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音楽も聴けないような寂しい日々に ArtTheaterGuild 東名阪ツアー『GO TO NOWHERE』

新卒で入社した会社を辞めるか辞めないかの時期に、音楽が聴けなくなった。
ギターが出来る限りうるさくてボーカルが叫んでるようなバンドばっかり好んで聴いてきたけれど、そういうのはもちろん、人生の節目節目にわたしを奮い立たせたり救いあげたりしてくれたピロウズとかBUMPとかそういう、一生聴くんだろうなという音楽もほとんど聴けなくなってしまった。

唯一ちょっと聴けた星野源は最後の最後に「退職の理由のひとつになった厳しい上司と何故か2人で星野源のライブに行くことになってしまい、怖すぎて事前に精神安定剤をオーバードーズしてから臨んだらライブの記憶をほぼまるまる飛ばした上に帰宅してから錯乱状態に陥って流血沙汰になりかけた」という超ド級の思い出を作りやがった。いや星野源はなんにも悪くないです。ほんと頭悪くてやんなっちゃう。でもそれくらいギリギリでした!はァ~~~~銷魂銷魂!

あの頃、可能な限り優しい声だけにそばにいてほしかった。

そういう音楽を自分であまり選んでこなかったから、まわりにそういう声がなくて、あっでもこれがあったなと思って、しばらくずっと同じバンドだけ繰り返し聴いてた。






ハイ!それでね。ライブレポみたいなもん書きたかったんだけどそんなの書く技量ないんだよな。とりあえず書き出しだけセンチメンタルぶってやったわ。ハハハ。

2022年2月18日、1泊だけ札幌から大阪まで飛んだ。今年初遠征。2021年やたらめったらライブのために飛行機に乗ったのでもう慣れっこだったけど、他の遠征は全部少なくとも2泊はして観光も兼ねていて、ほんと1泊ライブのためだけに飛ぶのは人生で初めてだった。大学時代なけなしのバイト代をはたいて推しのために東京まで行っていたことを思い出した。金なさ過ぎて日帰りで東京行ってたもんな…………。

世の中がこんなことになってから、なんか逆に「今、今観に行かないでどうする」という気持ちになって、なけなしの貯金を削ってまで遠征するようになってしまった。あたしのライフはもうゼロよ!ライフっつーか普通に残高がヤバい。
昔はツアーの日程を見て、ああ札幌は来ないんだなと思えば諦めていた。今は「あ、札幌来ないんだ…………うーん大阪か東京なら都合つけて飛べそう♡」と思ってそっこーでpeachのサイト開いてる。開く度に大塚愛が脳内で歌う。なーにがひっくり返る愛のマーク♡じゃ、こっちは財布ひっくり返しても小銭しか出てこんぞ…………コンビニのおにぎりが20円引きになってたらテンションあがっちゃうもんね。悲しすぎる。

少し前まで空前絶後のブラック企業社員だったので本当にお金が無くて、あと休みもなくて、汗水垂らして土曜日も仕事してまで得たお金を飛行機代に溶かしても観たいくらい好きなバンドかそうじゃないかが、自分の中で明確に線引きされていった1年だった。
何が言いたいかというと。それらを踏まえた上で、わたしは大阪まで飛んだ。たった1泊!マジ観光はほぼ出来ませんでした。いいんだそんなの。そんなのほんとによかった、全然よかったまた何度でも飛行機乗る、ほんとに何度でも、って、帰りの飛行機の中でずっと思ってたよ。






生で観るの、初めてだった。
好きになったの何年前だったっけ。なんかいつのまに好きだったからあんまり覚えてないの。4年くらい前だった気がする。

ピロウズがずっと大好きだったから、流れるように好きになった。はじめの頃は若返ったピロウズみたい!と思ってはしゃいで聴いて、少しずつ、違うな、ピロウズとは違う、と噛み締めてまた好きになった。でもなんか全然機会に恵まれなくて一度も生で観れずにいた。

メンバーがステージに出てきた時、うわあ本物だ、うわあ!と思って、3曲目くらいまで軽めに感動していて、4曲目かな、すごく好きな曲をやってくれて、ア、ヤバい、と思った。ヤバい、これは………………心臓痛い!胸の前で手をぎゅうっとして、見上げていた。曲の最後のところ、音源の優しい歌い方とは違う、叫ぶような声だった。心臓痛い。ああこれは……………………これ以上なんてないと思ってたくらい聴いてたけど、これは多分、今までよりずっとずっとずっと好きになるやつだ。これは。

優しい声しかいらない時にそばにいてくれた優しい声が、優しい声のまま叫んでた。

そうか、知らなかった、声が優しいから、あったかくてスローな曲ばかりな気がしていた。そう思っていたから、音楽がうるさい雑音にしか思えないような悲しい夜にも聴けたのだ。
あれ、この曲こんなにライブで盛り上がる感じの曲だったっけ、そうか生で聴くとこんなにアップテンポで楽しい曲なんだ、うわあ叫んでる、叫んでるなあ、全然違う、でも間違いなく確かにこれがずっと聴いてきたあのバンドなんだな。気がついたら拳を振り上げてた。拳を振り上げて聴くようなバンドだと、その瞬間まで一切思っていなかった。

これPK shampooの時の記事にも書いたんですけど、ネットで知り合って好きになりかけている人に実際会ったらイメージと違うかもしれない、どうしよう!みたいな、あの時と同じ不安は少しあって、そういえば去年結構好きだったバンドをわざわざ福岡まで観にいって「あ、もうライブには行かない」と思って帰ってきたこともあって。
でもPKの時ほどじゃない、何故かこのバンドにがっかりさせられるはずがないという確信が、ほんとに何故かうっすらあった。
そんで結果、メッセージのやりとりで「優しくて好き♡」と思ってた人が、実際会ったら予想外に男らしさもあって、みたいな……えっ……強いコーヒーもいいけど……優しいミルクも素敵なの……白黒つけないArtTheaterGuildってこと!?ハ?

