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スターター統率者デッキから始めるEDH ~デッキの概要と低予算改造案~ アタルカ編

はじめに

 1年ほど前からオンラインでMTGを遊んでいるhyoiです。基本的には身内で統率者(EDH)を遊び、お邪魔しているコミュニティでモダンやリミテをちょいちょい遊ばせて頂いていました。
 最近、公式からスターター統率者デッキという商品が発売され、再録カードのみで約2500円というロープライスながらかなりまともなデッキに仕上がっていることで界隈で話題となりました。
 しかしながら、発売までまったくデッキリストが公開されないばかりか、いまだに公式HPにデッキリストが無い(海外公式HPでは既に公開済み)他、具体的なデッキのテーマや戦術などの説明も殆ど無いのが現状です。(※2022年12月9日現在は公開済み:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036562/
 入門向けとしてはかなりお得な商品となっているので、これらのデッキをきっかけに統率者のプレイヤーがもっと増えてほしいという思いを込めて、購入時点のデッキの簡単な解説と低予算での改造案、より上を目指すための方針を自分なりにまとめてみました。少しでもEDH初心者の方の助けになれば幸いです。
 全5デッキとなるので1記事につき1デッキ解説していこうと思います。今回はアタルカデッキ(公式名:「ドラゴンの破壊力」)の解説です。

デッキ解説

 デッキ改造のベースにするため、デッキ構築のWEBサービス、DECK-UPさんに構築済みそのままのリストを作成しました。内容の確認のほか、デッキリストのコピーなども可能なので、改造する際のベースにどうぞ

 デッキの解説ですが、いたってシンプル。デッキに投入された大量のドラゴンを展開し、統率者である「世界を溶かすもの、アタルカ」をプレイして殴り倒すというものです。
 「世界を溶かすもの、アタルカ」にはドラゴン一体が攻撃するたび、それに二段攻撃を付与するという超脳筋能力が搭載されており、高いパワーと飛行を持つ各種ドラゴンの打点を実質2倍にまで引き上げてくれます。

実は女の子の脳筋系女子アタルカさん


アタルカの優秀な点は

アタルカが攻撃しなくても他のドラゴンが攻撃すれば二段攻撃が付与される

アタルカ自身のパワーが6あり、攻撃すれば自身にも二段攻撃が付与される


の2点です。それぞれ解説していきます。

長所①アタルカが攻撃しなくても他のドラゴンが攻撃すれば二段攻撃が付与される


 事前にドラゴンを展開しておくことで、アタルカをプレイしてすぐに仕事をさせることができます。
 例えば5ターン目に5/5飛行のドラゴン、6ターン目に6/6飛行のドラゴンを場に出していたと仮定し、7ターン目の第一メインフェイズにアタルカをプレイしたとします。
 その場合、アタルカは召喚酔いで攻撃に参加できませんが、事前に展開していた2体のドラゴンでは攻撃に参加でき、それぞれに二段攻撃が付与されます。両方とも戦闘ダメージを与えることができたと仮定すると、二段攻撃により、合計11点もの追加ダメージを叩き出せます。もちろん、よりたくさんのドラゴンを事前に展開できていれば打点はさらに跳ね上がります。
 統率者戦というのは自分以外に3人のプレイヤーがいる都合上、ダメージで殴り勝つタイプの統率者を使用している場合、1ターンの召喚酔いが非常に重いです。
 事前にドラゴンを展開しておく必要があるとはいえ、召喚してすぐにこれだけの打点を叩き出せるのは大きな長所と言えるでしょう。

アタルカ着地前に出しておきたい優秀な5マナドラゴン

長所②アタルカ自身のパワーが6あり、攻撃すれば自身にも二段攻撃が付与される

 統率者戦では統率者から戦闘ダメージを合計21点以上受けたプレイヤーは敗北になるというルールがあります。
 アタルカのパワーは6、さらに攻撃すると二段攻撃が付与されるため、特に工夫しなくても12ダメージ分の打点があります。すなわち、アタルカはサポート抜きで2回のパンチで相手を沈めることができるほどの打点を誇る優秀な殴り統率者ということになります。
 2パンチで相手を倒すことができる統率者というのは実はかなり貴重で、アタルカはこれに加えて飛行とトランプルという2種類の回避能力まで有しているため、単純な打力という意味では数百種類存在する伝説クリーチャーの中でも屈指のものを持っていると言えるでしょう。
 バフによるサポートを加えればワンパンで対戦相手をKOすることも難しくありません。構築済みデッキに搭載されている「憤激解放」や「トロールへの挑発」をアタルカに使用することで一回の戦闘でのダメージが21点を超えるため、ワンパンKOを狙うことができます。

パワー2倍という小学生テキスト
勢いのあるイラストが好き


 以上の二つの長所から、アタルカデッキの目指すゲームプランとしては、

①事前に数体のドラゴンを展開しておき、アタルカの二段攻撃付与で削り切れそうな相手、または勝利に近そうな相手を一気に削る
②ライフが削り切れそうにない相手はアタルカの統率者ダメージ21点での撃破を狙う

