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好きなおじさん#2 大工/額縁職人

今日はお休みにします、とTwitterで書いたのですが、やっぱりこれは毎日続けないといけない、と思って書きにきました。
「法事。」というタイトルのnoteの続きとして読んでいただければと思います。

法事が終わって、妻と一緒に秋田市に向かった。額縁を作ってくれている「おおしまさん」という方から「できたからいつでもとりにきていいよー」と連絡があったからだ。マルシェでどれくらい商品を置いておけるのか、飾ってもいいのか正直分からなかったので、今後販売することも考えて30個作ってくださいと依頼していた。

「おおしまさん」は普段大工をやっているふつうのおじさんなのだけれど、なかいちの「秋田銘品館」というところで秋田杉や檜などの木材で額縁を作って販売しているちょっと謎の人だ。絵を販売することは決めたものの、額縁をどうしようかなあ、と悩んでいたときに「おおしまさん」の作る額縁を見つけて、この人に頼んでみたい!と思ったのだった。でも秋田銘品館に並んでいる額縁だけでは、「おおしまさん」という人がどんな人なのか全然分からなかったので、注文するのであれば一度会っておきたいと思い、スタッフの方に連絡先を伝えてほしいとお願いして、晴れてお会いすることができたのだった。

おおしまさんとぼく。妻撮影。

額縁を作る工程を見せていただきながら、いろいろお話しさせていだいた。ものすごく物腰が柔らかい人で、すごく目をみて人の話をお聞きになる方だなあというのが第一印象。電話の声だけだと、「大工さん」という事前情報もあいまって、ちょっと怖いイメージがあったのだけれど全然違った。僕の拙い喋りを最後まで聞いて受け応えしてくださるかっこいいおじさんだ、と感じた。

おおしまさんが額縁を作り始めたエピソードもとても素敵だった。もう30年〜40年ほど前とおっしゃっていたと思うけれど、毎年年賀状のやりとりをする芸術関係のお知り合いがいたらしい。年賀状にはその方の描いた絵がプリントされていて、その絵がとても素敵だったので、額縁に収めて飾りたいと思ったのが、額縁を作り始めたきっかけだった、とのこと。おおしまさんの工房には自身が作った額縁に収められた素敵な絵がたくさん飾られている。

おおしまさんの額縁は特別なところから木を購入しているわけではなく、使わなくなったタンスだとか、障子の縁の部分のような廃材になるようなところを再利用している、というのも素敵なところだと思っている。昔の障子などに使われた木枠は丈夫で良い木が多いらしくて、額縁を作るのに向いているのだと言う。とはいえ古くなった木を使っているのでどうしても古臭い感じが額縁に出てしまうのかというと、そうではなく、おおしまさんの作る額縁は美しくて惚れ惚れしてしまうような逸品なのだ。僕の絵はもうどっちでもいいから、おおしまさんの額縁を見て欲しくなる。何十年も作ってきた人の積み重ねた力というのはとてつもないものがあるのだな、と感じると思う。

いろんな種類の額縁を作っていただいた。美しい。

僕が60枚くらい既に絵を描いていて30個額縁を作って欲しいとお願いしたときも「俺だって忙しいんだよ〜」と冗談混じりに言いながらも快く引き受けてくれた。額縁はひとつ1500円だから絵はいくらで売るのかな?という話になったときも、「まあ元取ろうと思ってこんなことやんないよな。何かを伝えたいんだよな」と言ってくれた。まさにその通り、という感じで何も言ってないのに、なんでこんなに伝わってるんだろう、うれしいなあ、と思ったのだった。
僕の工房にいた時間は1時間くらいだったけれど、僕的にはこれから自分がずっと絵を描きたいと思う原動力になる1時間だった。おおしまさんとこれからも関わりたいし、贈って喜ばれるような絵をいつか描きたいと思った。

一応「狩猟採集民の絵」と名乗ってマガジンを作っているので今日は足跡の絵を一つ。

足跡を撮る。

自分の絵をほんとうにごく少数の人に見てもらったことがあって、その中でも謎に人気がある絵。額縁に収まって、よりよくなったね。

法事。と合わせて2000字超えてしまったけれど、昨日はほんといい1日でした。
読んでいただきありがとうございました。また明日もやってます。

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秋田県の阿仁という地域の絵を「狩猟採集民の絵」として載せています。 さっと見ていってください。 6月16日〜7月15日まで、毎日朝7時更新…

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