洋楽の邦題2

※これも、かつてのものです。続き物なので

前回の洋楽の邦題問題について、なんだか尻切れトンボな感じがしたので、急遽、続きを書きたいと思います。だって、掘り起こすとバラバラ出てくるんだもの、変な邦題って……。とくに、八十年代ものはちょっと他の年代の追随を許さないような破壊力抜群のダサさを持っています。あ、余談ですが、この「ダサい」という形容詞も八十年代ものですね。たしか、「ダサい」の対語は「ナウい」だったはずですが、そちらのほうはもうすっかり死語ですね。今どき「彼女の服、ナウいね」なんて言おうものなら、それこそ「ダサっ」と吐き捨てるように言われてしまいます。まだ、「彼女の服イカしてるね」と言った方が冗談ですむのではないでしょうか? 人間の本質なのかもしれませんが、ポジティブな言葉よりもネガティブな言葉のほうが生き残りやすいようです。

「君にToo Shy」「彼女はサイエンス」「素敵なsomebody」「想い出のサマー」「今夜はドント ストップ」

上記の五つはすべて八十年代産です。左からカジャ グーグー(考えてみればこのバンド名もかなり凄いけど)、トーマス ドルビー、ホイットニー ヒューストン、ブライアン アダムス、マイケル ジャクソン―。じつに錚々たる顔ぶれですね。そんなビッグネームにたいして、この不遜な邦題はどうでしょう。おまえは長嶋茂雄か! と思わず突っ込んでしまいそうな英日言語のミックスぶりです。あ、そんな中で今すごいものをみつけてしまいました。ナイジェル オルソンという元エルトン ジョン バンドでドラムを叩いていた方のソロ作品です。

「悲しきソープ」

これ、リリースが七十九年なんですが、まあね、当時まだあの業界がそう呼ばれてなかった時代ですから仕方ないですが、それにしても和訳すりゃ「石けん」ですよ。たかが石けん捕まえて悲しいって、もはや文学的ですらありますね。

ま、そんな八十年代の珍邦題のなかでも極めつけは、僕のFacebookの中でご指摘がありましたが、何と言っても「ハイスクールはダンステリア」byシンディ ローパーではないでしょうか? 原題Girls Just Want To Have Fun つまり、「女の子たちはただ楽しみたいだけなの」といったような意味の、いったいどこにハイスクールやダンステリアが出てくるのか? そもそも、ダンステリアって何よ? ブルテリアとかスコッチテリアとか、まさか犬の種類じゃないでしょ? 

八十年代―。僕がちょうど思春期を過ごした時代ですが、いやあ、ずいぶん小っ恥ずかしい時代に青春をすごしたものです。もみあげを落として刈り上げ、裃みたいに肩パットで膨れ上がっただぶだぶのDCブランドの服に身を包み、「ナウい」だの「ダサい」だの「ネアカ」だの「ネクラ」だのとほざき合い―。あーっ! 書いてて辛くなってきました。また次回。

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