といったものになるでしょう。
 構築済み時点で、後続のドラゴンの展開をサポートする「凶暴な熱口」、強烈な盤面制圧能力を誇る「炎の大口、ドラクセス」などの優秀なドラゴンに加え、優秀なコスト軽減能力を持つ「ドラゴン語りのシャーマン」やアタルカの統率者ダメージキルを狙う上で重要な速攻付与に加え火力も飛ばせる「龍の大嵐」などドラゴンサポートも充実しているため、アタルカデッキ特有の動きは十分に楽しめる構成になっています。

攻撃後とはいえ6マナもブーストできるすごい奴


4点ダメと3点ダメと3点ダメを飛ばす、表記がわかりにくいけど強い奴


3マナでこれ出すと次のターンには6マナドラゴンまでアクセスできる


ドラゴンデッキと相性抜群 英名ドラゴンテンペスト かっこいい

デッキの強化案

 デッキ解説で述べた勝ち筋をより太くする方向で強化を考えました。レシピは以下のリンクから

※検討欄にあるカードが構築済みから抜いたカードです。追加したカードは以下
1 エルフの神秘家
1 ラノワールのエルフ
1 フィンドホーンのエルフ
1 強き者の下僕
1 ソンバーワルドの賢者
1 カル・シスマの恐怖、殺し爪
1 ドラゴンボーンの勇者
1 アストラルの狩人、ガナクス
1 歓楽の神、ゼナゴス
1 解体屋、スラッカス
1 黒曜石の焦がし口
1 ドラゴンの大母
1 エインシャント・ブロンズ・ドラゴン
1 天空の独裁者
1 山背骨のドラゴン
1 災火のドラゴン
1 龍王アタルカ
1 アースクウェイク・ドラゴン
1 英雄的介入
1 カルニの待ち伏せ
1 サルカンの凱旋
1 混沌のねじれ
1 野生語りの帰還
1 木霊の手の内
1 スカイシュラウドの要求
1 移動経路
1 リシュカーの巧技
1 書かれざるものの視認
1 オーブ・オヴ・ドラゴンカインド
1 稲妻のすね当て
1 カーネリアン・オーブ・オヴ・ドラゴンカインド
1 ジェイド・オーブ・オヴ・ドラゴンカインド
1 通報の角笛
1 モンスター・マニュアル
1 野生の律動
1 よりよい品物
1 隠れ潜む捕食者
1 ギャレンブリグ城
1 グルールのギルド門
1 屋敷門
1 崖門
1 統率の灯台
1 苔汁の橋
※ドラゴンボーンの勇者は作成時点で在庫がありませんでした。他のカードは全部合わせて約1万円程度となっています。(2022年12月9日現在)

 ややパンチ力不足だった小型のドラゴンを外して、構築済み時点では足りなかったマナ加速カードを増量し、より高打点かつ決定力の高い重量級ドラゴンにアクセスできるように改造しました。

お馴染みの1マナのマナクリーチャー


実質2マナブースト
1ターン目マナクリーチャーからつなげると強い

また、マナ加速用アーティファクトにはフォーゴトンレルムおよびバルダーズゲートで追加されたドラゴンサポートマナアーティファクトを追加しました。どれも優秀な効果を持っている割に安価なのでおすすめです。

速攻付与
動きの重いアタルカデッキでは重要な効果
+1/+1カウンターと1ターン呪禁付与
戦闘前のインスタント除去の防止策になる
ドラゴン用の色マナを捻出
いざという時はドラゴンサーチができる

注目すべきマナクリーチャーとしては「ソンバーワルドの賢者」「カル・シスマの恐怖、殺し爪」が挙げられます。
「ソンバーワルドの賢者」は3マナのマナクリーチャーですが、クリーチャー専用の好きな色マナをなんと3マナも出せる優秀なマナクリーチャーです。アタルカデッキに限らず、重いクリーチャーをメインで使うデッキなら採用が検討できる優秀なマナクリーチャーです。
「カル・シスマの恐怖、殺し爪」はマナコストの軽減に加えP/T修正とトランプル付与と、大型クリーチャーが欲しいことをすべてやってくれる多機能システムクリーチャーです。

1Tラノエル、2Tこいつ、3Tアタルカ
なんてムーブも可能
大型クリーチャーサポート
こいつ本体もそこそこのサイズなのが○

それでもドラゴンは重いのでコスト踏み倒し用のカードもいくつか追加しております。

出来事でクリーチャー確保し本体で踏み倒しする
効果が嚙み合っているのがうれしい


坊主捲り大会が開催される
統率者戦では呪文が飛び交うので除去されなければかなり捲れる


これらのマナ加速や踏み倒しから追加した重量級ドラゴンに繋いでいきます。ワンパンで対戦相手の盤面を壊滅させることのできる「災火のドラゴン」、各プレイヤーのアップキープにドラゴントークンを生成し高い制圧力を誇る「ドラゴンの大母」、統治者によるドローとドラゴン生成能力を持つ「天空の独裁者」などが強力です。

