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秋の歌は歌われない

秋の歌は歌われない。平安時代ではないから。

1年ほど前、カラオケ大会を開こうとなった。「ただ歌うだけじゃつまらないから」と、「季節をテーマにした歌」しばりのルールにした。「じゃ、どんな歌が季節ごとにあるかな?」といい、企画チームでどんどんあげていった。「春といえばスピッツの歌」「冬はレミオロメンの粉雪に…」「夏はオレンジレンジ、桑田佳祐…いっぱいあるなえ…」と話をとんとん拍子で進んでいったのだが、「秋の歌」がいつまでたっても出てこないことに気がついた。

「季節の歌しばり」と決めてしまったからには、と「秋の歌がないか」と検索して調べてみる。すると、どう調べても「ザ・秋の歌」にはたどりつかない。もちろん、「秋に聴きたい曲○選!」みたいな記事はいくつかでてきて、「バラードとかは秋っぽいですよね!」と書かれていたりするのだけど、そう、どれも遠回しに、というかなんとなく秋の歌、なのだ。結局いつまでたっても「粉雪」「夏色」みたいな季節丸出しでカラオケで歌えそうな歌には巡り会えなかった。

おもえば昔、古典ばかり読んでいた時期に読んだ歌や、物語の中では、数多くの秋の歌が歌われていたことをおもいだす。秋の歌はなぜあれほどうたわれたのだろうか、とふとおもうときがある。そもそも秋に対する認識はずいぶんちがっていただろうし、見えた景色もだいぶちがうだろう。だけれどそれだけ秋に注目するからには、秋に対する特別な気持ち、心待ちにする気持ちはあったのかなと、中高生時代はぼんやりとおもっていた。

時は令和。調べてみたところによると、秋が一番人気という結果も多くみる。きっと秋という季節を心待ちにする気持ちは、それほどちがわないのかもしれない。

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