雛雁木~△4四歩型左美濃早繰り銀~#1


あらすじ

後手雁木を調べていた所、43銀を保留する方がお得そうだった。
あと、別に端歩(9筋)を突かなくても大丈夫そうだった。

雛雁木と勝手に呼びます。

雁木が親なら、その前段階を雛と呼べるのではないでしょうか?
勝手に雛雁木とか呼ぶことにします。

既にわたし以外の人もこの手順を検討しているだろうし。
他に呼び方はあるかもしれません。あったら教えてください。
名付け親になりたいわけでもありませんし。
さて、検討してみると、評価値的にはそんなに悪くないという驚きの結果でした。
ぶっちゃけ、大体雁木っぽい形になります。

△33角32銀=急戦に強い

少し話がそれますが、四間飛車32銀型は急戦に強いとされています。
しかし、それは何も振り飛車に限った話ではありません。32銀33角の形そのものが、急戦に強い形になっているというわけです。
結論を先に述べますと、
・78金か78玉とされる
・46銀とされる。
上記いずれかになるまでは、43銀と保留出来るのではないかというのが仮説になります。

対雁木▲37銀急戦 88銀型

まだ後手は振り飛車か居飛車かわからない。

対雁木と言えば、37銀急戦が有力とされている。
後手のこの陣形では、まだ振り飛車か居飛車かわからない。

36歩や56歩は振り飛車にされた時のことを考えると、簡単には選べません。
なので、58金や78玉を選ぶことになるでしょう。
上図では、58金としました。上がって損になることはあまりないですし、69玉の含みも残せます。
※次回は78玉型を取り扱う予定です。

雁木を目指すのであれば、94歩を入れる。95歩まで突き越せたなら振り飛車を選ぶという作戦が有力とされていますが、上図のタイミングでと飛車先を突いてしまうのが狙いになります。
先手としては、ほぼ雁木で決定だと思ってしまう所でしょう。

図1 88銀型を選択。もちろん78銀型もある。

対雁木戦で見慣れた陣形を構築していきます。
しかし、後手は中々43銀と上がりません。
上図から図1までの進行は特に違和感がないと思います。
85歩に78金は、横歩を取られて先手不服でしょうから、77角は自然な手でしょう。
後手は陣形が低く、好形です。居玉が安定している恰好です。
図1から、35歩の仕掛けはどうなのでしょうか?

図2 図1から35歩同歩45歩

図2の局面は、後手が少し良い局面になります。
37銀と戻るのは、
36歩から55角などの狙いか厳しいので、55銀しかありません。
33角成は同桂とされると、銀取りで手番を握られてしまうので自分から角交換は出来ない仕組みです。
図2から▲55銀△43銀△66銀と進行した結果は、先手が単純に一歩損です。

結果図

ということで、35歩の仕掛けは成立しないということになります。

35歩の仕掛けがないということであれば、46銀と上がるのはどうか?
ここでは、後手は75歩と入れてから43銀と上がります。
前述した通り、46銀とされた以上43銀は必要経費となります。

図3

図3の局面で先手の最善はわかりますでしょうか?
わたしはわかりませんでした。最善は▲55銀らしいです。
人間的には、いや、この陣形を組んだからには35歩としたいことでしょう。
図3から35歩32金34歩同銀38飛車の進行を見てみましょう。

図4

大変怖い恰好ですが、局面的には互角だそうです。
図4からは、34飛車と走ります。
以下の手順は割愛しますが、図5(下図)の様に進みます。
流石に同歩と取るでしょう。

図5

46同歩とした局面で後手が手番を握っているのが大きいです。
まずは、33金として飛車をどかします。
飛車の引き場所が悩ましいですね。
どこに引いても、26角・27角・28角の様な手が発生します。
更に75歩の突き捨てを入れた効果で、76歩の利かしもどこかが入る仕組みになっています。
評価値的には互角ですが、後手を持って指せる形勢だと思います。

少し局面を戻します。

再掲 図3

繰り返しますが、この局面の最善は55銀です。
しかし、それを初見に選べるかというのが、そもそもの罠という仕組みです。実戦で試す機会はまだそこまでありませんが、中々誘導性は高いと感じています。

対雁木▲37銀急戦 78銀型

この陣形に関しては、そこまで語る所はありません。
△73桂馬と跳ねて、じっくり駒組を進める進行になります。
というのも、78銀型だと、囲いの進展性がありません。
後手は、44歩と突いているので、ここから雁木に組むことが出来ます。
更に言うと、37銀とした先手に対して後手は桂馬を跳ねる選択もあったということになります。
先手から66歩と突くのは、少し悔しいかもしれません。
もちろん、これで後手が勝ちやすいというわけではなく互角ですが先手でこれをされたらとても嫌なことは間違いないと思います。

今回のまとめ

・相掛かりの将棋でもそうだが、77の角を狙う早繰り銀は優秀だった。
・雁木を保留する利はありそうだった。
・誘導性が高い。先手の手もほぼソフトの最善手順だったが手強い手順が多かった。
まだ調べてる途中なので、何とも言えないです。
多分途中で何らかの弱点が見えてくると思うので(プロ公式戦で見ないので)それを明らかにするべくもう少し調べてみようかと思います。

☆次回 78玉型について

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