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友達が飛んだ


ミャンマー人の友達が飛んだ。
寮に制服だけ残され、あとはすっからかんだったらしい。もぬけの殻だったって。

仕事辞めたいとよく言っていたけど、本当にいなくなる?

誰に対しても笑顔で、マスク越しでも目が半月型になるほどニコニコするからだいぶ伝わる。優しいのがわかる。器用に冗談を言うから、話していて楽しかった。

*会話パターン
「休みの日はずっと寝る」
「ご飯を食べることは恥ずかしい」
「牛乳がパタパタはどんな意味ー?」
「心は泣いてる。でも顔は笑ってる」


自分の伝えたいことが、日本の言語に当てはまらないことだってあったはずで、その大変さを私はよく考えた。汲み取ろうとしたくて、その気持ちは伝わると思って、そう意気込んでいたからたぶん仲良くなれた。
彼が去ることになった幾つかの要因も、会話のなかに散りばめられていて、私が出会って最も浅いのに、なぜか彼について最も詳しいのも私だった。彼が飛んだ理由を日本人にも、ミャンマー人にも説明し続けて気がつく。死んでいないのに遺言を残された気分になる。


ここで人が飛ぶのはよくあることだから、周囲の人は反応が薄い。いつも通り対処して、仕事に戻る。
私は人が飛んだ場にいた経験はあっても、仲良い友達が飛んだのは今回がはじめてだから、少し寂しくなって、若干浮く。全員ブロックされたので、誰も連絡が取れないし、今どこにいるかもわからない。

まだ20歳のボーイ、そりゃ知らないことも沢山あるし、大人みたいに隠せない。初めての仕事、怒られることも沢山ある。理不尽かと思うけど、言葉の壁を越えなきゃいけない。

ミャンマーに帰るのー?
元気でねーー

日本のご飯は甘くて口に合わないと言っていたけど、家に帰ったらきっとスパイスいっぱいの辛い料理が待っているね。そういうご飯って白米あった方が美味しいから、ご飯山盛り食べな。なにも恥ずかしいことはない!


good-by トンさん〜

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