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ドローン業界における”水素”の可能性とは?〜RoboDEX見学会〜

2023年2月、GIA水素会は水素ドローンの研究開発を行っている
「RoboDEX」さんを訪問し、水素や水素ドローンに関してどのような協働ができるかを議論しました。

この記事では、今回学んだ内容を紹介するとともに、今後の水素会の活動方針について報告します。

RoboDEXさんの会社HPはこちら
RoboDEX Inc.

今回の見学会のVlogも公開しています!ぜひご覧ください!
https://youtu.be/CICY7lkecBs

なぜ水素ドローンなのか?

RoboDEX社の水素ドローン

バッテリーと比較して航続時間が長いから。

水素はクリーンエネルギーとして最近注目を集めており、現在は水素を燃料に走る自動車などが商用化されています。

水素は世の中で最も軽い物質ですが、圧縮して沢山タンクに詰める技術が確立しています。この技術によって、ドローンの可能性を最大限引き出すことが可能です。

従来のドローンは、機体や運ぶものの重量にもよりますが、一度の充電でおおよそ10分程度、長くても30-40分しか航続できないというデータもあります*1。また飛行後には数時間の充電が必要になります。

一方、水素ドローンは燃料電池を動力として飛行します。大幅な技術革新が必要なバッテリーと違い、燃料となる水素を必要分タンクに詰めるだけで飛行時間が飛躍的に伸びるメリットがあります。

現状の技術で最大90分航続可能であり*2、今後タンクの改良や高圧ガスの規制などへの対応が完了すれば3時間以上飛行が可能になります。*3
長時間の飛行が可能になれば、ドローンでできることは格段に増えます。

水素ドローンの”航続時間”に関する利点に目をつけたGIA水素会は、現状の技術や課題をその目で確認するために、日本で唯一水素でドローンを飛ばしている最先端企業、”RoboDEX”社を訪問しました。

ドローン業界と水素ドローンの現状について

ドローンは、映像撮影や測量、農業など様々な業界で普及が進んでいます。

しかし、先述の通りバッテリーで駆動するドローンは、「飛行時間が短い」という欠点があります。

その弱点を克服しドローンの可能性をさらに広めるものとして、RoboDEXが開発を進めるのが水素ドローンです。

実際、RoboDEXは1回で2時間近くの飛行に成功したとのことでした。また搭載重量も最大10kgと、従来のものより重い荷物を運ぶことも可能です。

しかし水素ドローンにおける技術開発には課題も多く存在しています。

開発者に明確なビジョンが見えていないこともあり、需要を捉えきれない研究開発となっているとのことでした。実証実験も単発的なものになっており、長期的な目線で行えていないことがわかりました。

また水素の供給体制が整っていないため商品化した後のプランが見えないとの意見もありました。

RoboDEX社からの話を聞いて

私たちはRoboDEX社からの話を踏まえ、水素ドローンはバッテリードローンと比較したとき、一度に飛べる距離(航続距離)は長く、ドローン活用の幅を広げる可能性を秘めていると再確認しました。

例えば、水素ドローンを活用すれば離島や山間部への物資輸送はより容易になるでしょう。また遠距離で、風などの気候条件が厳しい場所へもドローンを飛ばすこともできるようになるわけです。

「水素社会を実現する」という目標のもと集まった私たちにとって、開発研究がある程度進んでおり、想定される活用法も十分にある水素ドローンの社会実装を進めていくことがその第一歩となると考えました。

一方で正確なターゲットを想定できずに進んでいる水素ドローンの研究開発の現状を踏まえると、社会実装までに長い期間を要することが予想されました。水素ドローン単体の話だけではなく、水素インフラを整備する必要性も痛感させられました。

大きなチャンスを逃してしまうと危機感を抱いた我々は、より具体的なビジョンを提供することで社会実装時の障壁を取り除けないかと考えました。複数の提案を行ったところ、一緒に水素ドローンの利用可能性・社会実装について考えて欲しいとご希望いただきました。

GIA水素会のこれからについて

GIA水素会は今後、RoboDEX社とともに水素ドローンの未来を描くためのアクションを起こしていきます。

具体的には、水素ドローンのビジョンを共創していくためのワークショップを行う予定です。世代の垣根を超えた議論を通じて、水素ドローン・水素社会の未来を創っていきます。

また今回の活動をスタートさせるにあたり、現在の水素会メンバーを中心に新会社を設立する準備を進めています。

私たちの活動に興味を抱いてくださった方、水素ドローンの未来を考えるワークショップに興味を抱いてくださった方はぜひご連絡ください。

水素ドローン、燃料電池、水素タンク、そして素敵な社長さんとの集合写真!

参考文献

*1 ドローンの飛行時間の計測方法とは?長時間飛ばせる「国産ドローン」を紹介(https://product.acsl.co.jp/useful/post-1813/#:~:text=%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%8C%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E6%99%82%E9%96%93,%E5%88%86%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82,20230225アクセス)

*2 長距離のドローン物流に向けた国産の水素燃料電池ドローン「Aigis One」受注開始!(https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1184360.html,20230225アクセス)

*3 水素ドローンの活用状況(https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200410002/20200410002-1.pdf,20230225アクセス)


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