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中世満喫ゲー、Kingdom Come: Deliverance

先日Epic Gamesで無料配布されていたのを思わず頂いてしまったらことのほかハマっちゃったので書きます。ネタバレを含む予定なので見たくない方は見ちゃダメ。(ネタバレ部分は一番最後だけ)

KC:Dはこんなゲーム

兄弟で王位継承争いが起きている中世末期のボヘミアが舞台。辺境の小さな田舎町、スカーリッツがその巻き添えを食って突然襲撃されます。鍛冶屋の息子であるヘンリーくんが、領主との約束と故郷を滅ぼされた復讐を果たすべく、身を投じる戦乱の中で成長していく物語。

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どちらかと言えばお父さんの方がこのmゲフンゲフン

KC:Dここがいい

・ド中世(でもお風呂はわりと入れる)
道にお馬さんの落とし物が落ちていたり、汚わい置き場にハエがたかっていたり、家の裏にちゃんとおかわが設置されていたりと、通常省略されがちな下世話な部分まできっちり描かれているのが大変良いです。そんなこと?と思われるかもしれませんが、TESでトイレがないとか下水道どうなってんだろうとか考えてまる一日を無駄にする私にとっては重要事項なんだ。
服装も、デザインから質感まで考証バッチリで、よくできた海外の時代劇見てるみたいでした。服が汚れたり破れたりするのがグラフィックに反映されるのも面白いですね。とはいえなんぼ埃っぽくて汚れやすいと言っても、2日ほど同じ服装をしているだけでどろどろのネトネトになるのはちょっと困ったのでMODで解決してしまいました。
公衆浴場みたいなところでお金を払うと、お風呂だけでなく身に着けているものを洗濯してくれたり怪我を治してくれたり散髪してくれたり(お風呂メイドさんがごにょごにょしてくれたり)するので、中世の臭そうさはあまり考えずに済みました。近頃は昔のような中世はお風呂入らない汚い史観が薄らいでいると聞きますが、宿屋が一晩2グロッシェンに対してお風呂と洗濯が10グロッシェンとけっこう高額。NPCの住居の前などに比較的きれいな水が汲まれたタライが置いてあって、顔を洗うこともできるようになっていて、平民はそれとか川で水浴びとかで済ませてんのかななどと考えながらプレイしておりました。

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お嬢さんにお金を支払ってなんかそんなようなアレであれがそれ

・鎧のしくみがわかる
鎧ってこうやって着るんだ!!!ということがよくわかる装備欄。チェーンメイルはズボンとかシャツの下に着こむんだとかコイフは布と鎖両方着るんだとかいろいろとよくわかって面白かったです。着脱自体は一瞬でできる便利仕様でしたが、ポールドロンの結び目なんかもちゃんと作ってあって勉強になりました。
・戦闘が(わりと)親切
慣れるのと、ある程度レベルが上がるまではしんどいのはしんどいのですが、フロムと比較すると難しくないです。言うてもヘンリーくんはそれまでろくに剣を握ったこともない鍛冶屋の息子。ですからレベルが上がっても爽快な無双プレイは多分無理っぽいのですが、一人ずつ釣り出してタイマンに持ち込めればけっこう大丈夫。油断するとすぐ死にますけど。一番大きな街の隊長さんに木剣で訓練してもらうことでわりと簡単に上達するのも親切仕様ですね。武器の構え方や振るい方も(知識がないからよくわからないけど多分)剣術の基本に基づいてモーションを撮ってあるようで、中世の騎士になった気分を味わえます。
何度かある集団戦も、フレンドリーファイアにさえ注意すればさほど苦労せずに勝ち抜けました。アクションめちゃめちゃ苦手な私が大丈夫なのですから普通の人はさらに大丈夫だと思います。
※ハードコアモードはプレイしてないのでわかりません。
・錬金術!!!!!
TESでもひたすら草をむしって薬を調合し続けるのが好きな私にとっては非常に錬金分野が充実していました。各種ハーブの見た目が本当に実物通りでテンションが上がり、所持重量の限界をはるかに突破する勢いでひたすらむしってしまう楽しさ。錬金作業も手順書の通りにきちんと実施しないと失敗するし、手順書自体も文字を読めるようにならないとちゃんと意味が分からないようになっている芸の細かさ。毒薬のレシピは森に住んでいる(中世ドラマで魔女などと呼ばれる系の)ハーバリストしか扱っていなかったりするのもときめきます。自動作成を覚えるまでは面倒と言えば面倒なのですが、それでも錬金術師感を満喫できてとても楽しかったです。すごいぞ。

