摂食障がい 集中治療室

私の姉は集中治療室で生死を彷徨っている。

摂食障がいがこんなに怖い病気だとは思いもしなかった。

そして……精神障がい者に対する制度がここまでに追い込まれるほど整っていないことに愕然とした。

姉は今40歳だが、精神の異常が出だしたのが

もう20代も前半頃から。最初は強迫性障がいの症状が強く出始めた。

そしてその頃から、母に対して「自分がこんな風になったのはお前のせいだ」と恨み節を言うようになった。

姉は、病気になる前はとても優等生ないい子であった。

私と姉は７つ歳が離れている。

姉が小学校から友達と遊ぶ約束をして帰ってきても

母がパチンコに行きたいが為「〇〇（私の名前）を見てて」と私の面倒を姉に見させた。何度も友達の約束を破るようになり、姉は友達に誘われなくなった。

でもその頃は何も母に言わなかった。

姉の中学受験の年、毎日のように離婚の話で父と母が喧嘩をしていた。

高校も無事受かり、看護師免許もとり、姉は優等生の道を歩いてきた。

でもある日をさかいに、

「今日、病院で患者の血に触れたかも」

「薬を間違えたかも」

など不安をあれこれゆうようになった。

そして、病院のほうから、退職して欲しいといわれた。

そこから、色んな我慢してきたものが爆発したように壊れていった。

母の前で「死んでやる！」と自殺未遂も何度も繰り返した。

10年間、姉の色んな症状に悩まされた。

飛び降りようとするたびに、警察を呼んでも、「病院へ行ってください」と。

精神科はもうずっと通っていた。薬ものんでいた。

区役所に行っても病院で入院しかないと。

入院を嫌がる姉をやっとの思いで入院させれた。

せっかくの思いで、入院させられたのに、

食べ物はこっそりゴミ箱にすててしまう。

隣のベットのひとが、外出許可が出た時に0キロカロリーのゼリーを買ってきてほしいや、自分のゴミ箱に捨てたら、バレて医者やナースに怒られるからと隣の人にお願いしたなど、迷惑行為があるのでと強制退院。

確実に治療が必要なのに…。おたくは迷惑をかけるから無理ですと。

でもそれが症状なのです。

治したくて入院しにきたのです。

じゃあ、他の病院を紹介してくださいと行っても、

迷惑をかける患者はどこにも紹介できないといわれました。

そして今すぐ迎えに来いといわれいきました。

病院を出る時、帰っても倒れるのが目に見えてますと伝えると

「一歩病院を出ると私たちには関係ありませんから」

と一言。

泣きながら連れて帰りました。

そして区役所に相談に行っても、ヤバくなったら救急車を呼んで下さい。だけでした。

姉は退院させないで！頑張るから！と懇願していました。28キロまで落ちていた体重も病院では35キロまであがっていました。よその病院でもいいから、お願いだから紹介して欲しいと懇願しました。でも、出来ないと。

帰ってきてから、病院にまで見捨てられ生きる気力がなくなっていました。

そして、ついにおしっこにも立てなくなり、肝臓の数値は4桁。救急車で運ばれ、別の病院の内科にはこばれました。そこで、前入院していたところに、入院できるよう医者から電話してあげる、医者同士のつてみたいなのもあるから！といってくださったのに、前の病院は拒否。前の病院の内科のほうにもあたってみましたが、拒否をされました。内科の方もあなたは入院させちゃいけないと連絡がきています。と。

摂食障害の姉は生きることを許されないのでしょうか。今いる病院も集中治療室を出たあとは、摂食障害が見れないからと転院を進めてきます。

区役所、警察、病院、ただの1人も姉に優しくないのです。

どうにかしたいのにどうしたらいいのかわからない。

病院の三ヶ月以上は入院させてもらえない制度にも苦しむ。

心の病気は目に見えません。症状もすごくうっとうしいです。

でも…生きる希望をあげてほしい…

文書など、嫌いだしただの一度だって書いたことないのですが、1人でも多くの人に今の現状をわかってほしい。そしてかわってほしい。

そして、姉がどうか、どうか助かりますよう… 

2020.5.12

姉はあれからいろんな病院を転々と転院させられました。

二ヶ月ほど前、転院して１週間しか経ってない時に、

病院から連絡があり「心肺停止して、今救命救急がある病院に搬送中です！すぐきてください！」

といわれ、慌てて母や父、弟と向かった。

病院に行くとすぐには会えなく医者から

「30分心肺停止していた。でも今、動きだしたが意識はない」といわれた。

その日は会うことはできずに帰った。

私はそれ以来、コロナの影響もあり姉に会えていないが、母から様子を聞くと目は開いているが意識は戻らないらしい。

腕は拘縮してかたまっているらしい。首にはタンを取りやすくするために切開してチューブみたいなものが入っているらしい。今は鼻から栄養を入れているがもう少しすると胃ろうを作るらしい。

この一年での悪化の仕方に驚きしかない。

母は、もっと向き合ってあげればと泣いてばかり。

私も後悔はある。

もっと話を聞いてあげればよかった。

寄り添ってあげればよかった。　

今は、療養型病院にうつった。

救命救急がある病院で、医者から

「次何かあった場合、延命処置は希望しますか？（人工呼吸器をつけるか）」といわれた。

それによって転院先がかわると。

もう私たち家族は延命処置はしないことにした。

亡くなって欲しくはないが、生きて苦しむ姿ももう見たくないと思った。

どちらがいいのかなんて分からない。

姉は何も答えられないし。

何を思っているのだろうか。

2020年７月11日　　　永眠　　　41歳

なんで姉が死ななければいけなかったのだろう。

風邪ひとつ引いたことない元気な人だったのに。

最初の病院で「食べれば治る」といわれた。

わかってる。なのに食べてくれないんだ。

もっと摂食障害の理解が広まって欲しい。

治療できる病院、相談期間をもっと身近に増やして欲しい。

お葬式の間、懺悔と後悔ばかりを私は思っていた。

どうか、どうか安らかに眠れますように。