見出し画像

中世サウスパーク The Procession to Calvary

はい、今日はこちらの作品になります。また日本語化できそうにないんで残念なんですが、文章量がめちゃめちゃ多いわけではないのでシュールな雰囲気を楽しむ目的なら、まあそんなに言語は問題にならないかな…なるかな…まあでもやっぱり言葉はわかる方が面白いだろうな…
Unityで自分とこの言語だけでゲーム作る時、ダイアログはTextAssetで作る国際法を早く制定してくださいムキーッ( ゚皿゚)

日本語にすると「磔刑への行列」みたいな感じでしょうか。深刻そうなタイトルですがぜんぜん名は体を表しません。
ついったでTLに流れてきたこのツイートを見た数秒後に買っていました。買うやろこんなん。

Procession to Calvaryはこんなゲーム

いやもう上記の引用ツイートをご覧いただければわかると思うんですけど、ルネッサンス期の絵画をコラージュする手法で作ったわりとクレイジーなポイントクリックADVです。ちゅーかレンブラントのあれがこうなるとか誰が予想したでしょうか。なんぼ戦の女神でも大草原不可避。

どこかの国で、暴君に反旗を翻して南北に分かれて戦い、勝利した北部の人々。戦乱の傷跡が随所に残る街中で、上官から戦争は終わった、もう人を殺してはいけないのだと諭されるヒロイン。しかしまだまだ敵勢を殺し足りない彼女は、新しい王に掛け合って暴君ならば殺してもいい、という許可を取り付けます。そして彼女の南への旅が始まるのです。

ってまじめに書きましたけど、ゲームの雰囲気は軽いですし深刻なもんじゃありません。ヒロインもNPCも口が悪くて上品な絵柄のサウスパーク感がすごい。
「殺人狂」と表現されてはいるものの、正当な理由がない人殺しはしない彼女なりの倫理観は持っていて、思ったことはだいたい口から出るタイプのヒロインはわりと好きなタイプです。

画像6

音楽家に剣を向けると「そんなに悪い人ちゃうやろ!」と怒られる

冒頭で「殺したら!あかんぞ!!」と厳命されるものの、ころがせる対象はまあ別にころがしてもいいんです。なんか雷で打たれますけど。ただ、ころがすとポイントクリックADVのキモとも言える謎解きをパワープレイですっ飛ばしてしまうことがちょいちょいあったので、一周目はある程度ころがさない方がいいんじゃないかな。短いゲームだし、ころがすのはいつでもできるし。ヒロインも「それほんまにええ考えやと思う?いや、私やったら考え直すかな…セーブしてからもっかい頼んでくれる?」って聞いてくれるぐらいだし。

Procession to Calvaryここがいい

・愛すべきバカゲー
キャラクターデザインとか丁寧に書き込んだ背景とか大変だし、著作権切れた名画を使えばいいんじゃね?という発想のすばらしさがもうなんかすごい(語彙力。でも手間としては描くのというほど変わらんのじゃないかな…絵画の選定とか切り抜きとか大変だったでしょこれ。
冒頭でストーリーの導入部分をまじめにご紹介しましたけども、まあ一応なんやかんや目的は果たすなりに、最後はえええええそうなのwwwwwみたいな終わり方なんで、バカゲーであることはちゃんと認識しておく必要があります。なので、シュールな不条理ものが嫌いな人は買わない方がいい。

律儀なソース紹介
各場面でクラシックが流れるんですが、必ず演者が配置されていて、必ずその演者が誰の何の曲を演奏しているかを教えてくれて、ブラーヴォー!!って拍手できます。冒頭のツイートの場面ではスーサの星条旗よ永遠なれが演奏されていて、冒頭から時代考証ガン無視すぎてやられました。すき。

画像1

すべてではありませんがゲーム内で使用した絵画を紹介する場所も用意されています。レンブラントや大小ブリューゲルクラナッハ(まとめすぎ)、真珠の耳飾りの少女などの有名どころから、ああーどっかで見たことあるーーーぐらいの作品まで色々。
そういった絵画群を細かく拾ってきて切り貼りしてこんなん作ってこのゲーム作った人は相当頭がおかしい(絶賛)と思いました。すき。
(以前そういうことをして物議を醸したアート作品がありましたが、これはとっくに著作権が切れており、なおかつ作者本人も世を去って久しく許諾を取りようもないこと、すでに後世で名作と認められた作品であることなど、あれとは別種のものだと理解しています)

・メタい
ヒロインがセーブを勧めてくれるどころではないストライクゾーンど真ん中時速200㎞超えのメタさ挟み込んできて卑怯だと思いました(褒めてる。

画像2

「スッチムーのレビュアーがメタい茶番を忌み嫌ってるのを知らんのか?」

ここまで突き抜けてたら一周まわって好きな人わりと多いと思う。実際こうだし。↓

画像3

念のために書き添えておきますが、この数字からご想像がつくように万人受けは絶対にしません。カノッサの屈辱とか現代用語の基礎体力が好きだった人には向いています。しかしまじめで実直な人には絶対に向きません。
でも私は好きでした。すき。

Procession to Calvaryここが残念

・日本語がないし有志翻訳もシステム的に無理げ
テキスト量だけなら一人でもできる程度なんですけど、抜き出せそうにないので多分無理。求む勇者。

それ以外の面では、ある意味全部残念(褒めてる)なんで、合わない人にとっては全部無理じゃないかな、というところがまあ本来の意味で残念なのかもしれません。
ただ、このビジュアル見てAAA並みのシリアス大スペクタクル感動巨編だと思う人がいたらそっちの方がどうかしてると思います。この画面で刺さった人は多分大丈夫だし、偉大な絵画に何という冒涜を!!みたいな義憤を覚えちゃう人は端から無理だろうなって感じがします。
「シャレがわかる大人の、愛すべきバカゲー」という認識で臨めれば、本来の意味で残念さを感じる人は少ないんじゃないかな。短いけど1010円だし、それでこんな斬新なもの見せてもらえてありがとうって思いました。

まとめ

・作る方もキックスターターで支援した方もどうかしてる(褒めてる
・バッカーへの感謝の表現が支援した人の好みを把握しすぎている
・一応ちゃんとADVゲームにまとめ上げててなんかすごい
・来月のSteamセールを待っててもいいような気はする
・日本語化できるものならしたいがさしあたり無理そう
・これだからインディーゲームはやめられないぜフゥーハハァー

多分これ見ないとわかんないなと思って冒頭部分だけ動画にしました。

ネットというかSteamの海は広大だなって思った作品でした。やっぱりこういう自由な世界があると、なんかとんがった人がぽろっと出てきて楽しいことが起きますね。両手を挙げて万人にお勧めはしませんが、次回作があったらきっとまた買ってしまう気がする。

画像5

まさにOMG!なゲームでしたProcession to Calvary。すき。

いいなと思ったら応援しよう!