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ジャーマンカモミールの見た目が本当にジャーマンカモミールなので大喜びする中の人の図

・馬ちゃんがけなげ
基本的にわりと不便なところまで中世生活シミュレーションができる本作ですが、馬ちゃんだけはめちゃめちゃ便利で、世界のどこに置き去りにしてきても口笛一発ですぐにおそばに馳せ参じてくれます。悪路も文句を言わずに走ってくれますし、どんなに悪天候でも下馬した場所でずっと待っていてくれます。馬ちゃんかわいい。
ストーリーの流れ的には訓練してくれる隊長さんが譲ってくれる愛馬ペブルスちゃんが初めて所有する馬になります。馬は一頭しか所有できず、新しく馬を購入するとペブルスちゃんが消滅してしまうのでちょっと足が遅いとかスタミナが足らんとかあったのですが、最後までペブルスちゃんで通しました。次プレイではペブルスちゃん入手前にめちゃめちゃ金を稼いで早い強い馬ちゃんを入手しておこうと思います。
・ヨメが男前
(継続する)ロマンスが用意されている正ヒロインは同郷の粉屋の娘一人で、顔はいかついですが性格はかわいいです。そして気が強い側面もあり、正統派女子という感じ。ねんごろになると頼めば繕いものをしてくれるものの、1日のうちに2度以上頼むと「あんたのお針子じゃないんよ甘えんな」的に手酷く断られたりして、ああ20年後には恰幅のいい田舎のおばちゃんに成長するタイプやなとしみじみします。主要な女性NPCが2、3人しかいないんで、もう少し多くてもよかったかもしれない気がする。
・世界史好きにはたまらない感
神聖ローマ帝国中期のゴタゴタのせいでいろんな人が苦労している様子を疑似体験できるのはとても面白かったです。あーフス戦争とかやったやったなっつかしーい!と少女時代を思い出したり。
もちろん史実を基にしながら多彩な脚色が加えられているのでそのまま受け止めていいものではありませんが、この辺りのお話は日本国内向けにあまり出てこないコンテンツでもあり、とても興味深かったです。攻略情報などggっていると、聖地巡礼なさってるファンの方の旅行記などもあって、プレイと併せて何かと楽しませていただきました。

KC:Dここが残念(ネタバレなし部分)

・バギー&高負荷
要求スペックが高いわりに私のマシンがへぼいことも多分に影響していると思われますが、わりとバグがあったり挙動がおかしくなったりしがちでした。特に集団戦は大変マシンパワーを消費するようで、画質を落とさないとCTDしてしまったり、まともに動いてくれなくなることもしばしば。パフォーマンス改善MODなどもあるものの、最高のプレイ体験は2080二枚挿しi7すごくいいやつ電源贅沢搭載機でないと難しいですね。(1050Ti/i5そこそこ/省電力重視マン並感)

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でもこのガラスの表現が好きすぎて鼻血が出そうだった。古いなみなみガラス本当に好き。

