【星の館】#1
『天井にはきらめく宝石。
月の光を得て、静かに館は動き出す。』
夜。
いつもの風景。
あくびをしながら家に着く。
ポストを開けると一通の封筒。中には謎のメモと地図。
—―何だろう、これ。
お気に入りのかばんに荷物を詰めて家を出た。
もう心は決まってる。
明日の授業は…
ずる休み。
地図を片手に汽車に乗り込む。
わくわく。どきどき。
興奮でそわそわ落ち着かない。幼い子どもに戻ったみたいだ。
一体誰が私のポストに地図を…?
これからどんなものに出会えるのかな…
早く、早く…
ふいに窓の外を眺めると、大きな満月がきらきら光り輝いていた。
汽車から降りた。
目の前には、人気の無い山道が続く。
ひゅっと、冷たい風が顔に当たる。
しまった…。
ここは山に近いのだから、もう少し暖かいものを羽織ってくれば…
思いつつも、その内に「寒い」という感覚も忘れた。
地図を見ながらひたすら歩く。
満月の明かりで道が明るく照らし出される。
そのまま、何かに導かれるように突き進む。
不思議と道に迷うことはなかった。
どれくらい歩いただろう。
時計を見た。もうすぐ日付が変わりそうだ。
何となく、もう少しで着きそう。
そんな予感がした。
山の中、一際明るい大きなドーム型の建物が見えてきた。
これだ、とわかった。
「あった…!!」
建物に吸い込まれるかのように、駆け出す。
入り口らしきドアの前にたどり着いた。
わくわく。どきどき。
扉をゆっくり開ける。
「こんばんは。館へようこそ。」
凛とした女の人の声。
「こんばんは…!!」
…!!??
出てきた人は、神秘的なほどにきらきら光り輝いていた。
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