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特報「お別れ会」開催!~~町屋・野崎浴場

町屋・野崎浴場に行ってきました。3月31日を以て閉店。
カウントダウン3,ギリギリのタイミングです。

15時30分,すでにお店の前では開店第一陣のお見送り真っ最中。

まぁこのラッシュにもまれず,ゆったり風呂に浸かることができるのはラッキー,と思うことにしました。
「どっちに転んでもシメタ」,ボクの大好きな発想法です。

さて入店前に念入りに撮影。
宮造りの構え,そびえる煙突は歴史を感じさせます。

そして閉店の張り紙。

こういったときは手書きですね。やっぱり。

入るとフロント。ロビーはありません。
脱衣所に入り見上げると格天井,三枚羽根扇風機の羽根の色は,天井と同じに染まっていて年季を感じます。

脱衣所は狭い,というか狭く感じます。なぜなら床に籐の脱衣籠がズラリ。懐かしい光景にジワ~ン。
そうそう,ボクの子ども時代はこんな感じでしたよ。
銭湯に財布やら貴重品を持ってくる人なんていなかった。
せいぜい髭剃りや牛乳を買う小銭しか持ち込まないのが常識。

いざ浴室へ。
定番の富士山のペンキ絵がお出迎え。河口湖より望む美しい稜線。
山肌は深い紺ではなく,鮮やかな水色で全体に明るい色調です。
なんと2020年8月7日の日付入り。
コロナ禍真っ最中に描き替えたんだ。
ほんの2年ほど前まではご主人も女将さんも,続ける気満々でいらしたんですね…(女湯は瀬戸内海の島々だそうです)。

天井や壁はかなり黒ずんでいました。
ペンキも剥げ落ちる寸前。
でも,タイルはしっかり磨かれていて清潔感あり。
ご高齢のお二人がされているのかバイトさんかは分かりません。
でも,「最後まで」の心意気が光ります。

カランの数は21とこじんまり。
でも,天井がしっかり高いし,窓ガラスが大きくて気持ちがいい。
そうこのガラスも全面に細工が入っている。

女湯との仕切りにはタイル絵
風車が立ち並ぶのでオランダと思しき光景。珍しい絵柄です。

銭湯自体がそうですが,ペンキ絵も,窓ガラスも,タイル絵も,担い手,作り手がどんどん減っている。けっしてお上から「芸術」「重要文化財」とは認められない,「生活文化財」(勝手に命名)が,野崎浴場には詰まっていました。

おっとお風呂ですよ。お湯の話。で焚いています。
正面向かって右から,低周波電気風呂(電子マッサージ),
中央の広く浅めの浴槽は推定43度。ジェットバスが2基,程よい強さで泡立ちが易しい。
左手には深く小さめの浴槽,こちらは44度の熱湯です。
温めの風呂がないので基本長湯向きではありません。
ボクも30分でいったん上がりクールダウンと水分補給。
そして二回戦に挑みました。

お客さんは常時5名程度。皆さん見事な大ベテラン。
会う人ごとに「やぁ」「おぉ」。
「今日が最後かい」と話が進む。それで終わらない。
「次からどこへ行く」判を押したように続くのがおもしろい。
「〇〇だなぁ」
「あぁ家からはちょっと遠いなぁ」
「昔は××に通っていたけれどさぁつぶれちまって,もう15年経つかな」「この辺りも昔は店がたくさんあったのに今はなぁ」。
女湯からも同じような会話が聞こえてくる。

そして,最後に皆さんおっしゃるのです。
「どこかでまた会いましょう」
「また会えるよね」
Goodbyeではなくsee you again。
~ さよならは別れの言葉じゃなくて また会うまでの遠い約束 ~

銭湯が一軒消えても,銭湯に通う人が消えるわけじゃない。
皆さん4月から新しい銭湯を盛り立てていってください。

野崎浴場さん,ありがとうございます。いいお湯でした。

おまけ1。
銭湯を後にした後も周辺をウロウロ。
煙突が美しく見えるポイントはないか探す。
すると近くの公園の桜越しの煙突をゲット。

逆光かつスマホと腕前がボロいのでしょぼいですが。

良い風情だったんですよぉ。

おまけ2。
そして,そして!町内会掲示板でお宝情報ゲット!
4月2日「野崎湯さんありがとうさよなら会」開催。

常連さん以外は参加するのに勇気がいりそうですが,撮影会あり!
これを逃す手はございません。
まだ美しいペンキ,オランダ柄のタイル,無二の窓ガラス,
そして脱衣所の張り紙(お子さんへの注意喚起ですが,爆笑ものです)…
野崎浴場は撮りどころ満載です。皆さまぜひどうぞ!

おまけ3。
3月は,廃業寸前の3軒,「そしがや21」「金森湯」「野崎浴場」を訪湯することができました。情報をブログで教えてくれたブロガーの皆さん,漏れがあると失礼なのでお名前は書きませんが,おかげでいいお湯に入ることができました。ありがとうございます。

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