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遊覧飛行の未来形

=生成AIと空飛ぶクルマの未来を考える=
HAAM公式noteの新コラムシリーズ。
代表のPRODUCER江藤誠晃がAAMの未来を独自アプローチで構想します。


▪️イントロダクション

前回のコラムで「空クルビジネス」の可能性を「URBAN〜LOCAL」と「EMOTIONAL〜FUNCTIONAL」の2軸マトリクスで解説しましたが、今回はより具体的に僕が最も注目している都会における遊覧飛行ビジネスの未来について考えてみます。

▪️URBAN×EMOTIONAL

2軸マトリクスの「A」の領域が有望と考える理由は観光ビジネスとして成立させる上で以下の要素があるからです。

1)法制度の整備
2)多様な参入事業者の存在
3)潜在的顧客のボリューム

まず法制度の整備に関しては、安全性から運航システムや離着陸場などの環境整備が観光のみならず、MAASや医療、不動産、保険など多分野に及ぶため「URBAN」をベースに進むからです。

事業者に関しては、機体メーカーはもちろん運航計画や観光商品造成まで、既存産業から今後誕生するベンチャーまで多様なセクターの連携が求められるため、こちらもまずは「URBAN」で進みます。

そして、新たな観光ビジネスにおける最も重要な要素が見込める顧客の存在。空飛ぶクルマを海外から主要エアポートに到着したツーリストの次なる目的地への効率的な移動や滞在時の高付加価値体験メニューなどに活用できるなら、そこには商業的な需要が最も多く見込めるからです。

前回のコラムで

・摩天楼を上空から見下ろすプランならA
・大自然を上空から観察するプランならC
・Bの領域は都市圏における効率的な移動を実現する「空飛ぶタクシー」
・Dの領域は過疎地における移動・物流などの「地域課題解決策」

とまとめましたが、まずは「A」の市場、それも富裕層向け高額商品市場を活性化させることで他の領域へ展開させていく流れが見えてきます。

言い換えると、「A」の分野で収益的に安定したプロフィット(利益)モデルが確立できないと、コスト(経費)リスクのある他分野のマーケティングは難しいと考えることができます。

▪️ヘリコプターの遊覧飛行

では、この分野を担う先行市場はどこに?
そこで注目すべきがヘリコプターによる遊覧飛行です。

世界各地の観光地を取材してきた僕が初めてヘリコプターに乗ったのは1980年代後半のニュージーランド。
ヘリコプターで山上付近まで運んでもらい、手付かずの自然の中を長距離滑降する「ヘリスキー」に挑戦したのですが、ニュージーランドの大自然を見下ろす移動部分だけでも充分に高付加価値体験でした。

ということで、情報収集を効率的に行うべく今回も生成AIにこんな質問…

世界各地にあるヘリコプター遊覧飛行で人気のあるプランを料金と共にまとめてください。

以下が即答されました。

世界各地で人気のヘリコプター遊覧飛行プラン

<北米>
⚫︎ニューヨーク市/アメリカ
マンハッタンの摩天楼をヘリコプターで遊覧する、世界でも最も人気のある観光スポットの一つです。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり200ドル程度です。
https://www.veltra.com/jp/north_america/new_york/a/140194

⚫︎グランドキャニオン/アメリカ:
世界自然遺産であるグランドキャニオンを上空から眺める壮大な体験ができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり200ドル程度です。
https://www.scenic.co.jp/tour/grandcanyon/pgg1.htm

⚫︎ラスベガス/アメリカ:
ラスベガスの街並みやストリップを上空から眺めることができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり150ドル程度です。
https://www.veltra.com/jp/north_america/las_vegas/a/16511

<ヨーロッパ>
⚫︎ロンドン/イギリス
バッキンガム宮殿やロンドンアイなど、ロンドンの主要な観光スポットを上空から眺めることができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり120ポンド程度です。
https://londontickets.tours/ja/ヘリコプター・ツアー・ロンドン

⚫︎ローマ/イタリア
コロッセオやトレビの泉など、ローマの主要な観光スポットを上空から眺めることができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり100ユーロ程度です。

⚫︎香港
香港の街並みやヴィクトリア湾を上空から眺めることができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり2,000香港ドル程度です。
https://www.veltra.com/jp/asia/hongkong/hgk/a/146923

⚫︎ドバイ/アラブ首長国連邦
ブルジュ・ハリファやパーム・ジュメイラなど、ドバイの主要観光スポットを上空から眺めることができます。料金はフライト時間やルートによって異なりますが、通常30分間のフライトで1人あたり500ディルハム程度です。
https://www.veltra.com/jp/mideast/uae/dubai/a/109557

