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「必見!夢あふれるペンキ絵」     ~~神田・稲荷湯

「夢あふれるペンキ絵」に出会える銭湯(ふろ)

そこは神田・稲荷湯。

最寄り駅は東京メトロ「大手町駅」またはJR「神田駅」という超都心に鎮座する。以前,大手町駅から外苑東通り沿いに訪湯したことがあるので,この日は神田駅から行く。西口を出てすぐの「神田西口通り(西口商店街)」。

けっこう長い。夜は喉が鳴る店が並ぶ。

ようやく行き当たった大通りが外苑東通り。わたって左折,しばらく小諸そばを過ぎて鎌倉橋手前の路地を折れると,鎌倉稲荷神社。

近くには「鎌倉橋」。稲荷が先か橋が先か。
なぜ神田の土地に「鎌倉」なのか?
精悍なお顔

行き当たって右に曲がると稲荷湯。

典型的な「ビル乗っけサバイバルタイプ」(ボク流の呼び名)

暖簾をくぐる。フロント向かって左脇に「富士と磯」の絵が飾られている。

こんなところに珍しいなぁ…気を取られて脱衣所に入ったボクは,
もっと珍しいものが張り出されていたことに気が付かなかった。

ペンキ絵に呆然

小じんまりとした脱衣所は経年感があるけれどきれいに手入れされている。
まぁ昭和レトロタイプに入るかなと勝手に思い込んで浴室に入る。
いきなり度肝を抜かれた。
なんだ,なんなんだ,このペンキ絵は。
かけ湯をするのも忘れて魅入ってしまう。
男湯から女湯にかけて三体の富士山が描かれる。(ここから先,ボクの拙い描写が続きますがご容赦を。最後にもっとよくわかるブログを紹介します)

三体が虹の架け橋でつながっている。
そして,どれも雲を縁取りのようにしているので,夢の中の景色のような雰囲気を醸し出している。
くちばしの長い緑色の大きな鳥が飛んでいるが,操縦席にイノシシのような生き物が座っている。

右の富士山は山梨側からの眺めか。
ふもとには桜や紅葉した樹や花々があしらわれている。

真ん中の富士山は静岡側からの眺めか。ふもとにはピラミッド,エッフェル塔,自由の女神が配置され,巨大なクラゲが周りを飛び交っている。

左の富士山は…かすかに空を金魚が漂っているのが見える。
でも,女湯,よく見えない。一度ぴょんと飛び上がっていたが見えない。
それ以上すると怪しまれるのであきらめた。
 
昭和レトロ感がふっとぶ唯一無二の世界観に圧倒される。
いかん!風呂に入りに来たんだ。かけ湯をしてから湯に浸かる。
ようやく平常心が戻ってくる。
カランの数は15。湯舟はⅬ字型(「サンタのブーツ」型と言った方が近いかも)。向かって右からバイブラ,ジェットバス1基,ボディジェット2基。
いずれも泡の立ちがいいけれど,強さはほどよく泡が何だか滑らかな感じがする。「ビル乗っけタイプ」の割に天井が高めで心地よい。
はぁそれにしても…やはり何度もペンキ絵に魅入ってしまう。 

ペンキの絵の正体は

風呂上り,がまんできずにフロントのベテラン嬢にたずねてしまった。
ボク「いやぁペンキ絵が珍しいですね。あれはこちらの方のアイディアです
  か,絵師さんのアイディアですか」
すると意外な答えが「近所の子どもたちですよ。ほら」
と指さされたのがフロント右手に張られた掲示物。
そう入室時にボクが見落としたものだ。

するとベテラン嬢(この方は経営者ではなくパートさん),すっくと立ち上りフロントを出てくる(驚いた!)
そして,あれこれ語ってくださった。要約すると…
・原画は近所の幼稚園か小学校の子どもたちに依頼した。
・銭湯絵師(田中みずきさん)が原画を元にイメージを膨らませてペンキ絵
 を描いた。
・完成は数か月前のこと。
・絵を描いた子どもたちが何人も見に来た。

さらには経営者には某有名大学生の息子さんがいて「跡を継ぐんじゃないですか」なんて明るい話題から,乳がん患者さん向けのセミナーを銭湯で開催したり,さまざまな催しを行ったりしていること云々かんぬん…立て板に水が流れるがごとく15分以上。まだまだ続きそうだったが,実は友達との待ち合わせ時間が迫っていたので失礼いたしました。
 
「稲荷湯」さん,ありがとうございます。いいお湯でした。
そして何だか明るい気持ちになれました。
どうですか,
あなたも「唯一無二の夢あふれるペンキ絵」を見てみませんか。
 神田・稲荷湯は,なんと毎年ペンキ絵を描き替えているようです。
これを知ったらもう毎年訪湯するしかないじゃないですか!

ちなみに,「東京銭湯マップ」などには古いペンキ絵が掲載されています。また,田中みずきさんご本人が,稲荷湯のペンキ絵を描かれたときのことを綴っていらっしゃいますが,現在のペンキ絵のことではありません。

そして最後になりましたが,なんとこの「note」掲載の「湯の輪らぼ」さんの2022年10月26日の記事に詳しい経緯が書かれていることを発見しました。下に掲載するのでこちらをぜひご覧ください。
ボクはとんでもない思い違いをしていたことに気が付きました。
(「くちばしの長い緑色の大きな鳥」は鳥ではなかった!原画を書いたお子さん,ごめんなさい)


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