乗っ込みシーズン到来!ライトタックルのマダイ釣り/剣崎松輪 棒面丸
※掲載終了の「@niftyつり」から2013年4月10日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。諸事情でマダイ釣りに行く予定ができたので、思い出す意味で掲載します。珍しく大物が釣れていて驚きました。
ライトタックルのマダイ釣りに初挑戦
関東では桜の花もはらはらと散り、春本番となった今日この頃。この季節になると産卵のために浅場へと乗っ込んでくるのがマダイである。「乗っ込む」という日本語、いいですよね。釣りでしか見かけない日本語だ。
そんな訳で今回はマダイ釣りなのだが、ただのマダイ釣りではなく「ライトタックル」でのマダイ釣りである。
私は不勉強なので(と言い切る釣りライターってどうですかね)、アジやアマダイではなく、マダイにもライトタックルというジャンルがあるということを知らなかったのだが、さてどんな釣りなのだろう。
やってきた船宿は、通年でライトタックルマダイの船を出しているという、松輪の棒面丸。ちなみにこの船宿はライトタックルマダイとは別船で通常のマダイ釣りの船も出していて、こちらは80号のビシを使うが、釣り場自体は同じなのだそうだ。
ということで初挑戦のライトタックルマダイなのだが、特に下調べをせずに来てしまったので、まずは船宿でご主人から、ライトタックルマダイとはなんぞやという話を伺った。
簡単にいえばビシがノーマルの半分の40号、道糸の太さがPE3号以下の、ライトなタックルを使ったマダイ釣り。アジやイサキを釣るような軽い道具で、何キロもある大型のマダイを狙えるというのが、この釣りの最大の魅力なのだ。今の時期は狙う棚も30メートル前後なので、手巻きリールでも全然大丈夫なのがうれしい。
ここは通年でライトタックルマダイをやっている船宿だけあって、レンタルタックルも充実しており、無料で借りられる竿とリールの品質がとてもよかったので、自前のタックルがなくても気軽にチャレンジできる。
ただエサとコマセに使うオキアミと氷は船宿では用意されないので、持参するか港にある釣具屋で調達する必要があるのでご注意を。※現在は買えるっぽい。
船宿で受付をすませたら、車ですぐ近くにある港の無料駐車場へと移動。ちょっと風が強いけれど、どうにか船は出せそうだ。
ライトタックルマダイの道具と仕掛け
さっきも書いたけれど、ライトタックルで狙うマダイ釣りのタックルは、40号のビシを使うことが前提となるので、2メートル前後で6:4調子くらいの柔らかめの竿と、PE3号以下を巻いた両軸リールの組み合わせとなる。
私が持参したのは、竿がA-GRIP NERAI 210というオモリ負荷20~100号の7:3調子で、リールがPE2号+リーダーにフロロカーボン8号を巻いたイッツ ICV 150Lというカウンター付きの小型両軸リール。実際に使ってみると、やっぱりもう少し竿が柔らかく、リールがもう少し大きいと、この釣りにはバランスがいいかなという感じ。それってレンタルタックルの組み合わせだな。
ライトタックルの釣りとはいえ、私以外のほとんどの人は小型電動リールを使用していて、船釣りの近代化はここまで来ているのかとびっくりしたが、40号のビシなので手巻きリールでも全然問題なしだった。
天秤と40号のビシは無料レンタルができるので、今回はそれをお借りして使用。コマセにイワシミンチやアミなどを使うライトアジ用のビシとは違って、オキアミを使うためのものなので、ビシの目はかなり粗い。一緒に乗っていた方々は、ステンレスの鉄仮面みたいやつ(ステン缶っていうんですか)を使っている人が多かったかな。
ビシの先には2ミリ前後でハリスの太さにあったクッションゴム(普通は1メートルだけれど、手持ちのは50センチだった)をつける。そして船宿仕掛けは、ハリス4号7メートルの1本針。マダイ釣りの特徴はこのハリスの長さで、そこにハードルを感じてマダイ釣りを敬遠しているという人もいると思うけれど、実際にやってみると、そこまでやっかいなものではないと思う。
