感想:NHK BS1スペシャル「改善か 信仰か~激動チベット3年間の記録~」

録画しておいたのをさっき見たのでひとことだけ感想。チベット仏教の聖地が中国政府の「改善」政策により観光地として開発されていく3年間の記録。僧侶は追われ、あるいは自らに火を放つ。教育を通じて宗教から引き離される人々。「遅れた」「貧しい」人々を進歩させると真顔で言う役人。聖なる鳥葬の場に押し掛ける観光客。彼の地の生活水準が低かったのは事実で、その意味で全く理がないとまではいわないが、とても正視できない1時間50分。

ふと頭をよぎったことばが「遅れてきた20世紀」。われわれの社会が20世紀に経験した失敗の道を彼らは今さらに大きなスケールで再現しようとしているように思われた。そういえば日本の20世紀の前半は欧米に追い付こうと植民地支配に邁進した、いわば「遅れてきた19世紀」が文字通り「玉砕」した時代だった。しかし社会が既に前世紀から進化している中で、そうした古い考え方は結局は無理が出て崩壊したわけだ。中国も、追い付き追い越せの中でまだ前世紀の夢の中にいるのかもしれない。今後どうなるか知る由もないが、あれもこのまま維持できる方向性ではないような気がする。

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