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師子堂日寅の気まぐれインド哲学 第23回ヒンドゥーの神々②

 さぁ、続いてはヴィシュヌとクリシュナの解説に移りたいと思います。特にヴィシュヌは大変文量も多いため、目次からかいつまんで読んでくださっても構いません。
 では今回もお付き合いくださいませ。

3.ヴィシュヌ


1)ヴィシュヌの起源


 ヴィシュヌは、シヴァと並ぶヒンドゥー教の最高神です。ヴェーダに起源をもつ神で、すでに『リグ・ヴェーダ』に現れますがヴィシュヌに捧げられる讃歌はわずかで6篇しかなく、ヴェーダの神々の中では控えめな存在です。
 後代のヒンドゥー教におけるヴィシュヌのような高い地位は占めていません。しかし、わずかな言及の中にも、後のヴィシュヌの華々しい性格の片鱗はすでにうかがうことができます。

ヴィシュヌは、伝統的に太陽の光照らす作用が神格化されたものとされる。この解釈は、古くからあり、すでにヤースカの『ニルクタ』12.19に引用されています。しかし、オランダの碩学ホンダは、ヴィシュヌについて「上昇する」など太陽に特徴的な表現が見られないこと、むしろ世界の中央という位置を与えられることから、もとは祭柱などによって象徴される「宇宙樹」(axis mundi)ではなかったかと考えました。

 『リグ・ヴェーダ』において、ヴィシュヌは天・空・地の三界を三歩で踏み越え、祭式を保護して人間に安全と住居を与えるとされ、寛容で慈愛あふれる神です。また、インドラの協力者として、インドラのヴリトラ退治などの武勇伝にしばしば現れます。
 このようなヴィシュヌが、さまざまな土着信仰の神々を次々に吸収して、多面的な性格を帯び広く信仰を集めて、ついにはヒンドゥー教でシヴァと勢力を二分する偉大な神になっていきます。

2)ヴィシュヌの特徴


 ヴィシュヌは、その起源があまねく広く広がる光で人間に住居と安全を与えるとされるように、すべてを包み込む寛容で慈愛あふれる神です。

 ヴィシュヌ像は普通、青黒い肌、四本の腕、蓮華のような目で描かれます。胸に仔牛の印(vatsa)がついているのは、偉大な仙人バラドヴァージャが祈りっているところを邪魔したとき、投げかけられた水の跡とされます。黄色い衣をまとい、円盤、ほら貝などを手にしています。 
ヴィシュヌには黄金の八輪の戦車があり、また怪鳥ガルダを乗り物とします。アナンタ(あるいは、シェーシャ)竜王の上で、妃のラクシュミーとともに憩う姿がよく描かれます。また、水中に眠る姿のヴィシュヌもよく描かれます。これは臍から蓮華が生え、その蓮華からブラフマーが生まれ、世界が創造されたという神話によります。

 ヴィシュヌは、ハリ、ナーラーヤナなどとも呼ばれます。この他にも多くの異名があるのが特徴です。
 『マハーバーラタ』の「アヌシャーサナ・パルヴァン」第135章は『ヴィシュヌ・サハスラ・ナーマ』(ヴシュヌの1000の名)と呼ばれる部分で、単独で抜き出して読まれます。
 ここにはヴィシュヌの1000の名を称える功徳が説かれます。いわば、称名の思想であります。臨終のとき、ヴィシュヌの名の一つでも称えれば、天界に救われるという信仰もあります。

 また、ヴィシュヌの特徴は多くの化身(アヴァターラ avatāra)を持つことであるが、これを次節から語ってまいりたいと思います。

3)ヴィシュヌの化身(アヴァターラ)


 ヴィシュヌの特徴は多くの化身(アヴァターラ avatāra)を持つことであります。アヴァターラはもともと「下る」という意味の動詞アヴァタラティに基づく語で、一般的には 「神が地上に降下すること、この世に現れること」を意味しますが、特にヴィシュヌがこの世でとるさまざまな姿、すなわち「化身」という意味で用いられます。