・三人称視点がほしかった
三人称視点でマイキャラを後ろから眺める習慣に慣れ切っているTES愛好家的には、操作時に一人称視点縛りはちょっとなじめない感じでした。TESの視点切り替えとは違い、常に全身レンダリングされているようなのでMODを使わなくても三人称に切り替えられたらよかったのになーと思います。
・コンボ難しすぎるわ!!!!
マウスで剣の構えポジションが変わり、突きと構え位置からの斬撃でコンボ攻撃が設定されているものの、構えの位置を操作するのが結構難しくてコンボなかなか出せませんでした。つらい。
・弓のレティクルぐらいはデフォルトであってほしかった
常にステルス弓ぴちゅマンプレイしがちのため、レティクルが出ないと弓が完全ノーコンになってしまって苦労しました。コンソールでレティクルを出してプレイしていたことをここに告白します。ついでに言うとそれでも外しちゃう程度には弓当てるの難しいです。ちょっと動かないでよね敵!!!
・おつかいが遠い
オープンワールドゲームの宿命みたいなものではありますが、仰せつかったおつかいの目的地が遠くてしんどい。ファストトラベル可能とは言え、ポイントがかなり限定されているため、そこから目的地までが結構遠いと方向音痴にとってはしんどい。Shiftキーを押していれば馬ちゃんがトロットで自動操縦状態になって便利なのですが、もう少し移動が楽だったらよかった気もするし、不便さを楽しむという意味ではほどよい気もするし。
・セーブ&ロードが面倒
錬金できるセーブ用ポーションがないと任意セーブができない、それもできない場面がちょくちょくあって少し前からやり直さなければならないことがあるのは少々不便でした。
VAMPYRなどでも感じたことですが、プレイ時間は有限で、積みゲーもたんまり抱えている人間にとって、決まったタイミングでしかセーブ&ロード不可になると、そこからやり直したかったポイントまでのプレイ時間が作業になってしまうんですよね。世界観としてその利便性を無視するか優先するかは制作側の判断になることは承知しつつも、F5とF9はある程度自由に使わせてほしいなあと思いました。
・キャラメイクしたかった
ヘンリーくんというキャラクターに不満はありませんが、もう少し顔の作りをカスタマイズできるとうれしかったですね。マイケル・ビーンよりもウィレム・デフォー顔が好きなんだ。

まとめ

このあとはネタバレになるのでここでまとめ。
・ロマンス入れたくなければやらなければいいし、不殺縛りができる戦闘設計になっててよいゲーム。たぶん全部入りを買い直す気がする。
・有志日本語版もあるしDMMには日本語版もあるので安心。
・中世ヨーロッパが好きなら買いだ。
・史実に忠実じゃないと許せない人には向かない。
・カポンくん私は好きだぞ。手間かかるけど。

ネタバレ部門

以下はざっくりでもネタバレを含んだ好き嫌いの感想になりますので知りとうない方は引き返してください。













・君、割り切り早すぎないか?
終盤でヘンリーくん出生の秘密が暴かれますが、あんた父さんの復讐を果たして剣を取り返して領主さんに渡すんだってずっとやって来てその父さんが実の父親じゃなくて別の人がお父さんってわかってすぐに「ずっと居心地悪い気がしてたんだよね」ってスッキリしちゃうのちょっと割り切れ杉内?もうちょっとショックを受けたり葛藤したりしてもよくない?あとお母さんいろいろ素っ気なさ杉内?多分きっと容量の都合などで描き切れなかったのであろうと理解はしつつ、もうちょっと描き込んでくれてもよかったのよ?というモヤモヤ感が非常に大きかったのが残念です。
・事情は分かったがアークザラッドを思い出すクリア感
一本にまとめるには長すぎ、続編に望みをかけて分割するしかなかった止むに已まれぬ事情があったことは理解したし、続編出るようにそのうち全部入り買って応援したい程度にハマりはしました。しましたが、全然片付いてなくて、この男坂をようやくのぼりはじめたばかり感というか、「えええっここで終わるんですかちょっと待ってなにこれバッドエンドで本当はもうちょっとスッキリした終わり方あるんちゃうんえっマジなん?」と狼狽したアークザラッドを思い出しました。がんばれWarhorse Studio。

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