プロ向けオリジナルカット教則PDF
カットが上手くいかない理由
スクールや講習会で習ったやり方で何故か、うまく切れない。やり方は合っているはずなのに違うスタイルに切れてしまう。
2セクションとか切ると、ドサッとかぶってきたオーバーの毛を梳きバサミでガツガツ減らさないとなじまない。
メンズショートが苦手。
ウエイトコントロールが苦手。狙ったウエイトより高くなってしまう。低めにするとくびれができない。
等々、色々なカットに関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?
誤解を恐れず言うならば、これらはすべて最初に誰もが習うであろうベーシックカットの落とし穴なのです。
いやいや、ベーシックをしっかりとマスターして展開図が描ければきちんときれるよ・・・とたくさんの美容師さん、理容師さんからお叱りを受けてしまいそうですが。では何故、いまだに多くの方がお金を払って講習会を受け、真剣に夜遅くまで何年も練習しているのにこれらの悩みがつきないのでしょうか?
確かに上手なカットをする方はベーシックで見事にスタイルを作ってしまいます。ただ、人頭かつベースカットのみで、どんな人でもベーシックだけで切れます・・・と言い切れる美容師さん、理容師さんはどれだけいるでしょうか?
はっきりと言いますが、人頭・ベースカットのみ・ベーシックカットのみ、という条件で断言できる人はいません。
いるとしてもイマドキのスタイルをつくることはできないと思います。昭和の香りが漂う、まとまっているけど重たいカットならできるかも知れません。
当たり前ですが余程毛量が少ない場合を除いて、絶対に削ぎや梳きは欠かせないはずです。ベースカットのみでは色々な毛量、髪質、癖に対応することは難しいのです。様々な髪型に対応するには削ぎや梳きに頼らざるを得ないのですが、削ぎ方が上手でなければベーシックは生きないのです。
何が言いたいかというと、ベーシックカットは誰もがきちんと教われるマニュアルがあって理論的で王道なのだから間違いはない。という思い込みがほとんどの美容師さん理容師さんにあるということです。
その思い込みは半分正解で半分間違いです。
正解の部分は、カット&ブローにあります。ベーシックでカットして最終的にブローで仕上げることを前提とした場合は正解です。
間違いの部分は、その逆です。ブローレスなスタイル、もしくは動きのあるショート、メンズスタイルなんかは必ずしもベーシックが最適解ではないのではないかとお伝えしたいのです。
ベーシックは基本的に切り口を直線で切ります。そしてそれをガイドに正確に切り進めていきます。耳上やバング以外は大体テンションをしっかりかけて。
なのでブローで根元からカットと同様にテンションをかけて仕上げる場合は、きれいに仕上がると思います。
では、ブローレスや動きのあるショートなんかはどうでしょうか?
これらは点で構成されるドライカットに軍配が上がります。
直線か点かで表現の幅がかなり変わります。なぜなら頭の形や生え癖、毛流れなんかは人によって様々なので、点で構成した方が対応しやすいからです。
ベーシックカットで様々なスタイルを切るには
ベーシックでも細かなテクニックやダイレクション、エレベーション等を使えば対応できると思われる方もいるかとは思います。
確かに上手に切れる人もいます。
けれど、上手な人の教則本や講習会で習った切り方をそのまま、お客様に施して冷や汗をかいたことがある美容師さんは私だけでしょうか?
完全な球体ではない人頭に対して全て直線的な同じ切り方では、頭の形や生え癖、髪質などでまったく印象の違う仕上がりになるのは当然です。
なので上手くいくときもあれば、何か違うとなる時もあるでしょう。
では何故上手にベーシックで様々な形の人頭を切れる人がいるのでしょう?
