保険適用になった今こそ知っておくべき!高度不妊治療であなたが失う17の宝物【筆者プロフィール】
【はじめに】
この記事を読んでくださっているということは、あなたはきっと、不妊治療を頑張っておられる真っ只中だと思います。
私も4年間、不妊治療と戦ってきました。今のあなたの気持ち、本当によくわかります。
私の方も、まずは自己紹介をさせていただきますね。
【筆者プロフィール】
1982年生まれ、大阪府出身。フリーランス翻訳者。
33歳で結婚。子どもができず、35歳から不妊治療を開始。
タイミング法(6カ月)、人工授精(6回)すべて不成功、着床せず。その後、顕微授精を開始して2年間ほぼ休みなしで実施。
採卵11回、移植8回経験。PGT-A実施。治療費は約500万円。
何度、採卵しても「胚盤胞」まで進まない、移植できる卵が凍結できない。やっとの思いで凍結できた卵を移植しても「着床していませんね」の繰り返し。
夫婦ともにさまざまな検査を受けるが、結果的に原因不明。一度、子どもを諦めようとした時期に精神的不調に陥り、不妊治療患者専門のカウンセリングを受ける。
移植8回目で初めての着床。無事に継続し、2021年8月に出産。不妊治療を開始して4年の月日が流れていた。出産時の年齢39歳。
転院3回、トータル4年間におよぶ不妊治療を経て、「高度不妊治療の辛さ」というものを身をもって経験。「高度不妊治療患者が事前にできる準備」をコンセプトに本書を執筆。
【本書を読んでいただきたい皆さん】
本書をぜひ読んでいただきたいのは、タイミング法、人工授精で結果が出ず、体外受精・顕微授精に挑戦しようと考えている方です。
今、高度不妊治療にステップアップすることを考えているあなた。例外なく訪れる「辛さ」に対して覚悟はしっかりできていると、自信をもっていえますか?
私は「ノー」でした。だから、自分が当事者になったとき、その現実が本当に辛かった……。
トータル4年間の不妊治療、特に、高度不妊治療にステップアップしてからの2年間は、想像を絶する辛さでした。同時に、たくさんのものを失いました。
体外受精・顕微授精のいわゆる高度不妊治療に進むと、その治療の進捗・結果は自身の努力と直結しません。採卵でいくつ採れるかもやってみないとわからない。ラボ(培養室)の中でどのぐらいの卵が育ってくれるかもわからない。そして、移植した後に着床するか否かも、本人の努力ではどうしようもないもの。
お金をかけたからといって、回数を重ねたからといって、結果が出なければまた最初から。いってしまえば「超高額のくじ引き」です。自分でコントロールすることはできません。
それゆえ、高度不妊治療は「コントロールできないもの」として捉えられ、その辛さからはもはや逃げられないという認識があります。確かに正しいです。
では、高度不妊治療患者にとって、その「辛さ」は致し方ないものなのでしょうか?
その答えも、実は「ノー」です。
自身のメンタルは「コントロールできる余地」があります。
治療の結果自体は確かにコントロールできないものですし、プロに任せるしかありません。しかし、自分自身のメンタルに対しては「事前準備」することができます。両者は分けて考える必要があるのです。
【本書を執筆した理由】
高度不妊治療にステップするということは、後戻りできない壮絶な世界に足を踏み入れることになります。
しかし、先にも述べたように、事前準備をすることで自分自身が感じる辛さを緩和することが可能です。であれば、そこはしっかりと準備をして、具体的な措置を講じるべきだと思いませんか?
事実は変えられなくても、それを通じて感じる辛さの「量」は少しでも少なくなってほしい、そうであるべきだと声を大にしてお伝えしたいです。
ただ、そのためには実際に経験した者からのリアルな声が必要です。その部分が何より大事であり、不妊治療患者を救える唯一の「薬」であると考えています。
本書の内容はすべて実体験に基づいたもので、あなたと同じ「ごく普通の女性」が経験した「高度不妊治療のリアル」をお届けします。
さらに、必ずぶち当たる壁に対する「具体的な対処法」をセットにして、体系的にまとめたものです。体験談やそのときの気持ちをつづった書籍は数多くありますが、具体的な対処法が記載され、体系的にまとめられたものは保険適用が開始された2022年4月現在、見たことがありません。これこそが、私が本書を執筆しようと思った一番の理由です。
【本書の特徴】
高度不妊治療を進めている方が、
「辛くなったときに慌てて緩和する」のではなく「辛くなることを予防する」
ということができるnoteです。
「辛くなることを予防する」ためには、
・何が起こるか「事前に」知っておく
・具体的な対処法を「事前に」知っておく
この2点が大切であり、本書はここに重点を置いて解説しています。
医学的な知見や治療方針に関しては専門の書籍およびウェブサイトで解説されていますので、そちらで十分カバーされていると考えています。そこで、本書においてこの部分に関してはプロにお任せすることにして、高度不妊治療患者の目線からの「実体験」にポイントをしぼってお届けします。
【本書で紹介する内容】
本書は4つの章に分かれています。
第1章:プロローグ
第2章:あなたが失う17の宝物(1~3)
第3章:あなたが失う17の宝物(4~17)
第4章:エピローグ
第1章は、「辛さ」を理解するための章です。不妊治療の「辛さ」を軽減するために何が必要なのかを客観的に理解することで、後に続く具体的な事例と対処法をより役立つものにしていただけます。
第2章からは、あなたが失う宝物を具体的に解説していきます。この章で解説しているものは主に「不妊治療自体に直結するもの」です。高度不妊治療を語る際によく記載される「身体的負担・時間的負担・経済的負担」についてですね。現在、開始されたばかりの保険適用(2022年4月からスタート)は、この「経済的負担」を軽減する策になりますね。換言すると、負担はこの部分のみしか軽減されません。
第3章では、「不妊治療自体に直結するもの」以外の宝物について解説しています。私が最も力を入れてお伝えしたい部分です。高度不妊治療は、ひとりの人として「とても大切なもの」を失ってしまうのだという、大きな覚悟が必要です。一方で、具体的な対処法もあります。ぜひ本書を参考にしてください。自分を取り巻く家族やパートナーとの関係について注意すべき点もこちらに記載しています。
第4章では、不妊治療を終えた後について記載しています。結論からお話しすると、妊娠さえすれば「あっさり幸せ」になると思っていましたが、大きな間違いでした。いわゆる「卒業」を迎えた後でも、不妊治療の沼は別の形で続きます。意外だと思いませんか?でも、事実です。それに対して「最初からこうやっておけばよかった」という率直な内容も包み隠さず記載しています。
本書は、すべての内容を順に沿って読まないと理解できないという構成にはなっていません。時間がない方は、ご自身が興味のあるところ、悩みが大きいところから読み進めてみてください。
毎日がとても不安であること、つらい気持ちに押しつぶされそうなこと、痛いほどよくわかります。その不安を、あなたの心の中から少しでもよいので減らすことができたら私自身とても嬉しいです。
磯山ナツ
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