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岩宗治生『ウスズミの果て』

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岩宗治生の初連載作。人類がほぼ存在しなくなった世界でひたすらに死体を償却する一人の若い姿の女性とその道程を描き出していく。特徴と言えるのはキャラクター、ドラマよりも表紙でもわかる圧倒的な背景とその書き込みだろう。弐瓶勉フォロワーなのかというような建造物が乱立し、しかも別にただのオマージュで終わらぬ独特な風景、魅せ方が魅力だ。

終末ものと一言でいっても様々な分類があって、本作がだいたいどのあたりに分類されるのか少し考えてみよう。「文明の残存度合い(低)」 、「再生への希望(ほぼなし)」、「終末の原因(おそらく自然災害)」生き残った人類の状況(コミュニティ今のところなし、ほぼ個人。)、「主要登場人物(人間はほぼおらず。人間以外の知的生命体、わずか)」──本書的にはこんなかんじ。

生存人類がほとんど存在しないため、かなりハードコア寄りの終末物といえるだろう。この基準をたとえばさっき記事書いたばかりの『天国大魔境』でやるとこうなる。「文明の残存度合い(中)」 、「再生への希望(わずかにあり)」、「終末の原因(自然・人為災害の両面あり)」生き残った人類の状況(コミュニティあり、管理社会というほどのものなし)、「主要登場人物(人間はまだたくさん残っている。ポストヒューマン的存在もわずかに)」。こういった要素を用いていろんな作品を配置してみてもおもしろいかもね。

『ウスズミの果て』はまだ二巻しか出てないから今後が楽しみだな。

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