「銀の三角」結末が、、、
萩尾望都のイマジンネショーン炸裂というのが、一番の魅力だと私は思います。
内容は、存在、時間、空間全てを含む世界が美しく響くように、ラグトーリン(女性?性別不明)が苦心する話です。
かなり壮大な話なので、慣れるまでは話についていけませんでした。
萩尾望都には、「百億の昼と千億の夜」という作品があります。これも時空間、全存在を含む世界を扱っていますが、そこに「転輪王」という神様が出てきます。世界の創造主と認識されています。しかし転輪王は、世界は自分の手を離れ、未知なる者が変えていったと嘆くのです。
「銀の三角」で、ラグトーリンは
「世界が私の思う通りになるのなら、ああでもない、こうでもないと苦心することもないのに」
「この世は、少しでも歪みが出ると、たわみ、砕けてしまう。美しく響くべき世界が崩れてしまう。」という主旨のことを言います。
私には、ラグトーリンは転輪王と重なります。
恐らく萩尾望都は、世界を愛する神様の苦心が描きたかったのではないかと思います。
この作品のもう一つの魅力は、絵です。
萩尾望都は、SFを様々描いてきましたが、「銀の三角」では、これだけ異なる複数の世界を、よく描けるものだと感嘆しました。
デッサン力が本当に高く、どの角度からでもどのようなものでも、軽やかに描いてしまうのではないかと、舌を巻きます。
古い作品ですし、取っ掛かりは良くないかもしれませんが、読み応えがあります。