 ヴィシュヌのアヴァターラにはさまざまな説がありますが、代表的なのは10化身説です。
 10化身として数えられるのは、(1)マツヤ(魚)、(2)クールマ(亀)、(3)ヴァラーハ(イノシシ)、(4)ヌリシンハ(人間ライオン)、(5)ヴァーマナ(小人)、(6)パラシュラーマ(斧を持つラーマ)、(7)ラーマ、(8)クリシュナ、(9)ブッダ、(10)カルキンであります。

 これらのうち、とりわけ叙事詩の英雄ラーマとクリシュナを化身として取り込むことにより、ヴィシュヌ信仰は盛んになっていきました。

4)ヴィシュヌの10の化身(アヴァターラ)


(1) 魚(マツヤ)

 人間の祖マヌが川で顔を洗っていました。そのとき手の中に小さな魚が入ります。捨てないでくれ!という魚の願いを聞いて、マヌは大事に育てることにします。そして、魚はどんどん大きくなり、ついに巨大な魚となる。
 海に放すと魚は、大洪水が近いことをマヌに教え備えるよう忠告します。そして本当に大洪水が起こります。するとヴィシヌの化身である魚の頭にはえた角につないだ船に、マヌとその家族、七人の仙人(北斗七星)は乗って助かるのです。(シャタパタ・ブラーフマナ)

 この伝説は、オリエントに伝わるノアの洪水伝説(『旧約聖書』「創世記」第6章、ギルガメシュ叙事詩、第11書板)と関係があるとみなされています。

マツヤ



(2)亀(クールマ)

 神々(デーヴァ)は魔神(アスラ)たちと協力して乳海を攪拌し、不死の妙薬(アムリタ)を手に入れようとしました。このとき、マンダラ山を抜いて攪拌棒として用いたが、沈んでしまうので、ヴィシュヌは亀になって海の底に潜って下で支えました。(シャタパタ・ブラーフマナ)  
 乳海攪拌の神話は、牧畜民のチーズ作りに由来する創造神話の一種であるとされています。

クールマ


(3) イノシシ(ヴァラーハ)

  大地がヒラニヤークシャという魔神のため水底に沈められたときヴィシュヌがイノシシになって牙で大地を救い上げました。(シャタパタ・ブラーフマナ)
 これは土着のイノシシ信仰による伝説とされています。

ヴァラーハ


(4) 人間ライオン(ヌリシンハ)

 「ヌリシンハ」(あるいは、ナラシンハ)とは、ライオン(シンハ)の頭を持つ人間(ヌリ / ナラ)のことです。

 ヒラニヤカシプという魔神が「昼にも夜にも、動物、人間、神々によって殺されることがない」という願いをブラフマーに許され、不死身となってしまいました。
 ヒラニヤカシプは、人や神を殺す非道を行い、ついには自分の息子プラフラーダも殺そうとします。プラフラーダは、ヴィシュヌに助けを求める。ヴィシュヌは、昼でも夜でもない夕方に、人でも動物でもないヌリシンハになり、ヒラニヤカシプを退治します。


ヌリシンハ


(5)小人(ヴァーマナ)

  (宇宙の)第7トレーター期に、全世界はバリという魔神(アスラ)が支配し、神々をも苦しめました。そこへヴィシュヌが現れ、小人になってバリが催す祭に出かけます。
 ヴィシュヌはバリに「あなたは三界の王です。あなたの中にすべてが収められています。王さま、どうか私に3歩で歩いた分だけの領土をください」と願う。ヴィシュヌが小人なので、バリはその申し出を喜んで許します。すると、小人は突然巨大になり、天、空、地、すなわち全世界を3歩で歩いたのです。(あるいは、2歩で天界と地界を跨ぎ、3歩目をバリの頭に載せて、バリを地獄の底に沈めた。)(ヴァーユ・プラーナ)

