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nayuta氏 ArtemIs感想



・はじめに

ストーリーブックを読んだ上での感想なので曲の感想にストーリーブックの感想がそのまま入ってます。

・nameless moon

XFD発表当時はどういう意味でこのタイトルなのかと思ったのですけどストーリーブックのphase:1から2でのねねの状況やne / ne〔ヒトらしくあるために〕の歌詞見て納得しました。
曲もミステリアスで綺麗だけどどこかちょっと不安になるような雰囲気があって物語も読み切って曲も全て聴いて完走を書いている今となってはRDさんすげえ・・・となります。


・determinism〔機械仕掛けのココロ〕

M3に先駆けて事前発表されて聴いた時点で無機質な歌い方から徐々にnayutaさんの歌い方も曲調も歌詞も感情的に訴え問いかけてくるようになるのが本当に印象的でしたが、ストーリーブックを読んでから聴くと歌詞で訴えていた悲痛さをより一層強く感じます。
自分の名前も今まであった世界も記憶も全部作り物でしたと言われ、何を言っても訴えても研究対象が示した反応みたいな扱いではそうなるよね・・・
もう比喩抜きで100回以上言ってる気がするけどnayutaさんの歌への感情の乗せ方凄すぎると思うのですよ。


・ne / ne〔ヒトらしくあるために〕

博士目線の曲ですよね?
最初XFDで曲名だけ見た時はne/neの意味がわからなかったのですけどストーリーブックと歌詞を見たら何もかも合点が行ってしまった。作りものではない、ただの記号や数字ではないのだと訴えていた彼女にとって間違いなく博士は一筋の光だったけど博士にとっても光で、〔ヒトらしくあるために〕というタイトルはねねと博士の両方にかかっていたのですよねこれ。
曲やnayutaさんの歌い方も合わさって本当にdeterminism〔機械仕掛けのココロ〕の後に差し込んだ光のような曲だと思います。ストーリーブック内の「心の奥で、じわりと温かいものが広がって」の部分にマッチした曲に感じます。
光収容さんのギターもめっちゃ格好良い・・・


・upon a star〔ネガイゴト〕

静かで澄んだ夜空を連想させるような始まり方から、ねねの眼前に広がる満天の星空と望遠鏡越しに飛び込んできた更に沢山の星々をイメージさせるようなサビの盛り上がり方が凄く印象的で好きな曲。曲の雰囲気、ストーリーブックのphase:4とnayutaさんの澄んだ歌声が凄くマッチしてると思います。それと理由は上手く言語化できないのですがこの曲のnayutaさんの歌い方がめちゃくちゃ好きです。
歌詞に出てくるオライオンはアルテミスと関わりのある神様だったり、2番の歌詞にオラシオン(祈りって意味で会ってますよね?)というワードを持って来るセンスが凄く好き。「ネガイゴトは叶うはずもないと」が次のサビで「叶わぬはずがない」になってるの良すぎません?
それと個人的に「何万AUの先でも」、「何万AUを隔てても」って表現がめっちゃ好きです。
これも博士目線の曲かなと思うのですけど「ずっとずっと明日だって傍に居られますように」はお互い思っているであろうことなの凄く良い・・・


・beside you〔夢の続きへ〕

良すぎません?
ここまでの博士はねね目線だと光であり、ある種の一方的な依存先みたいな存在だったと思うのです。実際この曲の最初の方の歌詞でも「続かせたいな、夢を見ていたいな」とか「繋がっていたい」みたいに一方通行な表現だったと思うのですが、
そこから「あなたのことを聴かせて欲しいと思うよ」、「ぜんぶ一緒に受け止めていこう」、「わたしの分の涙に替え、あなたのへの喜びへと、ふたり分の幸せ明日に響かせよう」と博士に寄り添い支え合いたいという気持ちに変わり、あれほど固執したヒトであることまでぶん投げて博士に誰より傍に寄り添うことを選び、「夢でいたくない」、「繋がっている!」に変わるのですよ。あまりに良すぎませんか?
ヒトであることに固執することよりも余程ヒトらしいと思うんですよ。
この曲とストーリーブックの該当箇所でようやく2人の相手に対する思いをお互いがはっきりと認識して双方向のものへと変わったように思えます。
曲も自分の中にある殻とか壁の類を破って博士へと駆け寄っていくねねの心情を表現するような疾走感も感じられるような曲調にnayutaさんのフルスロットルで感情乗せた感じとかがめちゃくちゃ好きなんですよ。


