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【能登半島地震】災害関連死が熊本地震を超えるか?

能登半島地震から7か月を経過した今でも被災者の避難生活は続いている。
昨日こんなニュースがあった。

秋田県では、去年7月の記録的な大雨で、秋田市で2人が災害関連死に認定されたことを受けて、佐竹知事は、災害関連死かどうかを審査する委員会などの設置が進んでいない自治体について、県として支援し、設置を推し進める考えを示した。

なぜわざわざ委員会を設置する必要があるのか、能登半島地震の状況を見ていきたい。


1. 災害関連死とは何か

一般に、震災による死者は以下の2つに分類される。

➀地震による津波や家屋・建造物の倒壊などの直接的な原因による犠牲者
災害では怪我をしていないが、避難生活中に罹患したり持病が悪化したりして亡くなる方々
災害関連死は②にあたり、災害による直接的な死ではなく、災害発生による精神的なショックや厳しい避難生活など、災害による間接的な要因による死者を指す。

災害死とは(引用:災害医療大学)

内閣府の資料「災害関連死について」によれば、災害関連死は以下のように定義づけられている。
「当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年法律第82号)に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」
実際には災害弔慰金が支給されていないものも含まれており、当該災害が原因で所在が不明な場合は除かれる。
上記のように定義されていても、災害関連死かどうかの判断については統一的な基準はなく、自治体によってばらつきがあるのが現状


2. これまでの災害での災害関連死の状況

阪神淡路⼤震災、東⽇本⼤震災などを経験してもなお熊本地震では災害関連死が多く、⾞中泊によるエコノミークラス症候群も多数発⽣していた。全体の死者数の約8割が関連死を占めたという状況である。

引用:避難所・避難生活学会

災害関連死が定義づけられるきっかけとなった阪神淡路大震災では、死者数全体のうち約14%が災害関連死として認定されている。また災害関連死は、西日本豪雨のように、地震だけでなく豪雨など震災以外の災害によっても生じる。

災害関連死のうち多くは高齢者であり、発災後1週間以内に亡くなった人の割合は東日本大震災では18%、熊本地震では24%、そして災害関連死の約8割が、発災後3ヶ月以内に亡くなっている。地震や水害によるショックや不慣れな避難生活から生じるストレスは、想像以上のものであることがわかる。


3. 能登半島地震における災害関連死

では、能登半島地震における災害関連死の状況はどうか。
結論、これまでの経験がまったく生かされず、とても良くない状況である。

石川県などの審査会は23日、4回目の会合で新たに19人を災害関連死に認定した。

これで、89人が災害関連死に認定され、家屋の倒壊などによる直接死を含めると、能登半島地震による死者は318人に上る見通し。
一方、これまでに遺族から自治体に寄せられた申請は、すでに認定された分も含めて輪島市で99件、珠洲市でおよそ60件、能登町で55件など、石川県全体で200件以上に上っており、今後、災害関連死の人数がさらに増える可能性がある。


4. 災害関連死を防ぐために

なぜ、災害関連死が起きるのか。なぜ災害大国の日本で避難生活が改善できないのか。
避難所・避難生活学会は、以下の課題を出している。

①被災地⾃治体からの要請をもとに⽀援が⾏なわれたため、⽀援が実施されるまで、被災者は危険な避難所環境に数⽇間置かれていた。
②災害直後に業務集中で混乱した被災地⾃治体は、迅速な災害対応と適切な避難所運営を担うことは困難であった。
③災害救助法や災害関連法規に精通した専⾨職を⾃治体は常置していないため、被災者救護が有効に⾏なわれなかった。

もちろんその通りであろう。ただ、本当に国や自治体の支援がすべてなのだろうか。
災害関連死というのは、防げる死であることは間違いない。
皆さんでできることはないだろうか。一日、一瞬だけでもいい。能登で起きたこと起きていることを忘れないでほしい。

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