サバやソウダガツオが多いとき以外は2本針仕掛けを使ってもよく、この時期はほとんど外道がいないということなので、他のお客さんは2本針仕掛けを選択している人がほとんどだった。
つけエサとコマセはどちらもオキアミで、私は両方オキアミブロックを解凍して使用したが、このオキアミが崩れているタイプなら、つけエサ用のオキアミを別途用意した方がいいので、購入時に要確認。
ライトタックルでのマダイの釣り方
ライトタックルでのマダイの釣り方だが、ハリスが普通の釣りよりもだいぶ長いので、まずコマセを詰めたビシを海に落としてリールのクラッチを切って、親指でブレーキを掛けながら沈めていき、ハリスがだいたい出て行ったら、つけエサを放つ。この時、針が指に刺さらないように注意すること。
そして船長の指示するタナよりも5メートルほどビシを深く沈めて、しばらくまって仕掛けが潮になじんだくらいでコマセを少しずつ出し、指示ダナまで巻く。船長の指示が30メートルなら、35メートルまでまずビシを沈め、コマセを出して30メートルで待つということ。これによって出したコマセとつけエサが同調するはず。
しばらく待ってアタリがなければ、また2~3メートルそっと下ろしてコマセを出し、指示ダナで待つ。これを何度か繰り返すとビシに詰めたコマセがなくなるので、巻き上げて最初からやり直し。
仕掛けやクッションゴムの長さで微妙にタナが変わると思うけれど、そのあたりはフィーリングで微調整。細かい誘いのやり方などはお好みで。
ナイスなマダイが船中で連発!
今日の釣り場は剣崎沖で水深は45メートル、そして狙うタナ(ビシの位置)は30メートル前後。
この日は春らしく風が強めで船首がザッパンザッパンと揺れ、ミヨシに乗った人が着いて早々船酔いになるという微妙なコンディション。とりあえず強風での早上がりだけは避けたいところ。まあ避けようはないんだけど。
しかし、このほどほどの荒れ模様がコマセをちょうどよく出してくれたのか、置き竿にして休んでいたミヨシの人に、最初のアタリが到来した。
柔らかい竿を綺麗に曲げて上がってきたのは、竜宮城での舞い踊りが似合いそうな感じの、美しい魚体のマダイだった。
そして続けてその右隣り、私の席の左隣りの方の竿にもヒット。これまた同サイズの綺麗なマダイが上がった。どうやら今日は、私にしては珍しく好調な日に当たったっぽい。
さあ順番でいったら次は私の番だろうと、コマセと気合いを入れなおして船長から指示されたタナで待つと、クンという小さなアタリ。そして続く長い沈黙……
そしてそのすぐ後で、私の右隣の方がマダイをゲット。わー、順番飛ばされたー。
こういうチャンスの逃し方って自分らしいわよねとちょっと落ち込む。こういう展開の後って、いい釣りをした覚えがないんだよね。
まさかの大物が掛かった!
ミヨシ側から順番に4人アタリがあり(私はフッキングしなかったが)、さて次は誰に当たるかなと思ったら、船酔いが悪化して完全にダウンしていたミヨシの方の置き竿にまたヒット。波任せ置き竿釣法が炸裂である。
しかも今度はかなりの大物のようで、竿がグイグイと曲がっている。うらやましいったらありゃしない。
数分のやり取りの末に上がってきたのは、50センチオーバーのビッグなマダイ。乗っ込みの時期らしく、浅黒く日焼けをしている石黒賢タイプだ。
こんなでっかいマダイをライトアジより一回り丈夫なくらいの道具で釣るのだから、掛かったららさぞや楽しいことだろう。
あんなマダイを私も釣ってみたい。いや、もっと小さいマダイでもいいからとりあえず一匹釣りたい。いやいっそアジでもサバでもなんでもいいから掛からないかな~と志を低く待っていると、ガツンと真下に竿先が引っ張られた。
きたきたきた。鯛望の、いや待望の初ヒット。しかもかなり強烈な引き!