ヴァーマナ

(6)ラーマ

 ラーマは、叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公です。コーサラ国の王子ラーマは、腹違いの弟バラタの母が横槍を入れたため王位につけず、都アヨーディヤーを去って森林生活をすることになります。
 しかし、ラーマが森の魔神を退治したところ、魔神の長ラーヴァナが怒り、森を襲ってラーマの妃シーターをさらってランカー島へ連れ去ってしまいます。ラーマは、猿王スグリーヴァを助けた縁で、その家来ハヌマーンの援助を得ます。そして、ラーマは猿軍団の助けによってランカー島に渡ってラーヴァナを倒し、無事シーター姫を助け出すのです。

 インドだけでなく、東南アジアにも広まった有名な話です。猿の助けによる遠征物語は、中国では西遊記となり、日本では桃太郎などのおとぎ話のモデルになったと言われています。

ラーマ



(7)パラシュラーマ(斧を持つラーマ)

 カールタヴィーリヤ王がジャマドアグニ仙人の庵を訪れた時のことです。ジャマドアグニ仙人は、カーマ・デーヌ(望みのものを出す牛)でカールタヴィーリヤ王をもてなします。
 恩知らずの王は、仙人からカーマ・デーヌを奪ってしまいます。仙人の息子パラシュラーマは、怒って王家に出かけて行き、王を殺してしまいます。そして、王の息子達は、仕返しにジャマドアグニを殺しました。すると、パラシュラーマはそのまた仕返しにクシャトリヤ階級の男を21度皆殺しにしてしまいます。

穏やかな性格をもつ神として描かれる傾向が強いヴィシュヌの伝説の中では異色なものであります。これはバラモンとクシャトリヤの覇権争いを反映しているとされています。


パラシュラーマ


(8)クリシュナ

 クリシュナは、とりわけ重要なので後述します。

(9) ブッダ

 神々(デーヴァ)が魔神(アスラ)たちと戦い敗れてしまいます。そして、神々はヴィシュヌに助けを求めました。ヴィシュヌはブッダとなり、魔神、悪人達にヴェーダをすてさせ、悪をはびこらせ、破滅に追いやったとされています。(バーガヴァタ・プラーナ)。

 あるいは、『ギータ・ゴーヴィンダ』によれば、動物を哀れんだヴィシュヌは犠牲として動物を用いることをやめさせるためブッダになりました。これは仏教とヒンドゥー教の融合が背景にあるとされています。

ブッダ



10)カルキン(kalkin)

 カルキンは、未来に現れるヴィシュヌの化身です。カルカは「罪、悪」の意味で、カルキンはそれをもつものとされています。宇宙が破滅するとき、白馬にまたがり抜いた剣を持ったヴィシュヌ(カルキン)が現れ、悪人と善人を選別し、黄金時代を回復するとされています。

 この話には、ゾロアスター教の終末観やキリスト教のイエスの再臨と最後の審判の思想の影響があるという説もあります。直接には仏教が未来仏(未来に現れてあらゆるものを救済するブッダ)として説くマイトレーヤ(弥勒)菩薩にもとづくとされています。

カルキン


5) クリシュナ


クリシュナ」(kRSNa)は、もとは「黒」を意味する形容詞です。肌の色が黒いためこの名がつけられました。クリシュナは、ヴィシュヌの化身のうちでも、ラーマとともに民衆にもっとも人気があり広く信仰されています。

クリシュナも、ヴィシュヌに劣らず多面的な神で、いくつかの異なる神が複合されて成立しました。クリシュナ信仰の成立と発展の過程はきわめて複雑で、西インドのいくつかの部族の神々が合体して多様な相をもつに至ったと推定されています。
 正確なところは不明ですがクリシュナを構成する主な要素として、次のようなものがあげられます。
(1)ヤーダヴァ族の英雄クリシュナ
(2)ヴリシュニ族の一神教的なヴァースデーヴァの信仰
(3)アービーラ族の牧童(ゴーパーラ gopAla)の信仰
(4)正統バラモン思想の伝統との融合によるヴィシュヌの化身としての信仰