削ぎや梳き方、スタイリングに違いがあるのが一つ考えられます。
またベースカットでも、細かな角度の違いなど上手な人は微妙に調節できたりします。セクショニング、細かいテクニックなどの知識が豊富で必要な場面でそれらを駆使します。
ベーシックカットは理論的でマニュアル化しやすい反面、あらゆる人頭に対応するには補足の技術が必ず必要です。
また、あるスタイルを切ろうと思うと展開図を描いて切ると思いますが、展開図自体を描けるようになるのにも色々なパターンを知らなければいけません。
ベーシックカットで上手になるには、
削ぎ、梳き・初歩的なカット・応用的なカット・細かなテクニック、知識・展開図
これらが高いレベルで要求されます。
これらを完全にマスターしている方はそんなに多くないんではないかと思います。
例えば、湾曲した頭皮に対してカットの直線が長ければどこかに重みが残ってしまうか、本来必要な部分を削りすぎてしまいます。
一度削りすぎた部分は修正が効きません。
重みが残る場合は削いだり、梳いたりしてスタイリングで誤魔化すことはできます。
本当にうまい人はこれを補う技術をベーシックにプラスしています。
それでもベースカットが直線ということは、ブロースタイルやブラント感を出したい時には最適ですが、頭の湾曲に合わせたカットとしては圧倒的にドライカットの方が適しています。
ドライカットの場合は点で構成されるので、削りすぎるリスクが少ないです。不必要な重みも残りにくいです。
ベーシックとドライカット
まとめると、ベーシックな直線的カットは、しっかりとしたブロースタイルやまとまりのあるスタイルに適していて、点で構成されるドライカットは動きのあるスタイルや複雑な構成のカットに向いています。
どちらが優れているということではなく、お互いに得意とする分野が違います。そして、それぞれにメリットとデメリットがあるのです。
ベーシックカットはシンプルで理論的なのでマニュアル化に適していますが、補足の技術をたくさん覚えなくてはならず、そちらのマニュアル化は難しいのです。そして、上手な人と削ぎや梳きで誤魔化す人が出てきます。
ドライカットはやり方は決まっていても、点で捉えるためにベーシックよりも時間がかかり、どこを削るか、より感覚的な要素も含まれます。習得が難しい代わりに、表現の幅は圧倒的です。
Hybrid cut
ただ、それぞれを学ぼうとすると時間と労力、お金がものすごくかかります。実際、私は若い頃とあるカットスクールに通い100万円以上かけて学びにいったことがあります。
それから何人ものお客様を切らさせて頂いて、自分で店を経営し、カットについて日々研究した結果オリジナルカット技法「Hybrid cut」を考案しました。
かなりの額を出してスクールや講習会に通ってみても疑問点が残ったり、解決できない問題がたくさんありました。それらを日々考えながら、たどり着いた現時点での結論ともいえるカット理論です。
ベーシックカットとドライカットの利点を融合させ、ドライカットの表現力を含みながら点ではなく線で構成するカット技法となっています。
こんな方にお勧め
1 小さなお店・個人店で働いている方
デフレが続く日本においてカット料金の安いチェーン店が台頭してきました。これら安売り店はスピードが命です。
間違いなくベーシックカットをベースにしています。
そして、カットが早い割りに昔に比べてクオリティが高い場合が多くなっているようです。
同じカットならばお客様が価格の安い方に流れてしまうのは当然の結果です。
よその店でしていないカット・そのお店でしかできないカットが今後の生き残りに不可欠です。
2 カットで行き詰っている方
私は高額な授業料を払ってカットスクールに通いましたが、そこでマニュアルのカットを教わった時にどんなに考えても分からないことがありました。
パネルを○度の角度で引き出してとか、展開図がどうとか、ベーシックカットはシンプルで理論的なのですが、頭の細かい湾曲のことはシンプルさゆえに無視されています。
分かりやすくシンプルだからこそ、カットの王道として広く教育に用いられてスクールのマニュアルになっているわけですが。
どうしても湾曲を無視できずに、というか湾曲のことまで理解が追い付いてなかったので、なにか釈然としないものを感じながら、受講したのを覚えています。
それから、そのスクールで、ある先生からNY dry cutを教わったことで道が開けました。
今まで直線で考えてたことを点で捉えることにより、カットを深く考えることができるようになりました。ただ、ドライカットは習得が難しく、時間もかかります。
私が考案した「Hybrid cut」は直線でも点でもなく曲線で捉えることが特徴です。
曲線はそこを解消してくれますし、ベーシックからドライカットに移行するよりも理解の敷居が低いのです。
直線的なカットをベースにして、頭の湾曲が影響する部分にだけHybrid cutを使用することも可能なので、自分のカットスタイルに補足的に取り入れることができます。
3 有料カット講習動画・オンラインサロン等で毎月課金されている方
これはベーシックカットをある程度理解していることが条件にはなります。
私も、とあるプラットフォームの有料動画に課金して実際に学んだことがあります。個別のスタイルの解説だったり、「流行りの髪型はこう切る」みたいなものが多いです。
敢えてそうしているのかもしれませんが、また別のスタイルが流行った時に課金するといったことを繰り返さなくてはいけません。
それに、実際のお客様は髪質も頭の形も様々ですので、それだけ見てもわからないことは多いのです。
毎月動画一本に対して5~6千円(それも期限付きで1週間とかで見れなくなるものもある)を投資するよりも、根本の頭の形を理解してそれに合わせたカットができたほうが、そのお金を別の事に回せます。
年間で、5千円×月12本で6万円です。それで多くて12パターンの切り方を覚えても実際のお客様で再現できなければ投資は失敗です。無駄にはならないでしょうがコスパが悪いです。
もし、展開図がさっぱり分からないとかレイヤーとグラの入れ方が分からないとかでしたらしっかりベーシックを学ぶことをお勧めします。ベーシックの書籍や今なら動画やオンラインサロンなどで勉強するといいと思います。が、ある程度理解されているならば、思い切って一度ベーシックから離れてみてはいかがでしょうか?
それからもう一度ベーシックを見直おすと、より一層理解が深まると思います。離れる段階の教材としてHybrid cutは最適です。
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