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ナラティブinナラティブ The Book Walker

先日体験版がだいぶん刺さったので発売を待って購入したのがこのゲーム。元作家が特殊な探偵となっていろんな本の世界に飛び込み、依頼された品物を現実の世界に持ち帰るという、こんなんワクワクするなと言う方が無理な設定のステキゲームです。日本語字幕があります。

The Book Walkerはこんなゲーム

あなたはエティエンヌという元作家です。何やら禁を犯して作家としての資格を剥奪され、30年の刑期を終えるまで物語を書くことができないように手枷を嵌められています。そんな彼を見かねた友人が、30年待たずともその手枷を外してくれる人物がいると紹介してくれました。その人物は、違法に物語の世界に入り込むウォーカーとなって、依頼された品を持ち帰る仕事を6回成功させることを条件に、手枷を外してくれると言います。自らの作家という地位を取り戻すため、その人物に言われるまま、本の中へと飛び込むエティエンヌ。1冊目の本の中で、彼は話をする不思議な金属製のカゴを見つけます。そのカゴの中に封じられた人物は、自分が作られたキャラクターであることは知っていますが、それが何の本に書かれているのかは覚えていません。彼は博識で、過去に何人ものウォーカーのパートナーとして働いたと言います。そして、エティエンヌにチームを組もうと持ち掛けてきました。多少の打算を胸にその申し出を受けたエティエンヌは、ロドリックと名付けたパートナーと共に、不思議な本の旅に出るのでした。

電話で仕事の指示があって、その直後に誰かが品物回収用かばんを家の前に置いていく
シークレットエージェントみがカッコいい
鞄の中には本と指令が入っていて
文字通りダイブイン。ワクワクしない方がむずい

ゲーム自体はステージ制のポイント&クリックです。Disco Elysiumが好きな人は好きな感じじゃないかなーって思います(無論私は好きだったのでこの記事を書いている。
ダイブする本は哲学書ではありませんので、当然敵も出て来ます。戦う得物はインクとペン。殴られればHPが減りますし、武器がペンですから行動するとインクが減ります。敵からインクを吸い取ったり、拾った食べ物でHP回復したりしながら戦うターン制バトル。基本足し算と引き算なので難しくはないですが、アクション性は皆無ですのでそういうの好きな方は期待しないのが吉。

The Book Walker、ここがいい

・ナラティブ
いやもう好きやろこんなん。ドラえもん読んで未来のお菓子とかもしもボックスとかとりよせバッグとかどこでもドアとかタケコプターほしいって思ったことある人やったら全員好きやろこんなん。

舞台もいちいち興味をそそるのだ
古びた洋館とか
砂漠にぽつんと停まった機関車とか

それぞれの物語が事細かに説明されるわけではないんですけど、その一冊一冊がどんなお話かなーって想像するのも楽しいです。なんせそこが良い。
エティエンヌさんのご尊顔は差し当たり見られないものの、この本を模したマスクも大変カッコよいのもよいです。
・ステージが進むごとに解き明かされる謎
色々断片的な情報しか与えられずに始まって、いろんなおもてたんとちなうを経て最後にしっかり風呂敷畳んでくれるのがとても気持ち良かったです。ネタバレになるから細かいことは書けないのが大変もどかしいんですが、よく練られた素敵な物語でニコニコしちゃいました。よい。
・行間を読むの楽しい
いちいち細かくテキストでは説明されないエティエンヌさんの生活の変化をステージの合間に読み取るのが楽しかったですね。手枷だけじゃなくて結構お金儲かるやんとか、それでも作家でいられないことで埋められない隙間があるんだねとか、そう感じるかどうかはプレイヤーそれぞれで千差万別だと思いますが、そういう隙間を作ってある作品は好きです。
・チャプター選択がある
最初からになりますが、チャプター選択であの時こっち選んだらどうだっけがやりやすくなっていて助かります。

古い洋書の背表紙好きマンにはたまらないUI

The Book Walker、ここが残念

・日本語
んんんんんんんん。日本語があるのは嬉しいんです。そして書体もすごくオリジナルの雰囲気を大切に選んでいるし、、目につく誤訳もないしストーリーもわかる翻訳ではあり、ローカライゼーション全体としては及第点というかむしろがんばってる方なの。

英語の画面がこちらで
日本語の画面がこう。そういう意味では本当にがんばっているんだ。

でもな、このゲームってさ、他の人が書いた小説の中に作家が入るっていう設定だからさ、作家も言葉選びが大事だし、舞台になるそれぞれの本のナラティブに沿った文章が求められるしで、言葉が命だと思うんすわ。そしてキャラクター音声があるわけでもないからさ、字幕で表示される言葉がナラティブの柱になるわけ。Disco Elysiumも地の文が小説だったから大変だったやん。という点でどうしても採点が厳しくなってしまうわけなの。どうにもこうにも日本語が堅く、文章に魅力を感じにくくてストーリーがドライブしないんですわ。いやお前にできるんかいって言われてもできないのだが、一応グローバルなプロダクションでやっとんねやからそこはもうちょっとLQAがっつりやってブラッシュアップしてほしかった。問題が翻訳にあるのか出稿にあるのかLQA足りてないとこなのかはわかりませんけども、ちょっと日本語でやるのしんどかった(英語にも同様の問題があるかもしれないが、それがわかる語学力がないので問題ない)。2000円以下のゲームだしMSゴシックじゃない日本語あるだけでも感謝すべきなのは重々承知でありつつもですね、DEATHLOOPはよくできてたしStarfieldの新しいトレイラーの日本語字幕も大変すばらしくて感動した直後だったのでショックが大きかった。つらい。

別ゲーの動画を貼るのは気が引けるが、THIS, is where we belong.を「探検家とは、そういうものよ」って多分わしベセスダで見た中で最高の翻訳。しびれる。名訳。マジで。がんばってる。

残念だったの、本当にそこだけなんですよね…。んで、悪いって言うほどでもないからものすごくモヤモヤモヤモヤモヤモヤってしている。めんどくさいオタクで本当にすまん。

まとめ

・めちゃめちゃ魅力的なナラティブで
・ビジュアルもイケてるし
・字も大きくて老眼に優しいし
・静かだけど冒険してる感じもあるし
・クリアした時のお楽しみも楽しかったし
・プチプラだし
・短いといえば短いが価格を考えれば妥当で
・実際いいゲームだから
・AVG好きなら買って失敗は多分そんなにしない
・でも消化器だけは今後のアプデで直してくれたまえ

っていう感じかな。多少人を選ぶとこはあるけどいいゲームなのは間違いない。やろう。

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