上記以外にも、世界各地で様々なヘリコプター遊覧飛行プランが用意されています。料金はフライト時間、ルート、ヘリコプターの種類などによって異なります。ヘリコプター遊覧飛行は、普段見ることができない景色を楽しむことができる特別な体験です。特別な機会に、あるいは自分へのご褒美として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

と、ありがたいことに生成AIは、これらのプランの販売サイトや価格までまとめてくれたので、個々にアクセスしてみましたが各地を訪れた際には是非にも体験したいラグジュアリーな企画ばかりです。

例えば、最初に紹介されているマンハッタン摩天楼フライトは、2016年にニューヨーク訪れた際に自由の女神を間近で見れるハドソン川クルーズに乗船した際にマンハッタン島上空を飛ぶ遊覧ヘリを何度か見たことを思い出しました。

リバークルーズも陸地から離れた非日常の貴重な経験でしたが、言うなれば「2次元観光」。
そこから見上げたヘリ遊覧という「3次元観光」に対してある種のジェラシーを感じました。

これこそ、まさに「URBAN × EMOTIONAL」の高付加価値観光メニューだと思いますが、ここで着目すべきが30分で200ドル/人のプライス。
現在の為替では日本円で約3万円ということになりますが、ここに上がってきた世界各地の遊覧飛行はどれも、2〜4万円のプライスレンジなのです。

そしてフライト時間が30分というのも重要なポイントです。
何度もヘリコプターに乗りましたが、ヘリのフライトで1時間は遊覧にしても移動にしても搭乗者とってにかなりのストレス。遊覧飛行は半時間でどれだけの価値を提供するかを考える必要があります。

▪️空飛ぶクルマの遊覧飛行

空飛ぶクルマの遊覧飛行実現は是非にも実現させたいのでAIに以下のプロンプトを書き込みました。

では、eVTOLが実装化された未来にこれらの遊覧飛行がヘリコプターから移行する可能性はありますか?その際に達成すべき技術や法的課題と共にレポートしてください。

回答は以下です。

eVTOL遊覧飛行の実現可能性と課題

1. はじめに
近年、電動垂直離着機(eVTOL)技術は目覚ましい進歩を遂げており、都市間移動や物流だけでなく、観光目的の遊覧飛行への応用も期待されています。本レポートでは、eVTOL遊覧飛行の実現可能性について、技術面と法規制面の課題を中心に考察します。

2. eVTOL遊覧飛行の利点
eVTOL遊覧飛行は従来のヘリコプター遊覧飛行と比較して以下のような利点が考えられます。
⚫︎静粛性:
eVTOLは電気で駆動するため、ヘリコプターよりも静かに飛行することができます。騒音規制が厳しい都市部での運行や、環境への影響を懸念する地域での運行にも適しています。
⚫︎環境負荷の低減
eVTOLはCO2排出量が少ないため、環境負荷低減に貢献できます。
⚫︎運航コストの低減
eVTOLは、従来のヘリコプターよりもシンプルな構造をしているため、運航コストが低くなる可能性があります。
⚫︎利便性の向上
垂直離着が可能であるため、ヘリポートなどの専用施設がなくても運行することができます。

3. 技術課題
eVTOL遊覧飛行を実現するためには、以下の技術課題を克服する必要があります。
⚫︎バッテリー性能の向上
eVTOLはバッテリーで駆動するため、飛行時間と航続距離を延ばすためにバッテリー性能の向上が必要です。
⚫︎安全性の確保
eVTOLは新しい技術であるため、安全性を確保するための技術基準や認証制度の確立が必要です。
⚫︎騒音対策
eVTOLは静粛性が高いとはいえ、完全な無音ではありません。都市部での運行には、さらなる騒音対策が必要です。
⚫︎操縦技術の開発
eVTOLは従来の航空機とは異なる操縦特性を持つため、新たな操縦技術の開発が必要です。

4. 法規制課題
eVTOL遊覧飛行を実現するためには以下の法規制課題を解決する必要があります。
⚫︎航空法の整備
eVTOLは従来の航空機とは異なる特性を持つため新たな航空法の整備が必要です。
⚫︎安全基準の策定:
eVTOLの安全性確保のために新たな安全基準を策定する必要があります。
⚫︎騒音規制の整備
eVTOLの騒音規制に関する基準を整備する必要があります。
⚫︎ライセンス制度の確立
eVTOLの操縦には新たなライセンス制度を確立する必要があります。

5. 課題克服に向けた取り組み
eVTOL遊覧飛行の実現に向け、世界各国で様々な取り組みが進められています。
⚫︎技術開発
eVTOL開発企業や研究機関が、バッテリー性能の向上、安全性確保、騒音対策などの技術開発を進めています。
⚫︎規制緩和:
政府機関が、eVTOLの商業化に向けた規制緩和を進めています。
⚫︎実証実験:
eVTOL開発企業や自治体などが、eVTOL遊覧飛行の実証実験を実施しています。

