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9月28日 財布

財布を買った。
人生で、能動的に財布を買い換えたことが無かった気がする。
なんとなく、もらいものとか、お古とかを使ってきたのだと思うけど、その辺の経緯をぼんやりとしか思い出せない程度には思い入れが無いということ。
ちなみに、1個前はポケモンのモンスターボールを模した財布を使っていた。
ビジネスシーンのような場面で取り出すと相手の顔色がギョッと変わり、ポケモンの映画を見に行った時は「財布まで気合入ってますね!」ともぎりのお姉さんに声をかけられた、色々と思い出深い財布だったが、まぁ端的に言って汚れてきた。
なんとなく飽きも感じていたので、ふと財布を買い換えることにした。

いざ、財布を選ぼうとすると、これが難しい。
どれも良いような気もするし、どれも何かが足りない気もする。
色々見て回っているうちに、そもそも「人間がお金を入れるために作り出した革などを素材にした小物」は基本的に可愛いのだという真理に気づいた。
無地の無個性な財布でも、大きさとか、質感とか、まぁどれもそう悪い印象にはならない。
とにかく、財布選びは決め手に欠ける。
みんな何を決め手に財布を選んでいるんだろうか。
好きなブランドでもあれば選びやすいのかもしれないが、そういうものとは無縁の人生だ。
レジの列に並んでいる人が財布を出すたび、「何を決め手にそれを選んだんですか?」と聞きたくなる。
たとえば服や靴だったら試着してみての似合う・似合わないや、着心地の良し悪しなどあるだろうし、何より複数持っていても困るものじゃない。
財布は、基本的に一つしか持たないし、ある程度の期間を使い続けるうえに実用性との兼ね合いもある。ますますハードルが上がっていく。

そこで「ラッキーカラー」だ。
身に着ける物の中で、財布だけが特に「ラッキーカラー」を取り沙汰されるのは、金運と直接結びついているというのもあるが、単純に決め手に欠けるからなんじゃないかと思う。
「これはラッキーカラーだから」ということで、最後の一押しとなる決め手を補っているんじゃないだろうか。
これはラッキーデーも同じで、何も超常的な力に期待しているというだけでなく、そこには趣味と実益を兼ねた存在価値があるのかもしれない。
そこで調べてみると、金運に良いのは「緑の財布」「黄色の財布」「ゴールドの財布」「オレンジの財布」「ブルーの財布」などだそうだ。
ちょっと待ってくれ、複数はやめてほしい。
はっきりと「緑!」と言ってくれたら、決め手になるかもしれないが、そんなにたくさんあったら、決め手としては何の意味もないじゃないか。

財布を変えようと思い立ってから、1ヶ月が経過していた。

結局、考えてもわからないので、人に聞くことにした。
こういう時は、人に聞くに限る。まして自分の専門外のことなんて、誰かの知恵を借りた方が良いに決まってるのだ。
ちょうど、以前女性ファッション誌のWEBで連載を持っていた時に担当だった方に会う機会があったので、財布を探しているという話をしたら、後日いくつかの条件に見合った財布を教えてくれた。
その中にあったマルジェラの銀色の財布が好印象だったので、実物を見に行ってそれに決めた。
他力本願で転がり込んできたこの財布、色々と自分らしくて気に入っている。
財布のことで当面は悩みたくないので、できるだけ長く大事に使っていきたい。

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