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保険適用になった今こそ知っておくべき!高度不妊治療であなたが失う17の宝物【5】時間を要する娯楽

高度不妊治療であなたが失う宝物。

4つ目の宝物は「時間を要する娯楽」です。

不妊治療は「先の約束」ができない

時間を要する娯楽。具体的には、飲み会やランチの約束、そして旅行ですね。

特に旅行は何日も前から予約しなければなりません。当然、自分以外の人と時間の調整も必要ですし、予約はある意味で「約束」を結んだことになります。

でも、この「約束」っていうのができない…… これが不妊治療の辛いところなのですよね。

人工授精を経験された方であるとなんとなく想像がつくと思います。排卵の日の前後はクリニックに行く必要がありますが、来月の予定なんて次の生理がくるまで見当もつかない。生理がきたって、排卵日が予測できるということもない。

不妊治療患者にとって、明日以降の予定を確実に約束するのって、本当に本当に難しいのです。

ただ、高度不妊治療になるとその難しさは格段に大きなものとなります。

まず、クリニックに行かなければならない回数がぐっと増えます。
次に、服用する薬も激増するため、体調に影響する日が増えます。約束した日に調子が悪くならない保証なんてどこにもありません。

さらに、クリニックに行く必要がない日であったとしても「時間」の制約が出てきます。

例えば、自己注射は「日にち指定」が入ります。

そして、高度不妊治療において非常に大切な排卵を促す薬は「時間指定」が入ります。
30分刻みのレベルで指定された時間を「厳守」しなければなりません。ここ、本当に神経をつかいます。

また、移植周期においても時間指定の薬が処方されるケースがあります。

膣錠のような「定期的に挿入しないといけない薬」は、1錠ごとの時間間隔が重要になってくるため、実質的に時間のしばりが出てきます。

お腹まわりに貼るテープ薬だとそれほど厳しい時間制約はありませんが、家から離れた場所に数泊するとなると替えを持っていかなければなりません。

このように、通院・薬の両面で時間的制約が出てきてしまい、それがまた「いつになるのかまったくわからない」という特性から、人と約束するという今まで当たり前にできたことができなくなります。

「先の予定が組めない」

これは、不妊治療患者に共通する大きな悩みです。

どうしても予定を調整しないといけない「仕事」であれば必死にやりくりするのですが、もうそこでいっぱいいっぱいという感じですよね……。

途中で諦めの境地に達し、プライベートでは徐々に人と会わなくなってくる――よくあるパターンです。私もそうでした。

しかし、この状況が長く続くと、ずっと家と職場とクリニック以外にまったく行っていないという状況になります。そんな生活が続くと、「なんだか最近、心から笑っていないな」とふと感じる日が訪れます。

そうなると人間、ふさぎ込んでしまい、仕事が余計に辛く感じたり、家での会話もなんだか暗いものになってしまったり。

不妊治療とは少し違いますが、外の世界とつながらない、つながることが許されない環境におかれた新型コロナ禍も、似たよな気持ちになった方は多いと思います。

ガハハと笑うことも少なくなり、ワクワクすることも気がつけばなくなっている。

そして、がんばっているのに、余計にしんどくなる――悪循環ですよね。

そうなる前に手を打っておくと、不妊治療が中心に置かれた生活でも気持ち的にかなり楽になります。

「そうはいっても、人と約束なんてできないし……」

そう感じてしまいますよね。

大切なのは「人と約束すること」ではなく、「鮮度ある景色を定期的に自分に見せてあげること」なのです。

人との約束ができず、楽しみがなくなるということの根本的な課題は、この部分がごっそりなくなってしまうことにあります。

この課題を解決するために、私がやっていたことをお伝えします。

具体的な対処法~実体験より~

「家とは違う場所で、自分が予想できないモノや展開が出てくる場所へ出かける」

です。

具体的には、

・新しく見つけたイタリアンに入ってみる
・めちゃくちゃ美味しそうなスイーツをデパ地下でじっくり選ぶ
・映画を観に行く

です。

近場でよいのです。

高額でなくてよいのです。

正直いって、高度不妊治療に本気で取り組んでいると、友人との飲み会や旅行ってかなりハードルが高いです。万が一なにかあって直前でキャンセルになると、相手にも申し訳ないですしね。

大型の旅行に行くことに比べると80点の策かもしれませんが、それでもこの「楽しみ」を日常に定期的にはめ込むことで、かなりのリフレッシュになります。

「楽しみ」を設定するポイント2つ

ポイントは2つあり、まずは「家とは違う場所」ということ。

環境を変えることは非常に、非常に大事です。自分の視界に映るものを、意図的にいつもと違うものにする――これは旅行から得られるリフレッシュ効果と同じタイプの気分転換が可能になります。

そして、「自分が予想できないモノや展開が出てくる場所」であること。

高度不妊治療をしていると、普段の頭の中って「採卵」「凍結」「移植」「お金」「結果が出ない」「次はどうなるか」でいっぱいになりませんか?

そんな中で、自分の頭では想像がつかなかった感動や驚きがあると、頭の中がその感動や発見でパッと満たされるのです。そして、その一瞬だけ不妊治療がどこかに飛んでいったことに後から気がつきます。

これってとても単純なことですが、自分で意識して動かないと、その環境ってなかなか実現できないものなのです。

1人でも十分に楽しめることってあるのです。これを機に、ぜひ新しい感動を見つけにいってみてください。そして、定期的にそんな時間をつくってあげてください。

「そんな簡単なこと、わかっているわ」

という声が聞こえてきそうですが、頭ではわかっていても、なかなか実践できていない人が多いです。そして、「どうしてそれが有効なのか」を理解しながら実践することって実はとても大事なので、この回で解説させていただくことにしました。

まずは1人で楽しむことをおすすめします。
そして、時間を合わせて夫婦でお出かけもたくさんしてください。

夫婦であれば、不妊治療の状況をお互いに理解していますので、飲みに行ったり、美味しいものを買いに行ったりすることもしやすいですよね。

不妊治療って、女性側ばかりが疲れているイメージですが、パートナーも、意外と疲弊しているものなのです。口には出さなくても、苦しいし、悩んでいるものなのです。

繁忙期でなければ、「1泊ドライブ旅行」なんかは急な予約でも宿はとれますし、あえて近場で1泊さくっと旅行!みたいな気分転換も素敵ですね。

以上とまとめると、「時間を要する娯楽」が完全に消失してしまう前に、少しだけ形を変えて、日常生活に定期的にはめ込んでみてください。

ポイントは、
家とは違う場所
自分が予想できないモノや展開が出てくる場所

です。

ぜひ試してみてくださいね。

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