6. 結論
eVTOL遊覧飛行は、技術面と法規制面で多くの課題がありますが、克服に向けた取り組みが活発に進められています。今後、技術革新と規制緩和が進めば、eVTOL遊覧飛行が実現する可能性は十分に考えられます。eVTOL遊覧飛行の実現は、都市間の移動手段の選択肢を増やし、観光産業に新たな可能性をもたらすことが期待されます。

7. 今後の展望
eVTOL遊覧飛行の実現時期は、技術革新と規制緩和の進捗状況によって異なりますが、2030年代前半には実現する可能性があると考えられます。eVTOL遊覧飛行の実現は、私たちの生活と旅行のスタイルを大きく変える可能性を秘めています。

ということで、内容的には「想定範囲」のレポートでしたが、最後に「今後の展望」と題して、空飛ぶクルマの遊覧飛行実現時期を2030年代前半と述べているところが気になりました。
ここ数年に策定された国内外のロードマップでは2020年代後半の論調が目立っていた感じがするからです。

▪️遊覧飛行は203x年?

そこで

eVTOLの遊覧飛行実現時期を2030年代前半と予測した要因は何ですか?

と、追加質問を投げたところ以下の回答。

eVTOL遊覧飛行実現時期を2030年代前半と予測した要因

eVTOL遊覧飛行の実現時期を2030年代前半と予測した要因は、主に以下の3点です。
1. 技術革新の加速
近年、eVTOL技術は目覚ましい進歩を遂げており、バッテリー性能の向上、安全性確保、騒音対策などの技術課題克服に向けた取り組みが活発に進められています。特に、バッテリー性能の向上はeVTOL遊覧飛行実現の鍵となる技術であり、近年、リチウムイオン電池のエネルギー密度が飛躍的に向上しています。また、安全性の確保については、eVTOL開発企業や研究機関が、自動操縦技術や故障診断システムなどの開発を進めています。騒音対策についても、静音性の高いモーターやプロペラなどの開発が進められています。

2. 規制緩和の動き
世界各国で、eVTOLの商業化に向けた規制緩和が進められています。例えば、米国では2020年、連邦航空局(FAA)がeVTOLの型式証明制度を暫定的に策定しました。また、欧州連合(EU)でも、eVTOLの安全基準に関する規制案が検討されています。これらの規制緩和により、eVTOL遊覧飛行の実現に向けたハードルが下がるものと考えられます。

3. 実証実験の成功
eVTOL開発企業や自治体などが、eVTOL遊覧飛行の実証実験を成功させています。例えば、2021年には、ドイツのeVTOL開発企業であるLiliumが、世界初のeVTOL遊覧飛行を実証しました。また、日本でも、大阪府や東京都などが、eVTOL遊覧飛行の実証実験を実施しています。これらの実証実験は、eVTOL遊覧飛行の安全性や利便性を検証する上で重要な役割を果たしており、実現に向けた機運を高める効果も期待できます。

これらの要因から、eVTOL遊覧飛行の実現時期は2030年代前半と予測されます。ただし、技術革新や規制緩和の進捗状況によって、時期が早まることも遅れることも考えられます。

4. その他の要因
上記に加え以下の要因もeVTOL遊覧飛行実現時期に影響を与える可能性があります。
⚫︎都市部における交通渋滞の悪化
都市部における交通渋滞が深刻化しており、ヘリコプター遊覧飛行などの空中移動手段に対するニーズが高まっています。
⚫︎環境問題への意識の高まり
環境問題への意識が高まっていることから、CO2排出量の少ないeVTOL遊覧飛行に対する需要が高まると考えられます。
⚫︎観光産業の活性化:
eVTOL遊覧飛行は、従来のヘリコプター遊覧飛行よりも静粛で快適なため、観光客にとって魅力的な体験となる可能性があります。
これらの要因が重なることで、eVTOL遊覧飛行の実現時期が早まる可能性もあります。

なぜ2020年代後半ではなく2030年代前半にずれ込むか?という核心部分についてははぐらかされましたが、面白いのは、この回答が「技術革新」「規制緩和」「実証実験」の3要素でまとめられていて前回コラムで紹介したHAAMの「3角思考」(技術・制度・心理の壁)に通じているところです。

特にリチウムイオン電池の技術は日中韓のアジアが90%近いシェアを持つ分野だけに、日本のリーダーシップに期待したいところです。

一方で空飛ぶクルマの「実証実験」に関するニュースはHAAMの月例ニュースでも集めて共有していますが、世界各地の事例に対して日本国内のニュースはまだまだ少ないと感じます。

どのような実証実験が行われ、そこにどんな成果が得られているのかを追うことも必要ですね。

●次回は2軸マトリクスの「C」の領域の遊覧飛行を考えます

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