トルクが強烈な引きにズリズリズリとリールから糸が出されていく。青物のような横走りと違って、下へ下へと強い力で引っ張っていく感じ。こんな感触、初めてかも。
もしかしてかなりの大物なのかもしれないが、このライトタックルでのマダイ釣りは初体験なので、この引きがどれほどの大きさの魚なのかがわからない。
バカっぽく口を半開きにしながら、おっかなびっくりやり取りを楽しんで、ビシを海面まで巻き上げて、竿先を立ててビシを掴んだら竿を置き、4号7メートルの長いハリスを素手で手繰り寄せる。
この1本の糸だけでダイレクトに魚とつながっている時間が楽しめるのは、ハリスの長いマダイ釣りの特権なのかもしれない。ちょっとした漁師気分である。
海面まで上がってきた魚は、まぎれもなく本命のマダイである。しかもかなりの大物。ドキドキする心臓を止まらない程度に精神力で抑えつつ、慎重にハリスを手繰り寄せて、船長が構えたタモへと誘導する。
マダイはスッと頭からタモへと納まってくれた。
釣れてしまった。下船後に船宿で計量したら3.88キロあった。もちろんマダイである。あー、びっくりした。
正直2キロオーバーのマダイには一生涯縁はないと思っていたのだが、まさかの3キロ越え。4キロ近い大物だ。私にとっては超大物としかいいようがない一匹。さて何日分の運を使ったのやら。
とりあえず、今日はもう店じまいかな。もうなにも釣れる気がしない。
このサイズは今日の一等賞だろうと1人で喜びに浸っていたら、なにやらまたミヨシの人に大物がヒット。そしてこれが私の釣ったマダイを軽々と超える5.52キロ。えー。
ちなみにこの方の仕掛けは、4号と3号のハリスをサルカンでつないだ、自作の二段テーパー2本針仕掛けとのこと。この後も2本針で2匹のマダイを同時に釣り上げるという、大変めでたい技を披露することとなる。
まさかまさかの2匹目の大物
残念ながら船中最大とはならなかったが、それでも十分納得できるサイズのマダイを釣り上げたので、今日はもう大物はこないだろうと思っていたのだが、一休みするためキーパーに置いておいた竿がまたもや大きく曲がった。
急いで竿を手にすると、さっきの大物と同クラスの引きである。なんだ、今日の俺、おかしい。人生の最終回が近いのだろうか。せめて走馬灯用に脳へ焼き付けなければ。
上がってきたのは、またしても本命のマダイ。さっきよりちょっとだけ小さくなったが、それでも十分立派なサイズである。エイとかサメではなく、マダイでこのサイズを連発するなんて、自分がちょっと信じられない。夢?
どうしよう、このサイズじゃないと満足できない体になってしまいそうだ。ライトタックルで釣る大物マダイ、楽しすぎる。
もう次はないだろうとさすがに思ったのだが、なんとこの2匹だけでは終わらず、さらに3匹目を追加。今までに釣り上げた相手に比べたらスルスルと上がってきたが、それでも44センチと、普段だったら十分に立派と思えるキロオーバーのマダイだ。
このマダイが海面に上がってきたとき、「あー、小さい」と思ってしまったので、今日は感覚が完全にマヒしている。バチが当たらないように、こいつもしっかりと喜んでおかなくては。わーいわーい。
この日はサバなどの外道に邪魔されることがまったくなく、船中全員が当たればほぼ全部マダイという、とってもゴージャスな一日だった。マダイのコマセ釣りといえばサバに邪魔されるというイメージだったが、船長の話だとこの時期はサバがほとんどいないらしいよ。
ライトタックルでのマダイ釣りは通年で狙えるけれど、乗っ込みで水深が浅く、大物も期待できる今の時期が入門しやすいのではないだろうか。もちろん私レベルの腕でこれだけ釣れる日は稀かもしれないけれど。
行けば必ず釣れるという釣果保証型の釣りではないけれど、大型のマダイが釣れた時の喜びはかなりのもの。マダイ釣りというとハードルが高い印象があるかもしれないけれど、ライトアジやイサキ釣りなどをやったことがある人なら問題なく挑戦できると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。
旬のマダイ、最高においしかったです
釣ったマダイは産卵を控えた旬の時期ということで(本当の旬は産卵を控えて栄養を溜め込んだ冬という気もしますが)、煮ても焼いても生でもダシにしても最高だった。
旬のサバやブリみたいに脂がコッテリと乗っているという感じではないので、釣ってから3日くらい寝かして食べると、これぞ白身魚の王様というような上品な旨味が口の中に広がってくるのですよ。
たぶんもう二度と捌く機会はないであろうサイズのマダイ、しっかりと堪能させていただきました。
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