分かられなくてもいいや。

普段だけでは発揮しきれない「らしさ」をこれでもかとダイレクトに味わえるから、
お笑いに限らず昔から単独、という響きに弱い。
希釈していない100%濃度のその人をみる機会。
単独の意味をしっかり分かっている方々のライブや公演を観るのはやっぱり楽しい。

どうかこの機会が長く長く続きますように。

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