見出し画像

『デジモンアドベンチャー 02』の「奇跡の紋章」について考察してみた〜大輔とブイモンは「Vテイマー」の神話を再現するためにアルフォースの持ち主と出会った〜

はい、今回は大輔専用と噂されている「奇跡の紋章」についての考察ですが、「Tri.」の時以上に妄想がてんこ盛りなので、これまた話半分で聞いていただければ幸いです。
「デジモン」に限らず他の少年漫画にも話が飛び火しますが、あくまでも「奇跡の紋章」とは何かを個人的に解釈するための手段でしかありません
そのため、その分野に馴染みのない方はピンと来ないと思いますが、あくまでも大輔とブイモンが「奇跡のデジメンタル」を唯一扱える者としてどう描かれているか?を考えます。


「奇跡の紋章」とはデジモン界における竜の紋章(『ダイの大冒険』)とトライフォース(『ゼルダの伝説』)のオマージュか?

デジモンに登場した紋章

「02」の20話で初めて登場し、以後劇場版・Vテイマー・クロスウォーズと多岐に渡って登場したので大輔専用になっている「奇跡のデジメンタル」ですが、とっかかりとしてまずは「紋章の意味と形」に注目してみました。
「デジモンアドベンチャー」には合計で9の紋章(勇気・友情・愛情・知識・誠実・純真・希望・光・優しさ)に加えてつの特殊なデジメンタル(奇跡・運命)がありますが、それぞれの紋章が表す形と意味は以下の通りです・

  • 勇気……太陽(光属性にして絶対的正義。大輔が継承)

  • 友情……勾玉(光と闇の両方を含む想いの紋章。大輔が継承)

  • 愛情……ハート(光属性の想いの紋章。京が継承)

  • 知識……虫眼鏡(中立的・客観性のある紋章。伊織が継承)

  • 誠実……十字架(中立的ながら主観性のある紋章。伊織が継承)

  • 純真……涙(相手を慈しむ想いの紋章。京が継承)

  • 希望……日の出(絶望の中に差し込んだ最後の光。タケル専用だが大輔も使用可能)

  • 光……光芒(進化の光であり、神に近い属性。ヒカリのみが使用可能)

  • 優しさ……抱擁(相手を愛おしく抱きしめる想いの紋章。賢専用の属性か?)

  • 運命……無限(輪廻転生を司る神に近い属性。ウォレスのみ使用)

  • 奇跡……黄金の鎧(起死回生を可能にする真の希望。大輔のみが使用可能)

このようになっていますが、私の中で奇跡以外は意味と形が明確なので何とか把握できましたが、奇跡だけはいまいちピンと来なかったのです、アズマケイさんの小説にある解釈・考察を読むまでは。
だって他が「丸」か「四角」になっている中で何で奇跡だけ「三角」なのか、しかもなぜ大輔とブイモンだけが使えて他の人たちが使ったことがないのか不思議でなりません。
もちろん模様の中に「M」が入っているのですが、これが「Miracle(奇跡)」「Magna(偉大な)」「守りの要」辺りを意味するであろうことは想像できますが、それでも未解明な要素が多いです。
そこで過去の作品の中にこれと似た形や特徴を持ったものがないかなあと思ったところ、意外と身近なところに「奇跡の紋章」に近い特徴のものが2つ浮かびました。

竜の紋章
逆さにした奇跡の紋章

1つが『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に出てくる「竜の紋章」であり、奇跡の紋章を逆さまにしたらほぼ似たような形です、しかもダイもブイモンもどっちも「竜(ドラゴン)」です。
「竜の紋章」には竜の騎士達の様々な要素が詰め込まれており、また「竜の闘気」なる独自の要素が強く、ダイに関しては「双竜紋」まで継承していますが力の消耗が激しく使える時間が長くありません。
それはこの「奇跡の紋章」にも共通しており、おそらくあの黄金アーマーには歴代のマグナモンが古代デジタルワールドを守ってきた戦いの記録や戦闘能力が凝縮されているはずです。
02本編ではブイモンのみならず周囲の選ばれし子供達のデジモンをも再度アーマー進化させていましたが、「クロスウォーズ」でも言及されていたように、瞬間的に潜在能力以上を引き出す為使用時間が長くありません

