"DX推進のためのヒント"|レガシーシステムの問題点と脱却
DXを推進するうえで、ネックとなっているものの1つに「レガシーシステム」が挙げられます。レガシーシステムとは、過去の技術で構成され、導入時から時間が経っているシステムのこと。同じシステムを長く使用しているという方は、レガシーシステムがどのような問題となるのか、解決するにはどうすればいいのかを知っておきましょう。
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、構築から数十年が経過して拡張やアップグレードが難しいシステムのことです。主に大企業で導入しているメインフレームを指し、中には2000年よりも前に導入されたシステムも含まれます。
レガシーシステムは元のシステムが老朽化しているうえに、システムを継ぎ足して運用しているために肥大化、複雑化し、ブラックボックスとなっていることが指摘されています。
また、システムにCOBOLなどの古い言語が用いられているため、障害が発生した場合のメンテナンス対応をできる人材が高齢化しているといった問題も生じています。
維持費用や運用費用がかさんでいるために、企業の足かせになっていることもあります。改修のための部品が手に入りづらかったり、対応できる技術者が少なかったりすることなどがその理由です。
古いシステムが全て問題になっているのではありません。きちんとマネジメントができて、適切にメンテナンスを行っている場合は導入から時間が経ったシステムでも問題なく運用はできるのです。とはいえ、現状運用できていても、いずれは維持が難しくなる可能性があるということも言えるでしょう。
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の壁」
「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を経済産業省が発表したのは2018年のこと。この中で、約8割の企業がレガシーシステムを抱えていると報告されています。
同レポートによると、既存のレガシーシステムがこのまま使われ続けた場合、2025年までに経済損失は最大で1年につき12兆円、現在の約3倍になる可能性があるとされています。古いシステムのメンテナンスを行える人材が引退することや、サポート終了によってリスクが高まることがその理由です。
DXレポートが発表された2018年から5年目の今年、2025年まであと2年と迫っていますが、依然としてレガシーシステムの問題は完全に解消されたとは言えない状況です。現在でも、それにまつわる話題はしばしば取り上げられています。ではレガシーシステムから脱却するためにはどういう方法があるのでしょうか。定義にはさまざまなものがあるのですが、ここではモダナイゼーション、マイグレーションの2つに大別したカテゴリーでご紹介します。
ハイパーがおすすめする、法人向けクラウドサービスはこちら!
①モダナイゼーション
モダナイゼーションは、一般的な意味においては近代化、現代化を表す単語ですが、ITでは「稼働中のソフトウェア、ハードウェアなどの資産を活かしつつ最新のシステムに置き換えていくこと」を意味し、具体的には以下のような手法を指します。
リプレース
レガシーシステムを新しいシステムに移行していく手段です。現在の業務を見直して、根底からシステム要件を再定義するため、システムを入れ替えながら業務プロセスの最適化も実現できます。ただし、大きな改変となるためコストや時価がかかるデメリットも生じます。なお、アプリケーションをSaaSや新パッケージに置き換えるシステム刷新のことをリプレースと呼ぶこともあります。
リライト
COBOLなどの古い言語をJavaなどの新しい言語に書き換える方法です。新しい言語に変換することで、対応できる人材が確保でき、メンテナンスを容易にします。また、セキュリティ性も向上させます。リプレースに比べ、コストが低いことがメリットです。
ただし、レガシーシステムの基本構造が変わらないため、リライトしたシステムもいずれまた問題になってしまうデメリットがあり、また、元のシステムに使われている言語が使える人材を確保する必要があります。
リホスト
OSなど基盤となる部分をクラウドなどの新しい環境で構築し、アプリケーションやデータを移行する方法です。リホストは既存システムを改修しないため、工数が少ないのがメリットです。ただし、刷新する範囲が狭く、既存システムはそのまま残るため、拡張性が低く効果が限定的になります。
その他
既存システムの仕様や構築方法などの情報を収集して可視化する「リドキュメント」、アプリケーションのコードを現状に対応できるように最適化する「リファクタリング(リファクター)」などもモダナイゼーションにカテゴライズされています。
②マイグレーション
本来の「移動」、「移転」という意味のとおり、既存システムやデータを新しい環境に移行する手法をマイグレーションといいます。場合によっては、先述したリホストやリライトもマイグレーションにカテゴライズするケースや、モダナイゼーションの手法全てまとめてマイグレーションと称します。また、従来のアプリケーションと同等の機能を持つアプリケーションに移行する、データを新しいストレージに移行するなどの方法があります。
レガシーシステムの脱却方法としていちばん確実なのは「リビルド」で、仕様策定から全面的にシステムを再開発・再構築することです。リプレースの一つめの定義とほぼ同じ意味になります。リビルドは大掛かりなプロジェクトとなり、費用・工数がかさむこと、プロジェクトが頓挫したり、時間をかけただけの成果が出なかったりする可能性もはらんでいます。まずは、現状のシステムを調査、分析し、必要に応じて、かつ、かけられる時間と費用を考え、どの手法をとるかを考えるといいでしょう。
まとめ
レガシーシステムがDXの足かせになっている
レガシーシステムが解消できないと大きな損失が出る可能性がある
レガシーシステムの脱却には複数の方法がある
ハイパーの法人向けクラウドサービス特設サイト
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?