(1)ヤーダヴァ族の英雄クリシュナ
 これは『マハーバーラタ』に登場するクリシュナです。クリシュナは、マハーバーラタ戦争において、ドヴァーラカ(現在のグジャラート州、北西海岸ドワールカ)地方のヤーダヴァ族を率いてパーンダヴァ軍に味方します。そして、アルジュナ王子の御者として、ときには王子を励まし、ときには巧妙な作戦を教えて王子を勝利に導くのです。

 この戦争の伝説が史実かどうかはともかくとして、ヤーダヴァ族のクリシュナは歴史的人物と考えられます。クリシュナは一族の指導者として、バガヴァットに対する信仰を説きました。バガヴァットを信仰するものをバーガヴァタといいます。クリシュナは、いわば、バーガヴァタ教の祖であるのです。
 とりわけ、彼は「信愛」(bhakti)という神への愛にも似た熱烈な信仰を説いたとされています。「信愛」は、後代のヒンドゥー教において信仰の最も純粋なもの、真髄とされています。死後、クリシュナはバガヴァットと同一視されたのであろうと言われています。





(2)ヴァースデーヴァの信仰
 ヴァースデーヴァは、ヴィリシュニ族の英雄か王であったろうとされる。この名には、紀元前4世紀のパーニニが言及しています。
 また、紀元前2世紀のパタンジャリの『マハーバーシュヤ』に「あるものたちはカンサの信者であり、あるものたちはヴァースデーヴァの信者である」と言及されています。カンサは、後代のクリシュナ神話では、クリシュナのいとこでありますが敵対者で、クリシュナに殺される悪王として描かれています。
 しかし、仏典の『ジャータカ』が伝える話では、クリシュナではなく、あくまでヴァースデーヴァの話で、カンサは悪王ではありません。それは,次のような話であります。

 ウッタラーパタのカンサ州にマハーカンサという王がいました。王には、カンサとウパカンサの二王子とデーヴァガッバーという王女がありました。
 この王女の子が生まれれば、王国は滅ぶという予言のため、王女は高楼に閉じ込められていました。しかし、ウッタラーマドゥラ国の王の弟、ウパサーガラが近づき、娘アンジャマデーヴィーが生まれました。
 娘だったので、兄達は安心して王女にゴーヴァッダマーナ村を与えウパサーガラとともに住むことを許しました。二人からは、ヴァースデーヴァ、バラデーヴァ、チャンダデーヴァ、スリヤデーヴァ、アッギデーヴァなど十人の子が生まれました。王達には二人の子ではなく、奴隷の子だと騙して育てたのです。
 成長すると、十人の王子は、狂暴な力士となり、二人の叔父を殺して王位を奪い、さらにアヨッジャー、ドヴァーラヴァティーを侵略し、インドを統一します。その後,カンハディーパーヤナ仙人を殺し、彼の予言通り、七日後に兄弟は互いに争って殺し合い、皆滅んだのです。

   碑文によれば、紀元前2世紀、ギリシア人ヘリオドロスは、「神々の中の神ヴァースデーヴァ」にささげる石柱をベスナガルに建てました。彼は、バクトリア大使としてタクシャシラーに滞在していましたがその碑文の中で、自分を「バーガヴァタ教徒」と呼んでいます。
 また、石柱の頂には、ガルーダ(金翅鳥、あるいは迦楼羅)が飾られていたといいます。(ガルーダはヴィシュヌの乗る鳥とされる。)この頃までに、バーガヴァタとヴァースデーヴァは一体のものと見なされていたことが理解できます。


(3)アービーラ族の牧童(ゴーパーラgopAla)
 この信仰は、マトゥラー周辺に広まっていたと考えられます。現在もマトゥラーの北には、クリシュナの生誕地とされる所があり、そこにはクリシュナ・ジャナム寺院が建てられています。
 また、マトゥラー西北のヤムナー河畔にあるヴリンダーヴァンは、クリシュナが牧女たちと遊び戯れた森のあったところとされています。そこには寺院が多く建ち並び、クリシュナ信仰の中心地となっています。