トライフォース

もう1つが「ゼルダの伝説」シリーズにあるトライフォースですが、こちらもまた「力」「知恵」「勇気」の三要素を司るもので、リンクが「勇気」、ゼルダが「知恵」、残りの「力」を代替わりで継承しています。
漫画版では「世界を守る一族が額に張り付けて輝かせ能力を行使する」という独自設定があって、これが奇しくも上記の竜の紋章と共通しているところであり、また奇跡の紋章もオマージュしている要素ではないでしょうか。
更にアズマケイさんの「奇跡の紋章」の解釈は「光だろうが闇だろうが関係なく潜在意識が強烈に想うことを叶える」なので、例えば「デジモンハリケーン」でチョコモンが「死」を願った時の様に「死」を実現することもあります。
はっきり言ってこれは光の側である勇気・希望・光以上に残酷かつ強大な紋章で、言うなれば「優しさ」「希望」「光」「純真」辺りを全部凝縮したとんでもないオーパーツです。

大輔とブイモンにしか使いこなせない理由は彼らが唯一の「ブイモンの直系」だから

この意味から逆算的に考えていくと、大輔とブイモンが歴代の中で唯一暗黒進化しなかった理由も明らかで、「優しさ」「希望」「光」「純真」を凝縮したオーパーツなんて強大すぎて心に偏りがある人には使いこなせません
少なくともテレビシリーズの主人公では大輔以外は無理です、太一・啓人・マサル兄貴は私利私欲で力を暴走させて暗黒進化していましたから、そんな危なっかしい奴らに奇跡が使えるわけないでしょう。
神原拓也・工藤タイキ・明石タギルはいわゆる「暗黒進化」そのものは経ていませんが、やはり心のバランスを崩してそうなりかけたことがありますし、人間としての心の器が大輔ほど深くも広くもありません。
まさに「君にしかできないことがある 青い星に光がなくせぬように」という「brave heart」の歌詞そのものであり、実は「brave heart」は無印組ではなく本宮姉弟の曲だったとアズマケイさんの小説では解釈されています。

デジモンシリーズもこれだけ多くのシリーズが出ているのに、ブイモンテイマーもブイドラモン系列含めて3人いるのに、その中でなぜ大輔だけが「奇跡の紋章」に選ばれたかというと唯一原種のエクスを使いこなせるテイマーだからです。
つまり「NARUTO」で言うところの写輪眼や白眼などのような「血継限界(固有の一族にのみ伝わる遺伝的な資質・能力)」に近い、つまりあらゆる種族の中でもごく限られた一部の人しか使えません。
ブイドラモン系列が亜種でエクスブイモンが原種という後付け設定が出てきましたが、これが結果的に大輔とブイモンの希少価値を高めることに貢献してくれたともいえます。
もちろん、だからと言って当の本人はそんなことで驕り高ぶるような人ではなく「選ばれし子供がなんだ!俺は特別でも何でもねえ!」っていうでしょうし、それくらいでなきゃマグナモンも皇帝龍も使いこなせませんが。

おそらくですが、大輔とブイモン以前にもこの「奇跡の紋章」を使いこなしてデジタルワールドの危機を救った人はいるはずですが、何故だかデジタルワールドにはその神話が記録されていません
それにも関わらず「ディアボロモンの逆襲」ではかつて太古のデジタルワールドを危機から救ったとされるインペリアルドラモンパラディンモードが出てくるのですから、辻褄が合わないのです。
そう、これは意図的にデーモンら暗黒勢力によって秘匿されており、実は無印組の冒険が始まる前の時点で既にそう言った「千年アイテム」に近いであろう存在はことごとく消されています
我々の現実社会が実は母子手帳に登録された時から既に侵略されているのと同じように、実はデジモンのアニメシリーズは02後半になるまでまともな支援や攻略本すらない悲惨な状態でした。

その運命がどこで変わったかといえば、再三強調しますが恐らくは「Vテイマー」での大輔とタイチの共演であり、ここで大輔とブイモンは自らに課された「奇跡」の本質に近づいています。
八神タイチというとんでもない並行同位体と出会い、また彼らの力すら自らの作戦に利用する大輔とブイモンの姿は高石タケルの脚色が入りまくっている原作では再現されていません。
それもそのはず、暗黒側からしたらパラレルモンが大輔たちの目の前に出現し、まさかの「最良の世界」であったVテイマーの世界に飛ばされるなんて想定外だったことでしょう。
しかも大輔は本質を取り戻してカイザーであった一乗寺賢とワームモンを説得して仲間に引き入れ、更に皇帝龍までチンロンモンのバックアップで使えるようにしていますからウカウカしていられません。

