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昨今のアリーナ環境の変化

はじめに

今回は近年のアリーナ環境の変化とプレイングへの影響について書いていきます。
まず、この1年での最も大きな変化は、大局観がより重要になってきた、ということです。なぜ大局観が求められるようになってきたのかを考えてみると、カードのパワーの上昇、急襲・除去・挑発の強化によるロングゲーム化などが挙げられます。アリーナでは毎ターンボードの最大化が基本的には良しとされていますが、この変化に伴って目先のボード最大化では3.4ターン先のボード最大化が出来ないケースが増えたように思います。これがどういうことかというと、以前までは毎ターンのボード最大化が将来的なボードも最大化してくれることが多かったですが(なぜそうなるかというと、今よりも相手のボードに触れるカードが少なく有利であればそのままゲームが長引く前に勝つことができ息切れしないため)、近年ではボードに触れるカードが多く、例えば序盤にコインを使うムーブはもちろんそのターンのボードの最大化になりますが、相手が急襲や除去(特に改造屋やスコーピッドのような除去内蔵ミニオンのテンポがすごい)を持っている場合にすぐ返されてしまい、それよりもコインでシヴァーラや除去耐性のあるミニオンを出す方が将来的なボードを最大化してくれることが多くなってきた、ということです。長くなってしまったので簡潔にマラソンで例えると、1kmであれば常に全力程度で走っても走り切れるためタイムは良くなるが、2.3kmと距離が長くなるにつれて1kmのときよりもペースを落とした方が最終的なタイムは良くなるのと似たような感じです。このようなことから、最終的に勝つ(負ける)までにボードを最大化するにはどうすればいいのか、といった大局観(数ターン先までのゲームを想定できる力)が必要になってきたように思います。

思考について

私は他のどのアリーナプレイヤーよりも具体的なカードを想定してプレイしている、とよく思われていますし実際その通りだと思います。ただ、大局観が必要であればあるほどこの思考は有利になってくると考えています。大局観なのに具体的思考ってどういうことやねんという話になりますが、具体的、とまではいかなくとも以前より抽象度を下げた思考をすることでゲームを大局的に捉えやすくなる、ということです。基本的に完全抽象思考ではそのターンのボード最大化がプレイを選択する理由になると思います。しかし前述した通り、将来的なボード形成を考えていく上ではその思考一辺倒というわけにはいかなくなってきています。では具体的にどのように抽象度を下げた思考をするかというと、例えば相手の返しの動きを考える際に

①挑発のケース
②急襲・除去のケース
③大型・除去耐性ミニオンのケース
④小型を並べてくるケース

上の4ケース程度を考えて(基準に)自分のプレイを決定する、といったことが挙げられます。このように抽象度を下げることで割り切るのか、ケアするのか、などプレイを決定する理由を具体的に見つけることができ、選択肢の比較がしやすくなると思います。
これまでの話をまとめると、抽象度を下げた思考をすることでプレイ決定の理由をボードの最大化だけでなく今後の展開にまで向けやすくなる、ということです。
普段から一つ誤解をされていそうなので弁明しておくと、私は配信でターンの開始時から「相手がボーンチューワーだと…」のようにピンポイントのカードをすぐ考えているかのように話していることがありますが、そういう訳ではなく、ボードの最大化→上記の①〜④などのケース→具体的なカード、といったように抽象度を下げていって順に考えているだけです。ターンの最初から具体的なカードの話をしているのは、ボードの最大化→①〜④までの流れは1.2ターン前のうちにある程度考えていてターン開始2.3秒でだいたい結論を出しているためです。

後攻でのコインの使用法の変化

ここからはコインの使い方について考えていきますが、だいたいのことは最初の方に書いた通りです。闘技場でも当然先行が有利で後攻ではコインを有効に使わない限りそのまま負けてしまいます。少し前までの環境ではだいたいどのようなハンドでもコイン3.3のように序盤にコインを使うことが最終的なボードの最大化に繋がっていましたが、急襲やスコピ・改造屋の登場に伴い状況次第にはなりますが序盤のコインを使う動きがよくない場面が増えています。コインを使う動きが先行にいなされると当然展開は厳しくなり、コインを使って序盤に動いていってもトビウオなど急襲で簡単にいなされ、それよりもドラゴンモー(656)や双暴帝、始祖ドレイク(888)、輪廻、シヴァーラなど場持ちがいいもしくは捲れるカードをコインで使っていく方が最終的なボードの最大化に繋がる場面が出てきました。当然、このようなコインの使い方をすれば序盤にコインを使う場合と比べて自分のライフは削られますが、負けない程度にライフは捨ててボードを最大化出来る方がいいことは明白です。こういったプレイはデッキやマリガンによって変えていかなければいけないため判断が難しいですが、目先の盤面よりも最終的に決着が着く前の段階でボードを最大化することが目標、と常に意識しておくといいでしょう。

おわりに

今回の話は以前ボンレ・トビウオ問題の際に伝えたかった、目先のボード最大化が絶対正義ではない(昔よりなくなってきている)、といった内容でした。構築ではこのようなことは当たり前ですが、デッキの中身が不確定なアリーナでさえこういったケースが出てきていて、今後も強いカードが登場すればするほど加速するでしょう。スクロマンスからプレイの難易度が以前と比べてグッと上がったと感じていて、そもそも分岐に気付けていない初・中級者の方も多いように思うので、考え方などをこういった形で提供する機会を増やそうと思っています。上達の余地のあるカードゲームほど面白いものはないと思うので、伸び悩んでいる方はまず上達の余地を見出せるような考え方を知ることが出来ればいいかなと思います。ボードの最大化以外の観点からプレイを選択できるようになれば、今までより何倍も選択肢が見えるようになるはずです。ご一読ありがとうございました👋

※先ほど書き忘れましたが、急襲やスコピ、コウモリ騎兵などの打点となるミニオンを使うと基本的にボードの最大化に繋がりますが、ハンドから打点がなくなり今後対処札がない、といった状況になるのもよくないことですね。

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