 『ハリヴァンシャ』は『マハーバーラタ』の付属文献として伝えられていますが、クリシュナの神話を伝えるものです。およそ、西暦1世紀頃から数百年かけて完成されたと考えられます。若く、美しい牧童のクリシュナがヴリンダーヴァナで魔神を滅ぼし、牧女たちと戯れる様子が描かれています。

 10世紀頃に成立したと推定される『バーガヴァタ・プラーナ』によれば、クリシュナはマトゥラー周辺にヴァスデーヴァの子として生まれ、幼い時から怪童としてヤムナー川に住む毒竜カーリヤを退治するなどさまざまな奇蹟を行います。そしお、ついにはマトゥラーの悪王カンサを殺して人民を救った英雄として描かれます。
 また美貌の牧童として描かれ、笛の名手で夕べにヴリンダーヴァナで笛を吹くと、牧女たちは恋情をかき立てられ、惹きつけられて、彼のもとに集まり、歌い踊り、奔放な愛に戯れたとされています。

 12世紀ベンガルの詩人ジャヤデーヴァは、『ギータ・ゴーヴィンダ』(牛飼いの歌)を著わし、クリシュナと牧女ラーダーの官能的な愛の叙情詩を美しく歌いあげました。ここに描かれる性愛への熱情と宗教的真情が渾然一体となった境地は、ヒンドゥーのエロス的熱情をともなう「信愛」(bhakti)を象徴的に表現するもとして広く受け容れられ、大きな影響を及ぼしとされています。


幼き日のクリシュナ



6) ナーラーヤナ

 ヴィシュヌは、ナーラーヤナとして信仰されることがあります。ヴィシュヌ派の中でもとりわけパーンチャラートラ派においてはそれが著しいです。

 ナーラーヤナは、古くは『シャタパタ・ブラーフマナ』に現れます。そこで、ナーラーヤナはプルシャと同一視されます。
 このプルシャは『リグ・ヴェーダ』10.90「プルシャ(原人)の歌」に説かれるプルシャです。巨人解体による宇宙創造の主人公で、このプルシャの身体各部分からブラーフマナ、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラの4階級が生まれ出たとされます。一説によれば、この讃歌の作者がナーラーヤナで、讃歌の作者と讃歌に説かれるプルシャとが同一視されたのではないかといわれています。

 上述の『シャタパタ・ブラーフマナ』の箇所には、「パーンチャラートラ」も言及されます。この語は、「五夜」を意味するパンチャ・ラートラに基づく語であるが、ここではプルシャを生贄とする五日にわたる祭式、プルシャメーダをさす。パーンチャラートラ派の名もここから由来すると考えられています。


 『マハーバーラタ』は、「ナーラーヤニーヤ」と呼ばれる部分にあたります。ここではハリ・ナーラーヤナという呼称が用いられ、やや曖昧ではありますがヴィシュヌの化身としてのナーラーヤナが説かれます。ナーラーヤニーヤ」の成立年代は、はっきりしませんがバーガヴァタに言及し、「信愛」(bhakti)が強調されることから、紀元前2世紀頃に成立したであろう『バガヴァッド・ギーター』よりは後と推定されています。

 「ナーラーヤニーヤ」には、ナーラーヤナの名前についての語源解釈が出ます。

 「私は、諸々の個我の性質を知っている。私が何であり、私がなぜ(そう呼ばれるかを知っている。)バーラタよ。
 私は、抑止を特質とするダルマであり、また正しく繁栄に導くものとしても、
 ただひとり不滅で、人間たち(ナラ)のよるべき道(アヤナ)といわれる。
 水はナーラと呼ばれる。水はナラの子供たちだから。
 それ(水 ナーラ)は、昔、私の住居(アヤナ)であった。だから、私はナーラーヤナなのである。」


 ナーラーヤナは、仏教では怪力の力士と見なされ、仏法の守護神として取り入れられていきます。また、漢訳では那羅延天とされています。

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