漫画版「Vテイマー」のデジメンタルと「奇跡のデジメンタル」は暗黒側にとっての脅威

デーモン超究極体

「Vテイマー」と02にはいくつか共通する要素がありますが、分けても「ライバルキャラの救済(タイチがネオを救う=大輔が賢を救う)」と「デジメンタル(古代種デジモンの特権)」は外せないでしょう。
Vテイマーの方のデジメンタルはタイチの永遠のライバル・彩羽ネオの妹・レイが持っていた特殊アイテムであり、想いの力によってアルフォースブイドラモンを更に上の超究極体に進化させる役割を果たしました。
漫画版「Vテイマー」はそれ自体がデジタルワールドにとって最良の世界だったというだけではなく、実は大輔たちアニメのアドベンチャーシリーズに出てくるデジメンタルの参照元にもなっているはずです。
アズマケイさんも考察しての通り、かつてのデジメンタルには紋章などなかったのに「02」では紋章をモデルに復活しており、更にその中で「奇跡」と「運命」がロストテクノロジーとなっています

当初は「Vテイマー」とアニメ版「デジアド」シリーズでなんとか整合性を持たせようとしたものの「パラレルワールド」としての解決がなされましたが、ただ無関係なわけでもないでしょう。
アズマケイさんの小説では「Vテイマー」がアニメ版よりはるか昔の古代デジタルワールド→無印→02という解釈ですが、個人的にはどちらかといえば「コインの裏表」に近い関係だと思います。
大輔たちの世界に出てきたデーモンとVテイマーのデーモン、恐らくは同一個体の転生体だと思われますが、「Vテイマー」ではフューチャーモードで勝ったのに「02」では完全にマント状態で接待プレイです。
明らかにラスボスのベリアルヴァンデモンより遥かに強いにも関わらず暗黒の種を狙って動いていましたが、それは本宮大輔とブイモンがまさかの「飛車角王手詰み寸前」みたいな状態からひっくり返したからでした。

例えるなら「Vテイマー」における八神タイチと彩羽レイの役割を兼任する形でやっているのがキメラモン戦辺りからの大輔とブイモンの役割であり、これは無印から狙っていた暗黒勢力にとっての想定外です。
ようやくデジタルワールドを支配できるかに思われた矢先、大輔とブイモンという暗黒勢力にとっての最大のバグがいたがために完全に想定外の方向に針が傾きはじめてしまいました
だからこその「奇跡のデジメンタル」なのでしょう、既にロストテクノロジーとなった「奇跡」の存在たるマグナモンを大輔が優しさの紋章から変換して使うというとんでもないことをやってのけたのです。
そりゃベリアルヴァンデモンどころかデーモン軍団も恐れるはずですよ、無印の子達もほとんどが暗黒側の策略にハマってデジタルワールドと人間世界に被害を拡散して、思い通りになっていた中で伏せられた逆転の切り札が確変を起こしたのですから

かの大山シュウさんも「大輔とブイモンはベリアルヴァンデモンにとって存在自体が初見殺し・罠カードのようなもの」と述べていて、実際02の敵のほとんどはそうやって大輔とブイモンを甘く見たために負けています
劇中での大輔とブイモンの評価が視聴者側と全く一致しないのも当然のことで、「奇跡」って滅多なことで起こるものではなく、日常ではそんなに起こらないからこそ土壇場で起きたときの衝撃が凄まじいのです。
それを受けてデーモンら暗黒側は気付き始めたはずです、「不味い、このまま行くとかつての八神タイチとゼロマルに負けたあの世界の再現になりかねない」と……だから大輔の第二の急所である一乗寺賢を狙いました。
そりゃこんなのわかる筈もありません、「Vテイマー」でいう八神タイチとヒロインのレイちゃんの役割をほぼ一人で兼任している奇跡のテイマーなんて何千年にいるかいないかのレベルですよ、そりゃ神メンタルにもなります。

