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中高年カップルの未来像

夏休みは、恋人と、あちこちに出掛けた。

いくら一緒にいても、嫌にならない。
いくら話をしても、話題が尽きない。

そんな相手が存在するのだなぁと思うと、出逢えたこと、この関係を築けたこと、全てが奇跡的だし、全てに感謝をしたい。

一度別れてよりを戻し、新しく付き合い始めるにあたって、ふたりで約束をした。
「過去のことは話さないようにする」
過去の恋人のことや、過去のふたりの間にあったイザコザについては、もう「終わったこと」だから、話をしても何にもならない。むしろ嫌な気持ちになるだけだ。それならもう、話題にするのはやめよう。
ふたりで、そう、決めた。

そのお陰で私は嫉妬から解放されたし、彼は後ろめたさから解放された。

一度ダメになった関係でも、双方の気持ちや方法次第で、もう一度やり直すことができる。そんなこと綺麗事だと思っていたが、いま、それを体感している。
もちろん「過去のイザコザ」の重さによるところが大きい。
私たちの間の「イザコザ」は、大したことの無いことばかり。
それが、やり直せている大きな要因だってことも、もちろんわかっている。


そんなこんなで。
新しく始めてからというもの。
喧嘩らしい喧嘩もなく、イザコザしたこともなく、ただただ「楽しい」し「穏やか」で「仲良し」な中高年カップルである。


やり直してから、将来の話が良く出るようになった。

まあ「結婚しよう」も、もちろん将来の話なんだけど、近々に起こることではないので「大好き」とか「愛してる」とか「一緒にいよう」と同義語であり、具体的な結婚(=生活)の話には、まだ、ならない。

先日。
彼と出掛けた先で、避暑に訪れた老夫婦(だとは思うけれどもカップルかも?)に出逢った。ふたりとも穏やかな感じで、自然に手を取り合って、にこにこ話をしながら歩いていた。
その姿を見て彼が言う。
「僕たちも、ああいう、ご夫婦になろうね。」

またあるとき見かけた老夫婦は、女性(妻だと思うけど…。しつこい?笑)が杖をついていて、夫が妻に、しっかりと寄り添って歩いていた。
その姿を見て彼が言う。
「僕たちも、ああいう、ご夫婦になろうね。」

そんな未来像を示してくれるのを聞いていると、彼なりに覚悟を決めて一緒にいてくれるのだということが伝わってくる。

最近、一番、私の胸に響いた彼の言葉は
「死ぬまで一緒にいよう」
だ。

そうか。
死ぬまでか。

そうなるともう私、彼以外の男性と、何かあるってことは、無いのだなぁ。

そう思った。
そして。
それに何の後悔も無い自分に気が付いた。

いままではずっと
「この相手が最後の男なのは嫌だなぁ」
と思いながら、一緒にいた。(←失礼千万)

恋人も。
配偶者も。
この人は最後の男じゃないって思ってた。

でも、彼が最後なら、幸せだなって思える。

年齢的なこともあるのだろう。
じゅうぶん経験してきたせいもあるのだろう。
生活スタイルが似ていることもあるだろう。
彼との相性が良いこともあるのだろう。
彼への愛おしさも、もちろん、ある。

他の誰かじゃなくて。
最後は彼がいい。
そう、思ってる。

「出逢えて、一緒に過ごせて、本当に幸せ。なにがあっても、この幸せを、ずっと続けていこうって覚悟を決めてるから、末長くよろしくお願いします。」

文字で彼に伝える。

「こちらこそ!生きている限りは一緒にいようよ。まだまだ死なないけどね!笑」


やり直すにあたって。
彼と付き合う目的を、私は、変えた。

いままでは「私」が主語だった。
自分のことばっかりだった。

でもいまは「私たち」だ。
どうするのがふたりにとって良いのか。
いつもそれを最優先に考えている。

「彼に好きでいてもらうこと」
でもなく
「彼にとっての一番になること」
でもなく。
もちろん
「彼のメンヘラを落ち着かせる」
ことでもなく。笑

「ふたりの幸せな時間を出来るだけ長く続けること」

それが、私の目的。

だから。
ちょっとした嫉妬や。
ちょっとした自分勝手な要求や。

イザコザになりそうな、そういうものは、優先しない。

とにかく。
彼との幸せな時間を続けること。
それを考えて行動している。

でも決して自分を殺すようなことは、しない。


いまは。
ブンブンとバイクに乗り。
ザバザバとビールを飲み。
ガツガツとセックスをする。
そんな私たちであるけれども。

そのうちに。
バイクに跨がれない日がくる。
たくさんビールを飲めなくなる日がくる。
手を繋いで寄り添うだけで満足する日が…。
来るかなぁ?笑

そうこうしているうちに。
彼のいう「ああいう、ご夫婦」になるのかもしれない。

そのうちに。
命が尽きるのかもしれない。

そうしたら。
彼の望み通り「死ぬまで一緒」だし。
私の望み通り「彼が最後の男」だ。

そんな未来を。

ふたりは、夢見ている。