ダメージが通ると全体ダメージ
二段攻撃で通ればほぼ確実に焼土と化す
多人数戦向きな効果持ち
放っておくとすごい数のトークンを出す
ドラゴンはサイズがでかく飛行持ちなので、
統治者を守りやすく、奪いやすい

アタルカと特に相性がいいカードとして、パワーを倍にして速攻を付与できる「歓楽の神、ゼナゴス」、アタルカの二段攻撃に加えてドラゴン全体にパワー倍を付与する「解体屋、スラッカス」、二段攻撃により二度のd20チャンスに加え、二撃目には大幅打点強化が見込める「エインシャント・ブロンズ・ドラゴン」が挙げられます。これらのカードの打点は凄まじいものがありますが、同時にヘイトも高いのでしっかり盤面を見極めて使いましょう。

こいつを事前に置いておくだけで、
最強アタルカが突撃できる


アタルカよりもマナコストが軽い脳筋龍
その代わりアタルカと違ってこいつが攻撃しなければならない点に注意


二段攻撃の初撃でd20を振り、
打点を強化した二撃目の後にさらにd20を振る
力こそパワー

マナブーストしてドラゴンを展開しきった頃には概ね手札が尽きているので、パワーを参照するドローを多く追加しました。隙を見て手札を補充して体制を整えましょう。

状況次第で大量ドローと5マナまで補填してくれる


能動的に使う以外にも、
除去に対応して生贄でドローに変換できるので
置いておくだけで強い

ここからの強化方針

 今回は予算の都合で入れられなかった以下のような強力なドラゴンを追加していくのが第一になるでしょう。

バルダーズゲートのトップレア
一発殴るだけですごい量の宝物がでる
二段攻撃との相性も○


フォーゴトンレルムのトップレア
カッパーほど上振れが狙えないがこいつが殴らなくても良い点が優秀
こちらも二段攻撃と相性がいい


倍々ゲームでドラゴンが増えるイカレ野郎
2回ほどフルアタックが通れば概ねみんな死ぬ


 また、今回手を入れられなかった土地の強化も忘れてはいけません。まずはチェックランド、ペインランド、クラウドランドといった、手を出しやすい高性能な2色土地を追加し、ゆくゆくはショックランド、フェッチランド、そして部族最強土地「魂の洞窟」を視野に入れていくのが理想です。

ペインランド
最近再録されたおかげでさらに安くなった

 

チェックランド
お手軽二色地形の代表
基本土地タイプを持つ土地増やすとさらに使いやすくなる
スローランド
色によって値段差が激しいが赤緑は安い
クラウドランド
ほぼEDH専用土地だがコスパ最強の土地
ショックランド
モダンパイオニアで活躍中の強力土地
基本土地タイプ持ちなので
出来ればフェッチと一緒に入れたい
フェッチランド
モダンの標準装備ともいえる強力土地
ショックランドともに採用することで真価を発揮する
最強部族土地
好きな色マナが出せておまけにカウンターされない

「偏向はたき」などのEDH特有の赤の強力汎用カード群はアタルカに限らずどんなデッキに入れても強力ですが、値段も相応に強力なので、お財布と相談して余裕があれば採用していきましょう。無理に採用せずとも十分にEDHは楽しめます。 

統率者がいればタダで撃てる
統率者ピッチの1枚
これが手札にあると安心感が違う
赤の最強ドロー
値段も最強クラス
赤の最強マナブースト
2マナのクリーチャーがやっていい効果ではない


「アタルカが肌に合わなかった」、「何回も使っていて飽きてしまった」という方には、ドラゴンテーマの統率者は意外と数が多いため、アタルカをベースにさらに改造を重ね、別のドラゴン統率者に変更していくというのも面白いでしょう。以下に変更先として優秀なドラゴン統率者を貼っておきます。

変更先候補その1
ドラゴンを出すとコピーがおまけでついてくるすごいやつ
伝説ドラゴンも伝説性を失わせてコピーできるので
独特のシナジーやコンボを形成できる
変更先候補その2
本体のパワーこそ低いが速攻付きですごい量のマナがでる
ドラゴンだけでなくエルドラージなどを入れるのも楽しい
変更先候補その3
威光効果で場に出ずとも仕事をする上、場に出たときの決定力も高い
ヘルカイトの狩猟者とはマブダチ
大人気統率者だが人気がありすぎて値段が高すぎるのが悩み
変更先候補その4
とりあえず唱えて着地さえできれば5枚のドラゴンサーチというド派手な効果
コンボとなる組み合わせを持ってきたり、打点重視で持ってきたり器用に動ける

まとめ

 以上が構築済みアタルカデッキ「ドラゴンの破壊力」の解説、強化案になります。いかがだったでしょうか。
 アタルカは派手でパワフルな戦いのできる統率者で、カジュアルなEDH入門デッキとしては非常におすすめです。
 また、ドラゴンテーマのデッキとしても派生先が多くあり、色々なデッキに組み替えて遊ぶこともできるため、一つのデッキでは飽きてしまうという方にもおすすめです。
 次回は「至高の審判者イスペリア」デッキ(公式名:「初めての飛行」)の解説と改造案の記事を予定しています。
 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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