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泥まみれになりながら/2019年の振り返り

「ひょっとして何か成し遂げたつもりでいるんじゃねぇだろうな」

スピーカーからふいに流れてきたBOSSのリリックに胸を打たれる2019年、小雨の大晦日前夜。

毎年、年の瀬になると、母が作るおせちをつまみながら、酒でも飲んで、ほっこりとゆく年くる年に想いを馳せていたものだけれど、今年はそんな悠長な気持ちにもなれず、蒲田の四畳半で1人、原稿と向き合いながら、粛々と年を越そうとしている。

この1年を振り返ってみると、今年の一大トピックが「退職」と「転職」があったことは間違いないだろう。

8月末、新卒で入社した面白法人カヤックを退職。

そして9月、徳谷柿次郎さん率いる編集プロダクション「Huuuu」に入社。

同時に、蒲田の四畳半に引っ越し、ここから怒涛の日々が始まった。

取材や出店で巡った、和歌山、宮崎、長野、山梨、山形、福井、三重。
今まで経験したことのない未知との遭遇に、連日頭をスパークさせながら、旅の疲れも各地の美味しいご飯とお酒で癒やした。そして、地方で粛々と生業に向き合う人々の姿を見る度に、もっとこの人達のことを世に伝えたいという気持ちが芽生えた。

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しかし、そんな気持ちとは裏腹に、原稿執筆では、言語化の難しさを痛感することになる。

たった小一時間のインタビューではあるものの、言葉一つ一つの裏側にその人がこれまで培ってきた時間があることを考えると、記事を書き上げることはそう簡単なことではなかった。

どうすればこのインタビューの空気感を伝えることが出来るのだろうか。もっと良い言い回しはないだろうか。ここは削ってしまってもよいのだろうか。そもそも「いい記事」ってなんなのだろうか。そういったことを逡巡しているうちに表現の泥沼にハマり、多方に迷惑をかけながらも、どうにかこうにか2本の原稿を書き上げた。

編集面では、ジモコロで2本の漫画連載と、1本の記事を担当し、毎回自分の予想を超えてあがってくる原稿を見る度に、編集者として作品に伴走できることへの喜びを感じた。

また、長野のお店「シンカイ」の運営にも加わり、10月末から11月の頭にかけて大改修を決行。最終日のパーティでは、シンカイにゆかりのある人々が集まり、これぞ場所がある意味だよなぁと思える、最高の夜を過ごすことができた。

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しかし、公開してしまえば一応手から離れる記事の執筆とは異なり、お店を継続することは終わりの見えないマラソンのようなものでもある。課題も多いけれど、だからこそ生まれる瞬間を信じて、来年はよりシンカイを盛り上げていきたい。

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こうして、退職、転職、地方出張、記事の執筆、編集業務、お店の改修と、初めての連続に奮闘している間に、4ヶ月という月日はあっという間に過ぎ去っていった。

■来年に向けて

社会人も2年目に突入し、時に盛大に転んで泥まみれになりながらも、とにかく感情のスウィングには絶えない1年だったことは確かだ。

「配慮」というリミットが解除され、無法地帯と化す午前0時過ぎの飲みの席。普段は優しい諸先輩方も、その時間は目を爛々と輝かせながら鬼と化す。容赦のない言葉の応酬に何度も頭が真っ白になり、自身のスキルと覚悟の足りなさをひしひしと痛感した。

何も成し遂げていないことへの悔しさがこみ上げて、涙が溢れた2019年某日。来年こそは、自分の自信作はこれだ!というものが作れるように、スキル経験ともに積んで、精進していきたい。

こんな僕ですが、2020年も何卒よろしくお願い致します。

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