なんだもう、アホみたいなことしか書けなくなってきました。もうだめだ。なんだこの支離滅裂な文章は。だからわたしライブレポとか書けないんだよ。感情のバーストストリームになってしまいます。
ああ、こんなに音源とライブで印象が違うバンドはじめて見た。ずっと、曲も歌詞も好きだけどこの人の声じゃなかったらここまで好きにはならなかったと思ってた、当たってた。その通りだった!正解です、越後製菓より正解。なにが?
ライブ後すぐだと絶対わけわからんこと書くからと思ってやや時間が経ってから書いてるのに全然わけわからんこと書いてる。あのね、すごく良かった、血がザワっとするのがわかった。最後の方は祈る姿勢で聴いていた。

他にもいろんなこと思ったけど、例えばザキム氏めちゃくちゃデカいなとか、あの人なんか昔の外国の映画俳優みたいなオーラがありますよね、ギターの音格好いいんだよな…………あとわたしは一般的なバンド編成の楽器の中でドラムだけ一切触ったことがないんだけど、その反動?で人のドラムプレイを見るのがめちゃくちゃ好きで、浅井さんのドラムすごい好みだなと思って眺めてた、ドラムのことはなにも知らんのだけど。なんかそんなことはずっと考えてて。MCめちゃくちゃ可愛いなとか。

でもそういうことが頭の片隅に浮かんでは消えながら、脳内がずっとデカめの「好き」に埋めつくされていって。脳内メーカーだったらこう。

この文字列を出すために「あ」から順番に名前の欄に打っていった結果の「な」。なんやそれ。もうなんなのこの記事。

そんで、腕を振り上げることも出来なくなって、ずっと胸の前で両手を握りしめて祈っていて、終盤、新しく出たEPのリード曲をやって、これで終わりかなと思ったらこの曲のイントロが流れた。

自分でいるのを辞めたくなった日にばかり聴いていた曲。

祈りの姿勢のまま、イントロで泣いた。脳内の好きがパンパンになって涙に変わって目から出た。

この日オープニングアクトでおれたちの山中さわおが弾き語りで出ていて、ああ本当のロックスターはギター1本でも場を沸かすんだなと思って。
東名阪ツアー、東京はワンマンで大阪がさわおで名古屋はシュリスペイロフと対バンで、本当は大阪じゃなくて東京のワンマンに行こうか迷ったけど日程が合わなくて。で、さわおの弾き語りを観たあと「さわお最高!大阪にしてよかった」って思ったけど、結局全部終わったあと帰り道「東京にすればよかった」と思った。やっぱもっと長く見たかったよ。

おにぎりが20円引きになってて喜んじゃうような人間なのに物販に並んでTシャツも買った。物販で札幌から来たって伝えた時の反応は、わたしだけのものにしたいから書かない。とか言って興奮しすぎてその日のうちにツイートしたけど。どないよ。ははは。嬉しかったなあ。

死ぬまで聴こう、葬式で流してもらおう、今までも思ってたけど、改めて思った。
葬式で流してくれ。どの曲にするか悩むな。悩んでるうちはまだ死ねない。






ところで、人生で初めて家族以外で一緒に暮らした人と別れた時、ああわたしこれからなにを聴いて生きていったらいいんだろう、と思ってちょっと絶望した。

今も好きな音楽の7割近くを教えてくれた人だった。教えてくれた音楽じゃないとしても、逆にわたしが教えたり、元々2人とも好きで一緒にライブに行ったり、過去に相手がコピーバンドをしたことがあったり、もうほとんどどこかにその人がいた。
当たり前に時間が経てばいつかそれでも聴けるようになるんだけど、それでもその時はまあまあの絶望だった。

で、すぐ、わたしには自力で見つけたArtTheaterGuildっていう最高のバンドがいるから大丈夫だ、と思った。

誰の手も借りずに見つけて、大事すぎてあまり人にも勧めず、自分の中だけで愛してきたバンドだった。
大丈夫だ、わたしにはArtTheaterGuildがいる、大丈夫だ、そう思って、それからもずっと、仕事で泥のように疲れた日、過去に殴られて吐きそうな日、意味もなく涙が出る日、どんな音楽も聴けなくて優しい声だけにそばにいて欲しい日に、ずっと聴いてきた。

わたしは大丈夫です。
や、大丈夫じゃない日めちゃくちゃあるけど。感受性がバグってるので。自己肯定感もあさっての方向むいてるし。あっでも精神安定剤の過剰摂取はもう何年も前に卒業した!いや当たり前なんだよな………………。
でも大丈夫です、音楽に寄りかかるしかないのに音楽を聴けない時にも、聴けるバンドがひとつあるから大丈夫。

生まれ変わったらもう花になって居るだけで誰かに愛されたいけど、もう今世は人間に生まれちゃったから、やるせない夜をなんとか越えて生きるよ。そばにいてくれ。
あとは美味しいもの食べてあったかくして寝るからね。あなたやあなたもそうしたらいい。

またね。

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