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画面上で二度、指を滑らせて作った文字。
たったこの二文字があなたに対するすべてで、送信を押すだけで、気持ちは伝わる。

本当に伝わる？

顔を見て直接伝えた言葉でさえ心許ないのに、文字で伝わることが可能なのか。
わかって欲しくて何度も口にしたり文字に起こしたりすると、それはそれで大変疑い深くなる。余計に嘘くさくなる。白々しい。
文字で本心が伝わることなど本当にあるのか？言葉で気持ちが伝わることなどあるのか？いっそ心の中身をすべて相手に見せて、これが本当の気持ちです！って、そうできたらいいのに。

心じゃ曖昧だというなら脳でもいい。あなたに対する脳波の反応を見て。心拍数でもいい。触れて、抱きしめて、刻む音の速さ。これが事実だ。

嘘、真、建前という概念があるから人間は汚くなる。
みんな本当のことだけを口にして。そうしたらこの気持ちが言葉であっても文字であっても、本物だと理解されるかもしれない。ここは嘘ばかりで何が真実かわからない。真実とわかりきったことさえも、一々裏付け作業をしなければ信用に値しない。

この気持ちだって、嘘になる未来が存在する可能性も否定はできない。
そしたらあなたは、好きって言ったのは嘘だったね、と言うかもしれない。それは違う。
今は違うかもしれないけど、その言葉を発した当時は、実際に、飾ることなく、本当に、心から、純粋に、いかにも、他意なく、素朴に、まさしく、真心で、そう口にした。