【小説】ハトのカナヅチ
今朝河原で小便をしていると、一羽のハトが話しかけてきた。無論ハトなので、聞き取れた部分を要約してここに記す。
「お前がずいぶん前に持っていたカナヅチ、あれは私たちの間でとても重宝したのだが、新しいのを手に入れたので返したい。」
大体こんな感じである。私の親父は大工だったので、確かに家にカナヅチは残っているが、私のカナヅチなんかもらったことはないし、家のカナヅチは全部残してある。
「人違いだろう、そんな覚えはないぞ。」
そんなつもりはなかったが、声が大きくなってしまい、ハトは