ハイデルベルヒ事件

催眠に興味のある方はご存じかと思います、有名なハイデルベルヒ事件について明赤的考察を書いてみようと思います。

ハイデルベルヒ事件の概要

そもそもハイデルベルヒ事件とは

そもそもハイデルベルヒ事件なのかハイデルベルク事件なのかと云うところから謎です。
人によって呼び方が違いますが、同じ意味ではありませんよね。
”ベルク”であれば山です。ですが”ベルヒ”という言葉は聞いたことがありません。
ネットで検索してもハイデルベルヒであれば人名で出てきますが、だとしたらこれは事件が発生した土地からではないように思います。
記憶を辿っても犯行を行った男性の名はワルターとしか出てこないのです。

この事件諸説があって事実に基づいて脚色された話であるとか、まったくの作り話であるとか或いは遠い遠い昔の話ですから記録そのものが伝聞によるもので最終的に尾ひれはひれが付いてしまったのだとも言われています。

もうこの二点だけでも充分にミステリアスなお話ですよね。
兎にも角にもこの事件を語るにあたってはできるだけ資料を探しながら世に伝わっていることに基づき書いて行こうと思っています。

資料に記されている事件の名称


2024/04/02
以降この記事は日記のように、思いついたときに日付の記載と共に更新していこうと思います。

もう数十年前に読んだ資料を先日改めて読み返してみましたところ事件が起きたのは1937年ドイツのハイデルベルヒという場所なのだそうです。

しかしどれだけ探してもハイデルベルヒと呼ばれる地名は出てきません。
代わりに太宰治の老ハイデルベルヒがヒットします。
この原題もアルトハイデルベルクですから、どうやら日本語訛りなのではないでしょうか。
ただドイツ語でベルクとは山をさしますのでHeidelberg=ハイデル山というのがいかにも地名らしい読み方ですよね。
というわけで私は今後、この記事では事件の事はそれで名の通っているハイデルベルヒ事件、地名については正しくハイデルベルクと記載しようと思います。

2024/4/6
さて、それではお話の大筋も書いてみましょう。
*全体を通して明赤的にはいくつかの疑問が残るのですが、考察はについてはまずは一通り内容をご覧いただいてからにしようと思います。

登場人物
フランツ・ワルター(Dr.ベルゲン) E夫人 H.E氏 Dr.マイエル
事件は1938年ドイツのハイデルベルクに住むH.E氏が警察にある訴えをしたことから始まります。
その内容は「誰かが妻を病気に陥れて金銭を要求している」と云うもの。
訴えを受け、警察はハイデルベルクの内科医(警察医)に依頼し調査を始めます。

医師の名はDr.マイエル 彼が夫人を診察した結果、特に精神疾患や器質的な障害は認められませんでした。
にもかかわらず、何とも奇妙な事に夫人は犯人の手がかりになるような肝心なことは何一つ思い出せませんでした。もちろんそれ以外の記憶に影響はないのです。
そしてこの事件が催眠によるものであると判定されたのは夫人の「その人が私の額に手をかざすとうっとりとして何もわからなくなるのです」と言ったからでした。

夫人に催眠をかけたと思われる人物の暗示は念入りで複雑なものでしたのでDr.マイエルが全貌を引き出すのには相当な年月がかかったそうです。

夫人が悪しき催眠術師の虜となったきっかけ


それは、夫人が結婚する前の事、胃を患い診察を受けるためハイデルベルクへ向かう列車の中での出来事でした。
夫人は、対面の座席に座った見知らぬ男性との会話の中で、自分が胃の病でこれからハイデルベルクにある診療所に向かっているのだということを話します。
その男性こそがこの事件の犯人フランツ・ワルターでした。

ワルターは自分は医師であると伝え自己紹介でカルルスルーエ在住のベルゲンです。と自己紹介をします。
続いて「あなたの病は私の専門です」と言い、治療を申し出たそうです。
当然言えば当然ですが、夫人はワルターの言動に不安を感じ断るのですが、ハイデルベルクに到着後も付きまとい半ば強引に誘ったようです。

資料によると「『さあ、行きましょう』と言われると、ついフラフラとして、もうどうにもならないという気持ちになりました」と夫人は話しています。続いて「それからは、カルルスルーエかハイデルベルクの駅で落ち合い出かけていました。ですが治療を受けた場所は思い出せません。」とも話しました。

ワルターは催眠の虜となった夫人を事あるたびに呼び出し性的な暴行を加えたり記憶や感情を操作し売春行為をさせていたようです。

妻の行動に不審を抱いた夫は、前述の通り警察に相談をします。
自分に不利な事があれば報告するように仕向けていたワルターはその動きを察します。
そして夫人に夫を殺害するように催眠を施術するのですが計画は失敗に終わりワルターは逮捕されました。

これがハイデルベルヒ事件のあらましです。

ワルターの手口


さて、このように夫人を催眠で意のままに操っていたワルターですが、ある程度催眠の知識のある方にはある疑問が浮かび上がるでしょう。
そうです、催眠は著しく被験者に不利益を与えるような催眠暗示は効果がないというのが一般的な認識です。

では、この事件は全くの創作であるか?というと、そうではないと考えています。

手法については詳しく書きませんが、ワルターは医師という立場(偽医者ですが)を利用し、夫人をさまざまな病気に仕立て上げたのです。
不利益を与えながら、その不利益を解消するという手口を使ったのです。
脅迫に他なりません。

当然のことですが、そのような日常生活とかけ離れた不都合を繰り返すと、どこかで歪みが出るものです。
その歪みは被験者本人の行動に現れ、様々なつじつまが合わなくなって来るものです。

ワルターは最終的にそれらの証拠隠滅の為に夫の殺害を催眠で命じるのですが、さすがにこれには無理があります。
ここで言う無理とはエピソードそのものと、これまでのワルターの手口からするとあまりにも短絡的でリスキーな方法だからです。
5/3






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