・until my last breath〔生きる証を〕

ちゃんと繋がっていた、繋がり続けているのだなと・・・
ストーリーブックの描写を見てもルナ博士はもういつ亡くなってもおかしくないくらいの年齢だろうし、曲の歌詞に至っては亡くなる手前の心情のようにも思えてしまう。
人生は長すぎると言った博士が「もう少しだけ」とまで言っているのですよ。
ねねもちゃんと博士に寄り添い続けることができたのですよ。
アンドロイドが数十年ノーメンテで動くのは流石に考えにくいですし、当時は最新鋭とはいえこの曲の段階では型落ちでしょう。それでもちゃんと整備や都度必要になるであろう部品の供給の体制が続いていたということですし、いつも部屋にやってくる研究員が「ねね博士」と呼んでいること、「博士が社会に組み込んでくれた」というところからもちゃんと「ねね」という存在を認めてくれる世界が確かにそこにあるということですよね?
この物語は間違いなくこの上のない幸福な終わり方をしていると思うのです。
歌詞に「いつかすべてがなくなるさだめでも」とあるように死別は避けられないでしょうけど、それでもこの曲は間違いなく「希望のうた」そのものだと思うのです。
ねね目線のbeside you〔夢の続きへ〕で「自分のことを定義するにはね、誰かがいないといけないから」、「意味を与えあって誰より傍に寄り添いたい」と歌った上でルナ博士目線のこの曲で「ひとがだれかにいっしょにいきること、そこにあることを認めるのなら、生きている証のそこにあること、それがヒトとして生きることだと」なんて歌われたら涙腺に来ますよ。ねねは名無しの被検体だった頃にヒトである根拠として訴えていた血が出ることや汗をかくことすら「そんなことはもうどうだっていいよ」と、博士がくれた「あい」やこの世界こそが生きた証だと言えるようになったのですよ。
暗い夜空に孤独に浮かび何も見えずにいた名前のない月は最早名無しでも孤独でもなく明日を照らす月になったのです。
優しく語りかけるような歌い始めからどんどんと感情が乗っていくnayutaさんの歌と美しい曲調も合わさって本当に素晴らしいの一言に尽きます。
こういう曲調とnayutaさんの組み合わせは本当に最高だと思います。
曲単体としてもArtemIsという物語のエンディング曲としてもあまりに良い・・・
いや本当に良かった・・・


・ArtemIs

そして最後はアルバムのタイトル回収。こういうの好きなんですよ。
ストーリーブックのphase:7で描写されていた穏やかな朝を連想させるようにも感じますし、phase:7を経て歩き出すねねが思い浮かぶようなそんな曲に感じました。


・トラック8

最早いつやったかも覚えてないモールス信号解読。
一文字一文字解読して文章が出来上がるに連れて「ああ・・・ああ!!」となりましたよ。
ねねから博士へのメッセージともねねと博士のお互いに対するメッセージにも思えます。


・最後に

確かに物語の中には悲しい描写もありましたが、物語自体は間違いなく優しく幸福な最後だった「あい」の物語だと思います。
合計30分程のアルバムですが聴き終えた後の満足感は30分のアルバムのそれではありませんでした。夜に聴き始め、曲とストーリーブックを文字通り朝日が昇るまで聴いては読んでを繰り返してしまいました。
nayutaさんと1つの物語をベースにしたアルバムの相性の良さは前々から思っていたのですが、今作はその持論を更に強く持つきっかけとなる作品だったと思います。大袈裟な言い方になってしまいますが、「今まで買ったCD」というかなり大きな括りの中でも物凄く強烈な刺さり方をした作品となりました。今後のご活躍が益々楽しみです。
nayutaさん、RD-Soundsさん、さんしおさんの組み合わせの時点でとんでもない作品になることは覚悟していましたが、そりゃこの3人の組み合わせで私が想像できる範囲のものなんて出てきませんよね。
nayutaさん、RD-Soundsさん、さんしおさんを始めとしたこの作品に携わった全ての人に、ありがとうございました!!!


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