大輔とブイモンに唯一足りていないのが「アルフォース」の加護

「奇跡の紋章」を考察していくと、大輔とブイモンに唯一足りていないものがあります、そうそれは「アルフォース」という風の守護であり、マグナモンだけではデーモンには打ち勝つことはできません。
「Vテイマー」の神話をアニメのアドベンチャーが12人がかりでも再現できていないのは当たり前の話で、「八神タイチ」「奇跡のデジメンタル」「ブイモン」「彩羽ネオ」に加えて「ゼロマル(アルフォース)」も必要となります
そしてその「アルフォース」を担うのがもう一人のブイモンテイマー・四ノ宮リナであり、2013年という「THE BEGINNING」の話から1年後に「デコード」という形で登場することになりました。
最初にリナを見た時私は不思議に思ったのです、なんで「アルフォース」のテイマーがタイチとは別軸に存在するのか?と……でも「奇跡の紋章」から考察していくと当然の帰結です。

彼女とブイブイは大輔とブイモンの負担を軽減し、「02」ではなし得なかった「デーモンを倒す」という神話の再現を可能にするために出てくる必要がありました。
四ノ宮リナは今でこそハイテンションで勝気な元気印の少女として描かれていますが、実は「デコード」では割と大人しくて右も左も分からないような子だったのです。
しかし実力者のニコをボコボコにした「デコード」能力者で更に漫画版ではゲーセンで百戦百勝もしていますから、いうまでもなく勝率100%テイマーたる八神タイチとゼロマルのオマージュでしょう。
そう、彼女はアドベンチャーの世界に来て大輔とブイモンが持っている「奇跡」を完全に安定させるために必要な存在だったわけです。

アルフォースという古代種のオーバーライトを唯一克服できる自然治癒・自己再生の機能こそが爆発的な奇跡の輝きを安定させるには足りませんでした。
現に「Vテイマー」のコラボ回では大輔が強く願ったらその想いがパラレルモンに囚われている京たちに通じて想いの力として重なり「奇跡のデジメンタル」として大輔のD-3に収まりました。
これが可能だったのは明らかにタイチとゼロマルという「アルフォース」の可能性を持った存在が側にいたからであり、これをリナとブイブイは「デコード」によって擬似的に再現しています。
私とさき姫さんがなぜ大輔の奧さんに相応しいのが四ノ宮リナなのかというと、彼女にしか大輔とブイモンの持つ可能性を100%以上に引き出しきれないからです、少なくともヒカリでは荷が重すぎます。

こちらの掲示板でも「大輔は明らかに乙女ゲーで攻略されるタイプ」と言われていておもわず笑ってしまいましたが、海外の二次創作でも大輔って確かにヒロインから攻略される側として描かれることが多いです。
そりゃそうでしょう、たった一人で「勇気」「友情」「奇跡=(優しさ+希望+光+純真)」をたった一人で難なく使いこなし、コミュ力高くて誰とでも仲良くなれてサッカーも出来て英語得意の帰国子女と破格のオーバースペックですから。
更に将来はニューヨークで始める屋台ラーメンでメンバー一の金持ちとなる訳ですから、デジタルワールドと人間世界の双方にとっての超優良物件って喉から手が出る程に欲しくなる人材に決まってます。
こんな男を口説き落として結婚までこぎつけられる女性って誰がいるかと考えたら、やっぱりスレイプモンを説得して仲間に引き入れた四ノ宮リナじゃなきゃ不可能だと思いませんか?

大輔は本来弟気質の甘えん坊さんなので気質としては京やミミちゃんに近いですが、彼女たちでは大輔を扱いきれません、荷が重すぎます。
だって「奇跡」の力を安定させることが第一条件ですから、そんなことができるのはアルフォースを持つ者しかいませんよ。
そう考えると本当に「奇跡の紋章」って一歩でもさじ加減を間違えたら世界そのものが滅んでしまう危うい力ですから、暗黒進化なんて出来ようはずもありません。

まあ一番恐ろしいのはそんな奇跡の子に匹敵する「空白の席」たるアルファモンのテイマーと思しき本宮ジュンですけどね。
つくづく暗黒側もアホなことしたもんです、「守りの要」と「空白の席」と「神速のアルフォース」と「最後の聖騎士」とロイヤルナイツが4体もいる世界線を敵に回して勝てるかっての。
あとリナちゃんはその押掛け女房体質でさっさと大輔口説き落とした方がいいと思います(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?