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15歳の頃、当時は僕しか知らなかったきっと違法のアプリでYoutubeからダビングしてバラバラなプレイリストを作って適当に聞いていた。
その時は流行りで曲を聴くほど大して協調性がなかった。曲を聴くということはYoutubeでたまたま流れてきたやつとか高校生ラップ選手権で知ったラッパーから色々派生していってジャンルというものにさほどこだわりがなかった。
たまたま聞いていたラッドはVineでブライアンが言っていてそれで気になって、これは聞けると思った。
中三の時は友達はいないことはなかったけど、部活動の繋がりを超えるような僕と君という関係じゃなくて、そういうものを友情に求めることがあんまりポピュラーじゃないことを知ったのはもっと後で、その空白を、その時はわからなかったもやっとしたものは確実に僕を歪めていた。

そんな時に仲良くしてくれたのが隣のクラスのある女の子で、妙に大人びていて彼女もラッドを聞いていたし話も合うから、休み時間になると廊下の白い冷たい壁に寄りかかりながらよく話していた。最近のスイーツのブームとかアニメの話とか色々。ある日も同じように話していたら、教室から3人くらいの男子が「あいつら付き合ってんじゃねーの」って腐していたけれど、羨ましさからくるものだとはなんとなくわかっていて、彼女もそんな感じで薄い笑みを浮かべていて僕は安心した。
僕は矛盾とか伏線とかよくわからないから、深い意味を考えないで単に面白いから音楽を聴く、本を読むのが普通だったけど、ある日彼女がme me sheは、めめしいとかけていて、彼女よりも自分のことばっかだから女々しいんだよって教えてくれた。その時はよくわからなかったけれど、今になって彼女の言いたいことがよくわかる。彼女には全くの意味がないけれど、僕にとっては大きな意味がある。

彼女はいわゆる私立単願組で受験はすぐ終わって、僕の方は公立組だったから長い間受験生をやっていたけれど、休み時間のあの何気ない会話、応援の手紙や受験が終わった後のご褒美の話、色々手を焼いてくれたことの大切さがその時はわからなかったけど、今はもうそれを伝えることができなくなってからよくわかるようになった。あれは与える愛だと結論づけるのは違うけれど、与えてもらってばかりの関係だった。一体彼女に何を与えることができたのだろう。



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