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ジェンダー問題は、独走しすぎなのではないか

LGBTという言葉が一般的によく聞かれるようになったのは、ここ10年くらいではないだろうか。いやもっと短いような気もする。

最近ではLGBTQと、”Q”の表記もよく見られるようになった。

ゲイの友達と会うと、カミングアウトについての価値観を共有することがある。

A「今もこれからも、全くカミングアウトする気はない。」
B「親しい友人にはカミングアウトしている。」
C「親にも、職場にもカミングアウトしている。」

だいたいそんな感じだ。

性の多様性が世の中で叫ばれていることもあり、「カミングアウト」という、かつてはビッグイベントだったようなことが、少しずつ”日常”という、良い意味でどうでもいいことになりつつあることも肌で感じることも増えた。

同時に「アウティング」という行為についても押さえられた。カミングアウトをされた人が、他者にその情報を漏らす行為をアウティングというのだが、それをしてはいけないということだ。守秘義務というのだろうか。

人によっては、聞きたくもないこと(カミングアウト)を聞かされて、なおかつアウティングをしてはいけないのかと困惑する人もいるかもしれない。

誰にも言えない秘密を教えてもらって、とても親しい特別な存在になれた気がする人もいれば、誰にも言えないことは自分にも言ってほしくないと感じる人もいる。

だから、もし僕がこれからカミングアウトをすることがあれば、アウティングについてもきちんと伝えようと思う。

例えば、相手のパートナーとか、僕と面識のない友人とか、アウティングされても特に影響のない人だったら、全然言っても構わない。

カミングアウトする側もそうだけど、された側もどう受け止めたらいいか悩む人がいるだろうし。

多様性の理解は、当事者を必要以上に擁護する偏った考え方が生まれることも少なくないと思う。

知らないことを受け止めるのは、誰だって怖いのだ。

理解されて当然とも思わない。でも、わざわざ差別や偏見に満ちた言葉を当事者に向けられる筋合いもない。

SNSを中心とした誹謗中傷も同じだ。わざわざ言われて嫌な言葉を本人に向けて発する意味が分からない。

差別や偏見の多いジェンダー問題ではあるが、その壁を少しでも低くする取り組みは大切だと思う。

ただ近年推し進められてられている、偏見や差別撤廃の取り組みは、理解推進に留まっていないことを感じる。

「理解=共生」のような感覚だ。

みんな同じ輪の中で無理に共生させようとしている感覚が否めない。

考え方は人それぞれなのに、100%理解してもらうことなんて不可能なのに。

僕は、ストレートでもLGBTQでも、無理に関わる必要もなく、それぞれが住みやすい空間を作っていけばいいと思う。

もちろんそういった人たちがいるという”認識”は必須なのだが、それ以上はわざわざ関わる必要はないのかなと思う。

それは、ジェンダー問題に限ったことではない。

ここからが本題。

人種、障害など、世の中には人権課題が山積している。

ジェンダーもそれと同じなのに、どこか独走しているような感覚を抱くのは、自分が当事者でその情報に多く触れているからなのだろうか。

僕の職場では、LGBTQ研修というものが毎年行われる。こんな研修をしている企業も増えているのではないだろうか。

僕は、わざわざLGBTQだけが独立して研修をすること自体、疑問を感じる。

しかも、当事者からしたら、とても薄っぺらい。

Lはレズビアンです。Gはゲイです。から始まって、いろんな性があるから理解していきましょうね~。って感じだ。

LGBTQ当事者が、社会生活を送る上で、どんなことに困っているのか、どんな権利が保障されていないのかなど、そんな話は全くない。

加えて、前述した他の人権課題には触れられない。ジェンダーだけなのだ。

人権課題という大きな括りでは、ジェンダー問題に限らないのに、なぜかLGBTQ研修だけがとてもセンシティブなもので丁重に扱われている感が否めない。

ジェンダーに限らない数多くの偏見や差別をなくすには、それぞれの人権課題に目を向けて、理解を深めていくことが必要だ。

そういう人がいるんだね~ってだけではなく、何が問題で何が守られなければならないのかまで考えないといけない。

それは、知識や理解を深めることも大切なのだが、僕が最も大切だと感じることがある。

それは”想像力”ではないかな。と。

言い方を変えれば”相手に寄り添う”といった感じ。

シンプルに考えれば、たったそれだけの話なのかもしれない。

ジェンダー問題は、独走しすぎなのではないか

それは、当事者として理解推進が推し進められている嬉しさの反面、偏見や差別の辛さを分かっているからこそ、もっと広い視野で多くの人権課題に目を向けて欲しいという思いなのでした。

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